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「光」×「出戻り」×「ソースコード」International Feel

» 2004年02月16日 17時37分 公開
[松尾公也,ITmedia]

 大きめのネタを集めようとすると、どうしてもウイルスやスパムなどのセキュリティ絡み、そしてSCOを中心とした裁判絡みになる。まあ、最初だけでも明るい話題から始めてみよう。

「Intel」×「Intergraph」×「Patriot」

 2月17日からIntelの開発者会議、IDF(Intel Developer Forum)が開催されるためか、Intel関係の記事が突如として増え始めた。特に、2月12日にはIntel関係の記事が多数上がった。とは言え、開発系の記事は2本のみ。Prescott関連のリリースは既に出てしまったので、プロセッサそのものではなく、より基礎技術に近いほうの発表だ。なんといっても、Nature誌に載るくらいだから。

 実用化は7年から10年先という技術の基礎部分となるのが、Intelが開発した「1GHzシリコンモジュレータ」。ガリウムひ素などの高価な材料ではなく、安価なシリコンを材料に光デバイスの製造を実現するという。もう一つの技術発表は、PentiumとXScaleという、異なるプロセッサアーキテクチャー間の移植を簡単にする、共通APIライブラリと、ハイパースレッディング用のツールだ。

 残りは裁判絡みだ。まずは(Intelにとって)よいニュースから。1997年にIntergraphが起こした訴訟の控訴審で、Intelが勝訴した。2002年にはIntergraphに有利な和解に持ち込んでいたのだが、「IntelのItaniumプロセッサはIntergraphの知的財産を侵害している」という一審の陪審評決を取り消したため、Intelのもとには和解で支払った1億5000万ドルが戻ってくる可能性もあるという。

 知らない人のために説明しておくと、IntergraphはCAD専用システムの老舗で、独自CPU“Clipper”を搭載したデュアルディスプレイの専用コンピュータを作っていた。このClipperはRISCプロセッサのさきがけの一つで、Clipperと専用CADシステム自体は消滅したもの、特許ビジネスだけは生き残っていたのである。

 そして、このIntergraphが訴えていたのはIntelだけではない。Intelのプロセッサ(当時はPentium)を採用していたHP、Dellなど複数のPCメーカーを訴える構えなのである。

 ううむ、これはどこかで聞いたような話だ。12日に掲載された記事「狙いは和解金か? 日本PCメーカーに対するPentium特許訴訟」では、最初に日本企業が狙われたのは「日本企業は従来から早期に和解に持ち込む傾向がある」ためだというコメントもある。これはなめられてますなあ。Intergraphに訴えられる可能性もあるし、日本のPCメーカーは、こういった「巻き込まれ系訴訟」対策を進めておく必要があるだろう。

 そして、x86互換プロセッサでAMDとの長期にわたる争いを最終的に和解で終えたIntelは、今度はその和解をもとに、合法的にOpteronとの互換性を打ち出す可能性が出てきた。64ビットプロセッサで優位なAMDに対するプレッシャーとなるか?

Sunはまた昇る?

 「出戻り」といったら失礼に当たるだろうが、Sunにとってはうれしい復帰のはずだ。Sun MicrosystemsがOpteronサーバメーカーのKealiaを買収したら、なんとSunの創業メンバーの一人であるアンディ・ベクトルシャイム氏がついてきたのだ。Sunの創業メンバーのなかで、スコット・マクニーリー氏が営業・戦略推進の柱、OS/ソフトウェアはもちろん、ビル・ジョイ氏、そしてハードウェアの要はベクトルシャイム氏が受け持っていた。Apple/NeXTで言うと、ジョン・ルービンシュタイン氏に相当する(かえって分かりにくいか)人である。

 ベクトルシャイム氏は、SPARCアーキテクチャへの移行、当時は斬新で空調用の穴も凝ったデザインだったピザボックスワークステーション、SPARCstationの設計といった、Sun=SPARC=RISC路線に大きな貢献を果たした人だった。その人がSPARCとの両輪となるOpteronサーバの推進役として復帰するというのは妙に面白い。

