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Appleの問題が「みんなの得になる」10の理由(1/2 ページ)

» 2009年08月24日 07時30分 公開
[Don Reisinger,eWEEK]
eWEEK

 AppleはIT業界ではうらやましい立場にある。iPhoneは大ヒットしているし、App Storeは急速に同社の事業の重要な一角を占めつつある。すべてが順調に見えるが、同社には1つ、今後深刻なトラブルにつながりかねない問題がある。Appleはほかの会社と仲良くやっていく方法を知らないということだ。信じられないかもしれないが、これはわたしたち皆にとっていいことかもしれない。

 先日、PalmがUSB規格の監督団体に苦情を申し立てたといううわさが流れた。Palmは、AppleはPalm PreユーザーがiTunesにアクセスできないようにしており、市場の競争を「妨害」していると主張したという。申立書では、PreがiTunesをだまして、自身をiPodとして認識させ、PreユーザーがiTunesを使えるようにする方法も解説されている。

 このニュースの直前、Appleは、有望なGoogleの電話サービスであるGoogle Voiceを締め出す決定を下している。AppleはApp StoreでGoogle Voiceを却下した理由を、iPhoneに既にある機能とあまりに似ているからと説明した。

 ブロガーたちはこれに激怒した。Appleはこの決定をめぐって、あらゆる方面から批判を浴びた。しかし同社は沈黙したままで、いつものように騒ぎが収まるのを待っている。だが、Google Voice騒動は収束していない。Webでちょっと検索してみると分かるが、人々はまだGoogle Voiceを締め出したことでAppleに怒っている。彼らは、スティーブ・ジョブズ氏と仲間たちがPreに優しくしようとしないことにも腹を立てている。

 Appleがこれほど多くのプレッシャーに直面しているのはいいことだ。消費者にとってプラスになる。企業にとってもだ。みんなにとって――Apple自身にとってもいいことなのだ。もっとも、Appleはそんなふうに考えようとはしていないが。Appleはあまりにも長い間やりたい放題ができる立場にあり、小規模デベロッパーをいじめてきた。だが今や、同社は真の競争に直面し、しばらくぶりにブログ界と対立している。三つどもえの戦いだ。そしてこれはユーザーの得になる。その理由を説明しよう。

1. 競争はいいことだ

 Appleが市場の競争を「妨害」しているというPalmの主張は的を射ている。iPhoneのライバルであるPreがiTunesにアクセスするのは嫌だというAppleの気持ちは理解できるが、アクセスを認めればAppleにもメリットはある。そうすることで、Preユーザーがもっと(iTunes Storeで)音楽を買いたいと思うようになるかもしれない。iTunesにほれ込んで、Appleのハードが欲しいとさえ思うかもしれない。みんなにメリットがある。

2. Appleはいじめっ子だった

 少なくとも、GoogleやPalmとの戦いは、「Appleが敵に回すとまずい相手をいじめてしまったら、その反動を食らうことになる」という事実を浮き彫りにしている。Appleがほとんどあるいはまったく理由なく、App Storeからサードパーティーのデベロッパーのアプリを締め出したことが何度あっただろうか? そういうことがあっても、忘れ去られてしまう。率直に言って、そうしたデベロッパーにはニュースバリューがないからだ。だがGoogleとPalmはニュースバリューがあるし、やられっぱなしにはならない。これも消費者のプラスになるばかりだ。

3. Appleにはプレシャーが必要だ

 そろそろAppleがプレッシャーを感じてもいいころだ。iPod、iPhone、iTunesの立て続けの成功で、同社には批判の余地がほとんどないように見える。だがAppleが、その市場力の行使の仕方をめぐってプレッシャーにさらされ続ければ、いずれはやり方を変えなければならないということに気付くだろう。特に、規制当局から厳しい監視を受けるようになったら、高慢に苦情を退けることはできなくなる。

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