話題のステルスモデル「Ox Alpha」はナニモノか うわさをまとめてみた
「無料で使える正体不明の高性能AIモデル」が開発者の間で話題だ。AIモデルの中継サービス「OpenRouter」で8月20日(現地時間、以下同)に公開された「Ox Alpha」は、開発元も正式名称も伏せられたまま、公開から数日で消費トークン数1位に躍り出た。
本稿では、8月25日時点で確認できる事実と、正体を巡るうわさを整理する。
「Ox Alpha」とは? 現時点で分かっていること
OpenRouterのモデルページによると、Ox Alphaはコーディングと長時間のエージェント作業を主な用途とするようだ。
テキスト、画像、動画の入力に対応し、出力はテキストのみ。コンテキスト長は104万8576トークン、最大出力は13万1072トークンで、ツール呼び出しとJSON出力にも対応する。料金は無料。提供はAPI経由のみ。
OpenRouterで公開されてからの累計消費トークン数(入出力、推論トークンの合計)は17.5兆となり、週間ランキングで1位となった。AIコーディングエージェント「OpenCode」での消費トークン数は31兆、ユーザー数が38万人に達し、モデル別の利用シェア7.9%で1位に立つ。AIコーディングエージェント「Cline」でも、Ox Alphaの推論量が公開から48時間で全体の8%に達し、同サービス史上最速の成長モデルだと言及している。
公開直後に「ソフトウェア開発ベンチマーク『DeepSWE』で80%」とする投稿がXで拡散されたが、これは10タスクのみの抜粋テストだった。カナダのLLM開発企業Cohereのヘンリー・チャン氏が全113問を使ってテストしたところ、結果は58.4%だった。DeepSWEの公式ランキングで60%前後なのは「Gemini 3.7 Flash」「DeepSeek-V4-Pro」「Claude Opus 4.8」などだ(首位は「Claude Opus 5」の74%)。高い性能を持つが、最先端級からは一段劣る可能性がある。
うわさの本命は中国Z.aiの「GLM」系
では、Ox Alphaはナニモノなのか。現時点で最も有力なのは、中国Z.aiの「GLM」系とするうわさだ。AIインフラ事業者の米iSimplifyMeの検証によると、モデルが自然言語をトークンに分割する際の癖を分析したところ、Ox Alphaと「GLM-5」系が完全に一致したという。
セキュリティ研究者のヨセフ・カシム氏が、モデルごとのAPIのエラー応答を比較した分析でも、GLM系と同じ配信基盤を使っている可能性があると報告されている。
Z.aiが8月14日に発表した「GLM-5.3」は、コンテキスト長と最大出力がOx Alphaと一致する一方、入力はテキストのみだ。ここまでの状況証拠を踏まえるとOx Alphaが「GLM-5.3系の未発表マルチモーダルモデル」という可能性はある。
米Google、米Microsoft、中国Xiaomiのモデルとも推測されているが、決め手に欠ける。Google DeepMindのエヴァン・オテロ氏がXで「もしOx Alphaが道中で作った友達だったら?」(「Gemini開発の過程でできたモデルだったら?」という意味だと思われる)と投稿するなど、同社の関係者が相次いで「Gemini」のリリースを匂わせる投稿をしているが、Ox Alphaとは関係がない可能性もある。
一方、Ox Alphaを利用できるAIサービスの一つ「LobeHub」の「Max For AI」氏はXで「私はOx Alphaが誰のモデルかをすでに知っています」としつつ「Ox Alphaの作者は、誰もが驚くようなモデルチームです。多くの人々の推測では、Ox Alphaが彼らから来ているとは思われていません」と投稿しており、多くの人の予想を覆す結果であることが示唆されている。
OpenRouterは過去にも開発元を伏せたモデルを無料公開してきた。Ox Alphaも、正式発表前のブラインドテストや負荷試験を兼ねた公開と思われる。
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