 彼とはSPARCstation 1が登場したときに、米国本社で会ったことがある。「いつもヨレヨレの服だから、人と会うときにはスーツを着せて、ボサボサの髪をとかしてあげなくちゃいけなくって、大変なのよ」とベテラン女性スタッフがうれしそうに話していたのが印象深い。愛されるナードの復帰はSunにとって追い風となることだろう。

 そして、Sunはx86のOpteronだけでなく、SunはSPARCアーキテクチャもブーストする計画だ。高速キャッシュを搭載したUltraSPARC IV+、Afara Websystemsの買収で取得した技術を利用した次世代ハイエンドプロセッサ「Rock」など、スループットコンピューティングでリードしていくための戦略を明らかにした。

「Microsoft」×「ソースコード」

 いつもMicrosoftに牙をむいているスコット・マクネリー氏だが、MicrosoftはInternet ExplorerとOutlook、Media PlayerのUNIX版開発を10年越しで進めている。これは、WIndows 2000/NT 4.0ソースコード流出事件に関与したとみられている企業、Mainsoftが1994年から取り組んでいるプロジェクトだ。2000年ごろに、この件に関するリーク記事が出たことがあるが、いまだにその成果物は上がってきていない(UNIXの派生OSといえるMac OS X版は登場したが)。

 Mainsoftへのライセンス供与から10年が経った今年、最新の成果物がソースコード流出というのは、大変に皮肉な話と言わざるを得ない。ちなみにこのMainsoftという会社、WindowsアプリをUNIX/Linux環境で動かす開発環境、Visual MainWinというソフトを開発している。

 「MyDoom.C」の登場、MSBlast型攻撃を誘発する脆弱性の発覚、日本語版Windows狙う「Nachi.B」の浮上といった、数々のセキュリティ問題が、この「オープンソース」問題でさらに深刻化するのは間違いないだろう。ただでさえ、深刻な脆弱性の修正に200日も要しているのだから。

 そして、Microsoftの訴訟関係記事、今回は3つある。ストレージメディアを挿入したらプログラムが実行する機能についてMicrosoftを訴えていた「オートプレイ」訴訟(これはiPodの自動Syncなども対象になりそうな印象が……)が審理に入り、NetMeetingの音声コーデックの著作権に関してAT&TがMicrosoftを訴えていた件は、裁判所がMicrosoftに不利な裁定を下した。そして、ヨーロッパにおけるWindows vs. Lindowsの商標論争は、はスウェーデン、フィンランド、オランダでMicrosoft寄りの判断が下されてきたが、MSおひざ元のシアトルでは、「Windowsは一般語」との判断が下された。Lindows側にとってはうれしいニュースだ。

CloseBox

 ご多分にもれず、私もOrkutに手を出し始めた。この「出会い系サイト」、業界関係者の個人ページとかBlogとかが一覧できるので、とても便利。広がるスピードがLinkedinよりもはるかに速いし、ネットワークの広がりが実感できるのがおもしろい。

 でも、個人ページもちゃんと更新しないといかんなあ、と反省。自分の見栄えのいい写真も撮っておかないとね。まあ、自分というものを把握しておくにはいい機会だ。

 自分を把握していないと、人からどういうふうに思われているかを知ってガーンとショックを受けることになる。うう、これでは、会社に到着する前に疲れてしまい、仕事になっていないと言われているようなものではないか。

 自転車通勤に興味のある方は、ぜひ「自転車通勤で行こう」のページを読み(空気入れのいらない自転車レビューではずいぶん参考にさせていただいた)、できたら、光文社・知恵の森文庫の「自転車ツーキニスト」という文庫本を読むことをお勧めしたい。3カ月で10キロのダイエットができるかも。

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