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iPhoneのもっさりの原因は?

» 2008年08月19日 14時45分 公開
[Joe Wilcox,eWEEK]
eWEEK

 わたしのiPhoneは8月14日、役立たずの四角い塊になった。「Call Failed(通話失敗)」のエラーメッセージが繰り返されるようになったのだ。そして今日8月17日、iPhoneはちゃんと動いている。だが、これは本当に喜んでいいことなのだろうか?

 わたしはWindowsでMicrosoftから学んだ方法、つまりソフトウェアを再インストールするという方法を使って問題を解決した。iTunesの「復元」オプションを使ってiPhoneソフトウェアを消去し、工場出荷時の状態にリセットして、一番最近のバックアップ状態に戻したのだ。この端末をApple Storeに持ち込んでいたとすれば、恐らくジーニアスも似たような方法を用いていただろう。

 復元作業を行うまでは動作がかなりモタついていたわたしのiPhoneだが、復元オプションのおかげでキビキビした動作を取り戻した。

 今日、ある友人が自分のiPhone 2Gについて文句を言ってきた。「メールの送信に時間がかかり過ぎる」というのだ。以前は「送信」をクリックすれば、メールはすぐに送信されていたという。われわれは同じ無線ネットワークを使って、その場でiPhoneの動作を比べてみた。わたしのメールは数秒で送信されたが、彼のメールは送信が完了するのに1分ほどかかった。

 復元を行うまでは、わたしのiPhoneでも同じような問題が起きていた。友人の場合と同様、わたしのiPhoneもメールの送信が驚くほどモタついていた。だからわたしは友人にも復元を行うよう勧めた。恐らくこれで彼の問題も解消されるだろう。だが、こんなことでいいのだろうか?

 1カ月ほど前、わたしはiPhone 3GとWindows 95の類似点について触れた。どちらの製品も高い期待を集め、盛んに宣伝され、コンピューティングの概念を大きく変える製品とされていた。だがiPhone 3GとWindows 95には恐らくもう1つ共通点があるのかもしれない。それは、「ガンク(ベトベトした不快な物質)」とでも呼ぶべき問題だ。Windows 9xはdllなどのファイルの蓄積が原因で徐々に動作が鈍くなることで知られていた。Windowsを再インストールするというのが、恐らくこうしたガンク(あるいは少なくともその影響)を一掃し、OSを再び機敏に動作させるための最善の方法だったはずだ。iPhoneも同じようなガンク病に犯されているのではないだろうか?

 わたしは実際に自分のiPhone 3Gを復元し、通話の失敗や通話切れの問題を解決できてからというもの、そうした疑問を抱いている。復元では、ユーザーインタフェース(UI)の反応がどんどん鈍くなっていた問題も解消できた。iPhoneの反応の鈍さについては、わたしの友人も文句を言っていた。

 Apple Supportフォーラムを「動作が遅い」という用語で検索すると、以下のような内容の投稿がヒットする。「最近わたしのiPhoneはキーボードの反応がひどく遅くなっていて、入力も非常に遅い。キーを打っても、文字が表示されるのに数秒かかる。おかげで、テキストが入力しづらくなった。ほかにも同じような問題で困っている人はいるだろうか?」

 また2人のiPhoneユーザーは、iPhoneの動作が遅い問題について紹介したYouTubeの3つの動画へのリンクを投稿している。Apple Supportフォーラムではネガティブな内容の投稿は削除される場合が多いことで有名だ。だから、わたしがこの記事を投稿した後、リンク先が消えてしまっていても驚かないように。1つ目のYouTube動画の内容はわたしもよく知っているものだ。わたしもiPhoneの通話機能が使えなくなる前の数日間、同じような反応の遅さを経験したからだ。ただし、この動画ほどひどい状態ではなかったが。

 2つ目のYouTube動画で紹介されているような、入力の反応が遅い問題はわたし自身は体験していない。UIの反応が鈍いこともあったが、それは時々であって、常にというわけではなかった。動作が徐々に鈍くなり、時々UIが反応しなくなったりして、そのうち、「Call Failed(通話失敗)」のエラーが繰り返されるようになった。

 「Call Failed(通話失敗)」でApple Supportフォーラムを検索したところ、わたしが先週体験した問題は次のように説明されていた。「誰かに電話をかけようとするたびに少なくとも3回は通話に失敗し、それからようやくつながる。ほかにも同じような問題が起きている人はいるだろうか? すごくイライラする。誰か解決策を知らないだろうか?」

 次のような投稿もあった。「(通話失敗のエラーは)しょっちゅう起きている。通話しようとすると、呼び出し音が鳴る代わりに通話失敗のエラーメッセージが表示される。大概は1回失敗した後で普通に通話できるが、正直とてもイライラする。これはわたしの問題なのか、通信キャリアの問題なのか、それともiPhoneの問題なのか? 一体どうすればいいのだろう?」

 通話問題に関する投稿において、わたしは次のように問い掛けてみた。「なぜiPhone 3Gに関するこれだけ多くの苦情が一斉に寄せられているのだろう? なぜiPhone 3Gのリリース直後ではなく、今なのだろう?」 わたしはそこで4つの考えを提示したが、あるいはこの問題はガンクの影響として説明できるのかもしれない。

 ガンクの蓄積が原因ということであれば、なぜこれほど多くのiPhoneユーザーが通話などの問題を同時期に経験しているのかの説明になる。こうした問題が突如として沸き起こっているのは、タイミングとしてなんとも不可解だ。だがある一定期間利用した後に共通して起きる問題だとすれば、謎は解けるのではないだろうか。

 Appleは故あってiTunesの「復元」オプションを目立たせている。復元はiPhoneの各種の問題を解決できるシンプルな方法だからだ。ではサードパーティー製のアプリケーションをインストールすることでガンクが蓄積され、その結果、パフォーマンスの問題が生じ、それがユーザーに復元ボタンを押させるもう1つの理由になっているとしたら? この疑問に対する答えはわたしには分からない。そもそも、わたしはiPhoneの開発者ではないのだから。

 ガンクの蓄積の問題は、閉じたはずのアプリケーションが開いたままだったり時間とともにメモリリークが起きるといったお粗末なメモリ管理の問題よりも少し複雑かもしれない。だがWindows 9xのユーザーであればこの手の問題には慣れているだろう。

 これは単なる推測であって、正しいとは限らない。だがもし問題の元凶がガンクであるのなら、iPhone 3GとWindows 95にはわたしが以前ブログで指摘したよりもさらに多くの共通点があることになる。それは喜ぶべきことではないだろう。

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