細くて短いノック式マーカー、洗濯バサミのようなクリップ付きペン、塗れた面に書けるペン、“親指の付け根”で持つペン──。さまざまなペンをチェックした。
単に書ければいい──から、より使いやすくより優れたデザインへ。各種ペンの進化具合を、東京ビッグサイトで開催中の国際 文具・紙製品展(ISOT)で見た。
シヤチハタが展示している「ウェットライト」は、塗れた面にも書けるペンだ。油性ペンであれば何にでも書けると思われがちだが、実は水滴が垂れているような面にはうまく書けない。アルコール系のインクを使っているため、芯が水を吸い込んでしまうのだとシヤチハタ。ウェットライトは特殊なインクと芯を開発し、塗れた面でも書けるペンを実現した。
とはいえ、発売当初はどんなシーンでウェットライトが使われるのかよく分かっていなかったのだという。2004年の発売から2年、利用動向を調べたところ、「魚市場などで発泡スチロールに書くのに使われているようだということが分かった。ところが最初に発売したウェットライトはペン先が細く、発泡スチロールに刺さってしまう」(シヤチハタ)。
魚市場などでは水で濡れた発泡スチロールに文字を書くのに、クレヨンなどを使っているのだという。そこに特化して新型ウェットライトは開発された。ポイントは発泡スチロールに刺さらない、太くて丸いペン先だったというわけだ。
エルゴノミクス形状もここまできた──と感じさせるのが、ぺんてるが8月末に発売する「ウインググリップ」。ペンの中央に羽のような爪があり、これを親指の付け根に当てることで、4つの支点でペンを持つことができる。
「通常のペンに比べて筋力負担が約半分になります。また、筆圧が低い人でも、第4の軸によって筆圧がかかりやすくなっています」(ぺんてる)
ある程度の筆圧が必要な油性ペンであっても、軽く持つだけでかなりしっかりと書ける。事前に爪の位置や角度を設定しておけば、自分にあったポジションで利用可能だ。価格は1本840円を予定している。
ぺんてるが展示しているのは、ノック式のマーカーペンだ。蛍光ペンで有名なマーカーだが、キャップを外しておくと乾燥して書けなくなってしまったり、そもそもキャップの付け外しが面倒だったりするのが難点。そのため各社は、ペン先が収納できるノック式のマーカーも開発しているが、「これまでのものは、ペン先の乾燥を防ぐためフタを設けなくてはならず、太く長くなってしまう」(ぺんてる)という問題があった。
今回開発した「HandyS」は、キャップ式と同じくらい“細くて短い”のが特徴。ペン先のフタのロック機構をクリップ側に持たせることで小型化を実現したのだという。
「蛍光ペンは、学生や保険の営業の方など外で使われることが多い。さっと取り出して簡単に使えることで、これまで以上にニーズがある」(ぺんてる)
10月に蛍光ペンのマーカーを発売し、12月には油性マーカーを投入する予定だ。
トンボ鉛筆が発表した「PFit」は、洗濯バサミのような大きなクリップが付いた小型ペンだ(7月3日の記事参照)。クリップ部にはラバーを配し、「紙や服に留めても跡が付かない」(トンボ鉛筆)ようにした。
平らで大きなクリップ部を、デコレーションスペースとして使ってほしいというのがトンボ鉛筆からのメッセージ。国際 文具・紙製品展では、説明員の皆さんが思い思いにデコレーションしたPFitを見ることができる。
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