なぜ「やらない」のか。自分の陥っているパターンを認識する平本メソッド・ピークパフォーマンス実践シリーズ(2/2 ページ)

» 2006年07月03日 20時50分 公開
[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]
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平本 「快・苦痛原理の実習」の表に、本当にやりたいことを書き出してみてください。表の(1)と(2)だけ、記入して、(3)と(4)には行かないでください。「目先」では(1)と(2)で、「行動すること」と「苦痛」、「行動しないこと」と「快」が結びついているけれど、「究極(結末)」では正反対になります。ちなみに、「行動」に何を書きましたか?

斎藤 「朝の計画立て」です。

平本 では、「朝の計画」をずーっとやらないと想像してください。「朝の計画」を今日もしない、明日もしない、半年後も1年後もしません。でも仕事はもっと量が増えていきます。部下が増えて、仕事量が増えて、きっと会社も大きくなりますよね。立場が上になって、アポも増えて、仕事量も増えて、部下も増える。それでも、延々と「朝の計画」をしません。最後、どうなると思いますか? イメージしてみてください。

斎藤 自分の本当にやりたいことが、できなくなるような感じがします。振り回される感じがします。

平本 それでも、まだ「朝の計画」をしません。仕事はもっと、どんどん来ます。3年経ちました。会社が大きくなって、仕事が増えて、でも「朝の計画」はいっさい立てません。どうですか?

斎藤 どんなだろう……自分がその場にいるのが、嫌になっている感じがするような……。

平本 嫌になっている感じがするけれど、もっと仕事量は増えます。でも、「朝の計画」は立てません。5年が経ちました。今の3倍から5倍の仕事量、部下は20人くらいいて、でも、「朝の計画」は立てない。すごい仕事量で、会社が大きくなって、アポがいっぱい入ってくる。でも、「朝の計画」を立てません。どうですか?

斎藤 なんだか、自分が成長しない感じが強くなってきますね。

平本 じゃあ、会社は大きくなっているんだけど、自分はぜんぜん大きくならない。でも仕事はどんどん来て、部下が増えて、アポが増えていく。でも「朝の計画」をやらない。10年経ちました。自分はどうなっていますか?

斎藤 その中では、今とちょっと違う……良い場所には、いない感じがします。

平本 どんな場所ですか?

斎藤 もっとグータラになっているような気がします。

平本 そういうのを(3)の「実際に行動しないことで失うもの」に書いていただきたいんです。じゃあ、今度は(4)の「実際に行動することで得るもの」です。その前に、1回大きく伸びをして、ニコッと笑っていただいて。10年前に戻って、今から「朝の計画」を立てたとします。ほんの5分でも「朝の計画」を立てたとしたら、今すぐはそれほど変わらないと思いますが、半年後、1年後、どんないいことがあると思いますか?

斎藤 1日のいいリズムが作れそうな気がします。

平本 リズムが作れる。どんどんリズムが作れて、仕事が増えるし部下も増える。それでも毎朝、「朝の計画」を立てています。3年くらい経ちました。どうですか?

斎藤 1日がしっかり回る感じがします。

平本 そして5年が経ちました。部下が相当いて、会社も業界でダントツになっています。そして、毎朝、自分が「朝の計画」を立てています。どうですか?

斎藤 その日その日をすごく機敏に動ける感じがします。

平本 そして10年が経ちました。インターネットメディアは、テレビ・ラジオ・新聞と対等なメディアの領域に来ています。「そういえばあのとき、この媒体を立ち上げて、ここまで来たんだね」といわれる頃で、もしかしたら部下が数百人いるかもしれない。その頃でも「朝の計画」を立てています。どうですか? どんな1日ですか?

斎藤 いつも通りの1日なんだけど、充実している。そんな1日になっているような気がします。

平本 では、どうしましょう。先延ばししている「朝の計画」は、やったほうがいいと思いますか? やらないほうがいいと思いますか?

斎藤 やらないとダメですね。やらないとダメです。

平本 という感じなんです。つい目先を見てしまうんですが、このままやらないと、どんなひどいことがあるか、やると、どんな良いことがあるか、ちょっと論理的結末を想像してもらうと、「やったほうがいい」ということになりますね。以上が「ステップ2」です。


さて、「論理的な結末」は?

 では、あなた自身の論理的な結末も見てみましょう。

 今までに記入した表を見てください。そして、@AとBCを比べます。

 @+A<B+Cになっていますか? つまり、目先の「快」+「苦痛」より、長期的に手に入る「快」+「苦痛」のほうが大きくなっていれば、やったほうがいいということになります。もしも、これとは逆で、@+A>B+C、つまり、目先の「快」+「苦痛」のほうが、長期的に手に入る「快」+「苦痛」より大きい人は、取り組むことをあきらめたほうがいいでしょう。やったほうがいいという結論に達した項目のみ、次以降のステップで具体的な取り組み方について扱っていきましょう。

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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本相武(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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