話題のニュースをデータから読み解く(3):ブログ検索編デジタルワークスタイルの視点

「ハンカチ王子」「フォクすけ」といった最近話題のキーワード。Google Trendsでも捕捉できないキーワードの分析はブログ検索を利用しよう。

» 2006年09月27日 15時11分 公開
[徳力基彦,ITmedia]

 前回は「Google Trends」を使って、検索数のトレンドからニュースの裏を読むテクニックをご紹介しました(9月20日の記事参照)。ただ、最後に書いたようにGoogle Trendsでは、一定の検索数がないとグラフが表示されませんので、出たばかりの新製品や、小規模なサービスのキーワードでのデータを知ることができません。

 すでに大きな話題になっているものであれば、Google Trendsでその傾向を調べることができますが、これから話題になるものを知りたい場合にはあまり傾向を把握することができないのです。

 そこで今回は、そんな時に役立つブログ検索サービスを使った、話題の広がりをチェックする方法をご紹介したいと思います。

→アクセス数から読み解く方法はこちら

→検索トレンドから読み解く方法はこちら

ブログで話題になっている量をチェック

 gooブログサーチテクノラティなどのブログ検索を使えば、比較的手軽にクチコミ情報を検索できることを以前ご紹介しました(7月19日の記事参照)。

 とはいえ、通常に検索しただけでは時系列で記事が表示され、検索結果数が出る程度ですから、そのキーワードが話題になりつつあるのか、過去に盛り上がったのかを判断することはできません。そこで、さらにその「クチコミの量」をグラフで見てみましょう。

 ◆◇Yahoo! JAPANのブログ検索◆を利用すると、検索結果の右側に「キーワードの注目度」というグラフが表示されます。これは、そのキーワードがどれだけブログに記述されたかという回数の推移のグラフです。「ライブドア」で検索すると、2006年1月の“ライブドアショック”の際に、大きなピークを迎えているのがわかります。

“ライブドアショック”に大きなピーク

 さらに、Yahoo!ブログ検索では、グラフの中の特定の日を選択して検索を行うことができますので、ピークの日を選択してその日に更新されたブログを一覧表示することも可能です。

ブログを一覧表示してみたところ

 ブログ検索であれば、こうしてブログ記事の内容を確認できます。検索結果の一覧表示から全体のトーンも推測できるでしょう。AlexaGoogle Trendsとブログ検索はこのあたりが異なるわけです。

ブログ検索ならブレイク直後のキーワードもカバー

 ブログ検索は急に脚光を浴びたり、新たに生み出されたキーワードで特に威力を発揮します。甲子園で優勝して話題になった「ハンカチ王子」というキーワードで検索してみましょう。優勝した8月21日に一気にキーワードがブレイクしたのがよくわかります。

「ハンカチ王子」は早稲田実業が甲子園で優勝を決めた8月21日にピークを迎えた

 この「ハンカチ王子」は8月に突如出現したキーワードです。当時、Google Trendsで「ハンカチ王子」を検索しても、データ量が十分ではないというエラーが出てしまいました(9月27日現在はヒットします)。ドメインを検索するAlexaでは検索不可能です。ブログ検索ならではのグラフといえるでしょう。

 また、ブログ検索ではテレビで話題になっていないようなキーワードでも検索可能です。テレビではほとんど話題になっていないFirefoxのマスコットキャラクター「フォクすけ」で検索してみましょう。

 ハンカチ王子に比べると数は当然少ないですが、発表後にピークが来ているのがわかると思います。

「ハンカチ王子」よりは少ないが、発表のあった近辺にピークを迎えている

 これらのデータを追っていけば、華々しくリリースされた新サービスが、はたしてブログ界隈で話題になっているのかいないのか、その話題は長続きしているのかどうか、という情報を知ることができるわけです。

ブログ検索で注目のキーワードを知る

 また、多くのブログ検索では、検索数が急上昇した注目のキーワードをRSSフィードとして入手できます。検索数が急上昇したということは、何らかのきっかけでそのキーワードが話題になり、そのキーワードの情報を探す人が増えたという状況です。

 

 Yahoo!ブログ検索の場合は、トップページにある「検索数急上昇のキーワード」の右側にあるRSSを登録することで、注目のキーワードを随時RSSリーダーで入手することができます。「今、どういう話題に注目が集まっているか」を知るには良いデータですので、たまに目を通してみると面白いと思います。

Yahoo!ブログ検索トップページにある「検索数急上昇のキーワード」。赤枠内の右上にRSSフィードのボタンがある

 なお、残念ながらブログ検索に関しては、まだサービスごとにデータ数やブログのカバー率にばらつきがあり、「このサービスで検索すれば、ほとんどのブログがカバーできている」と言い切れないのが実情のようです。とはいえ、クチコミ情報の大体の傾向を把握するには便利なサービスだといえると思います。

 今後も、それぞれのサービスで機能追加がされていくと思いますので、自分の使い勝手にあったブログ検索サービスを探してみてください。

【主なブログ検索サービス】

 以上、3週にわたってアクセス数検索トレンド、ブログでのクチコミの3種類のデータから、話題のニュースをデータから読み解く方法をご紹介しました。

 それぞれのデータに、それぞれメリット/デメリットがありますので、依存しすぎるのはよくありません。けれども、どのデータもインターネット以前には入手するのが非常に難しかったり、不可能に近かったデータです。そんな貴重なデータを無料で入手できるわけですから、使わない手はないでしょう。状況に応じていろいろ試してみてください。

筆者プロフィール 徳力基彦(とくりき・もとひこ)

NTT、ITコンサルを経て、現在はアリエル・ネットワーク株式会社プロダクト・マネジメント室マネージャ。ビジネスパーソンの生産性向上のためのソフトウェアの企画・開発やコンサルティング業務に従事するほか、グループウェアやブログ、仕事術などに関する執筆・講演活動を行っている。ブログは「ワークスタイル・メモ」と「tokuriki.com


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