仕事が思うようにはかどらない日があって困る【理論編】シゴトハック研究所

「何で今日は仕事がはかどらないんだろう」「今日は乗らないなぁ」と思ったことはないでしょうか。そんな日の対策法をお教えします。

» 2006年08月17日 17時28分 公開
[大橋悦夫,ITmedia]

今回の課題:仕事が思うようにはかどらない日対策

状況説明:いつもは何の問題もなくできる仕事なのに今日に限ってはかどらない、あるいは前回うまくいった方法でやっているのに、今回はやたらと手こずる、ということがあります。自分でも原因が明らかな場合もありますが(例えば、二日酔いや寝不足、あるいは心配事があるなど)、自分ではどうにもできないことが障害となっていたり、さっぱり原因不明だったりということもあるでしょう。

 やろうと思ってもできないのであれば、やり方を変えるしかありません。ということで「やり方を変える」ためのやり方を考えてみます。


コツ:やり方を変えてみる

 毎日の仕事のほとんどは、すでに一度以上やったことがある作業の組み合わせであり、それらをいかに効率よく反復するかがカギとなります。逆にいえば、初めて取り組む仕事にはある程度の時間と試行錯誤が必要であり、そのための時間を確保するために、すでにやったことがある仕事を可能な限り早く片づけることが求められるわけです。

 とは言え、やったことがあっても「思うようにはかどらない」ことはあるものです。「いつもはうまくできるのに、今日に限ってうまくいかない」という場合です。

 原因が分かっていれば、手の打ちようはあります。例えば、二日酔いや寝不足が原因なら、クスリを飲む、昼休みに仮眠を取るようにする、心配事があるなら、早めに身近の頼れる人に相談する、といった具合です。

 問題になるのは原因が分からない場合でしょう。例えば、いつも通り元気に出社してきて席に着いて仕事を始めたのに、なぜか仕事が手に着かないような時はどうすればいいでしょうか。

 仕事は慣れるほどに負荷が軽くなって、早く楽にこなせるようになります。最初はストレスに感じていたことでも、ひとたびコツのようなものを体得すると、自分なりに“最短距離”を見いだして“サクサク”こなせるようになるわけです。

 仕事が楽しいと感じられる時というのは、このような上り調子の時でしょう。でも、一度上ったものは必ず下りがやってきます。その原因の1つに“飽き”があります。いくら楽しいからといって、同じ作業をえんえんと繰り返していれば、必ず飽きてきます。この“飽き”をいかに乗り越えるかで、再び上り路線に復帰できるか、そのままずぶずぶと沈んでいってしまうかが決まります。

 原因不明の停滞が訪れたら、「これは“飽き”が来たかな」という当たりをつけて、いつもと違うやり方を試してみましょう。ヒントとして、以下のような着眼点があります。

変更点 サンプル
場所のシフト 自分の席を離れて、会議室やカフェにこもって仕事をしてみる
時間のシフト いつもより1時間早く出社して仕事をしてみる
パターンのシフト 作業の順番を変えてみる
目標のシフト 「ミスを減らすには」「スピードアップするには」などの挑戦目標を設定する

場所を変えて自分を追い込んでみる

 自分の席というのは自分が使いやすいように“カスタマイズ”してあるものです。それゆえ便利ではあるのですが、それが当たり前になっているとその便利さを感じにくくなります。そこで会議室やカフェといったいつもと違う場所で仕事をしてみます。すると、当然不便さを感じるのですが、同時に自分の席にはない新鮮さに気づくはずです。

 この新鮮さが“飽き”を払い除けるうえで非常に効果的なのです。そして、自分の席ではないことによる不便ささえも良い方向に影響します。

 例えば、カフェでは同僚がいる社内と違って、知らない人ばかりに囲まれることになります。自然と緊張感が高まり、明らかに社内とは違うモードになることができます。ノートPCを持ち込んで仕事をする場合であれば、社内なら電源があるので何時間でも仕事ができますが、カフェの場合はバッテリーの残り時間を気にしながらという“締め切り”と対峙することになります。

 自然と「カフェにいる間に、あるいはバッテリーが切れるまでにこれとこれは終わらせよう」という目標設定が明確になり、集中力が生まれるのです。そして、必要は発明の母・不便は創造の父よろしく、追い込まれて不便な環境に身を置くからこそ生まれるアイデアがあります。

予想を裏切る変化球、チャレンジを刺激に

 いつもより1時間早く出社するという試行もまた、新鮮さを伴います。通勤電車からして、いつもより空いていることに驚かされたり、電話が鳴らないオフィスの快適さを知ったり、といった刺激に満ちています。

 作業の順番を変えるだけでも効果があります。“飽き”というのは「次はどうせこうなるんだろう」という予想がついてしまうことから漂い始めるものですから、「あれ、次はこうじゃないの?」という予想を裏切るような、ある意味で自分を出し抜くような“変化球”が有効です。

 慣れから来る“飽き”には、チャレンジで応酬します。もはや片手間でもできるようになった仕事があるのなら「もっとクオリティを上げるには」「もっと早く終えるには」という挑戦目標を設定して取り組むことで、新たな負荷が加わり、適度な刺激となります。

 後輩に自分の仕事のやり方を教えるのも良いでしょう。自分では何も考えなくてもできる仕事でも、それを人に説明しようとすると途端に言葉が出なくなることがあります。そういうことに気づくことも大切ですし、結果として自分以外でも同じ仕事ができる体制を作ることができれば、自分の手が空かない時や休んだりしたときのバックアップにもなります。

 以上のように、仕事が思うようにはかどらなくなったら、“シフト”というキーワードでやり方を変えてみると現状を打開することができるはずです。

筆者:大橋悦夫

仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『「手帳ブログ」のススメ』(翔泳社)がある。


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