AIエンジニアの安野貴博氏、新党「チームみらい」立ち上げ その狙いは? 会見で語ったこと
AIエンジニアの安野貴博氏は5月8日、2025年夏に実施予定の参議院議員選挙に向け、新党「チームみらい」を立ち上げると発表した。10人以上の候補者を擁立するほか、安野氏自身も比例代表で立候補。複数議席の獲得と、同党の国政政党化を目指す。同日に行われた会見では、新党立ち上げの経緯や目的などを語った。
安野氏は、24年7月の東京都知事選に立候補し、AIやデジタル技術を駆使した選挙戦を展開した。約15万票を獲得し、56人の候補者の中で5位となった後、11月には、東京都の行政DXを推進する団体・GovTech東京のアドバイザーに就任。25年1月には、AI技術などを政治に活用する実験プロジェクト「デジタル民主主義2030」を立ち上げた。
こうして政治に関わるなか、安野氏は行政におけるデジタルリテラシーの欠如を実感。民間と比較して「デジタルを使いこなそう」とする意識が低い状況を感じ、政策立案などの面で「危機的な状況」と認識したという。
一方、安野氏が関わった議員や官僚は「熱意があり、真面目に頑張っている方だった」という。「熱意もやる気もある人がそろっているなかで、現状の停滞が起きているのであれば、それは構造的な問題」と指摘する。
そのうえで「永田町では議員でないと聞いてもらえない話がたくさんあるのではないかと思った」「自ら議員となることが必要不可欠だと認識した」と説明。こうした理由から、自ら政党を立ち上げ、参院選に立候補することを決めたという。
「チームみらい」 どんな政党?
安野氏は、チームみらいの目的は「テクノロジーで、誰も取り残さない日本をつくること」と語る。テクノロジーを駆使して政治をアップデート。AIが指数関数的に性能を高め、国家間の対立が激化するなか、「AI時代にふさわしい成長戦略を掲げ、子育て、教育、科学技術への投資、新産業の育成、文化振興」を進めるという。
チームみらいが国政政党になった後には、年間1億円以上ある政党交付金を使って「永田町エンジニアチーム」を立ち上げる予定だ。チームは約10人のITエンジニアやリサーチャーなどで構成。アウトプットは全てオープンソース化し、政党交付金を「自らの選挙のためではなく、政治のDXを進めるための活動に使う」としている。
「永田町でエンジニアチームを立ち上げることができれば、例えば、民意を政策に反映する仕組みとして、オンライン上で大規模な熟議を行えるシステムを実装。集まった意見を論点整理して可視化しながら、建設的に議論を進められるようになると考えている」(安野氏)
安野氏は、チームみらいについて、他党の議員と議論を交わしながらも、他党のテクノロジー活用やDXの支援をする「ユーティリティ政党」と定義。こうした動きを当選後すぐ始めることも、自ら新党を立ち上げた理由の一つという。
夏の参院選での目標は
夏の参院選で、チームみらいが国政政党化を果たすためには、有効投票数の2%以上を獲得する必要がある。これに対し、安野氏は「投票率などを踏まえると、120万票、およそ人口の1%にあたる規模感になる」と説明。このことから、参院選での取り組みを「1%の革命」と呼称する。
「戦後日本で30代の党首が0から国政政党を設立できた例はかつてない。今回『1%の革命』が実現することは、永田町の新陳代謝を促し、硬直化しているシステムを進化させるきっかけになる」(安野氏)
なお安野氏は今回の参院選出馬に伴い、7日にデジタル民主主義2030のメンバーから外れている。GovTech東京のアドバイザーも12日付で退任予定。
「当たり前のIT・AI活用を」――安野氏が目指す日本とは
会見では、記者から「安野氏自身の国家観や憲法観、どのような国にしたいのか教えてほしい」との質問が出た。これに対し、安野氏は、チームみらいとしては「たたき台としてのマニフェストを制作・公表する」と説明。国民から意見を集い、マニフェストをブラッシュアップしていく方針を示した。
そのうえで安野氏自身の国家観として「『テクノロジーで誰も取り残さない日本を作る』というものを掲げている」と回答。「いろんな人の選択肢がたくさんある状態が望ましい社会」と語った。
「それ(望ましい社会)を作るために必要なのは、長期での経済成長がしっかりできること。今、再配分についてものすごく議論して100点のものを作ったとしても、パイ自体が大きくならない限りは、ジリ貧のままどんどん状況が悪くなっていく」(安野氏)
また安野氏は、日本での長期的な経済成長の実現に向け、「ITとAIに関しては、現状出遅れている状態」と指摘。「良く言えば伸びしろがある。当たり前のIT・AI活用をしていきたい」として、AIの飛躍的な進歩に対応できる社会システムの構築なども重要と説明した。
他にも「AIが人間の知性を超えるかもしれないといわれている状況のなか、それでも人間が尊厳を持って生きていくためには、文化というものは非常に重要」として、文化振興にも取り組む意欲を見せた。
憲法観については「チーム未来に関してはシングルイシュー政党ではない」として、「われわれが特に訴えたいのは、未来をどう作るか、テクノロジーをどう活用するか。そこを重点的に議論を呼び起こしたい」と説明。安野氏自身の考えとしては「例えば、憲法に関しては平和主義みたいな非常に重要なものを堅持しつつ、時代に合わせて変えていくことは、柔軟に考えるべき」と明かした。
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