その日のタスクリストを作っても実行できない──という人。その中には、今日やらなくてもよい、明日でもいいタスクが紛れ込んでいませんか?
SlimTimerを使って1日の作業記録を取ってみたヒロシ主任とタカフミ君。夜になって、記録を振り返りながら話し合っています。
タカフミ君 うわぁ、思ったよりもメールのレスに時間かかってるなー。
ヒロシ主任 私の場合は、電話の回数が多い感じかな。ある程度予想していたことだけど。1回1回はたいした時間じゃないと思ったのに、トータルすると2時間もかかってる……。
タカフミ君 確かに、1回あたりの時間が少ないと思っても、1日分にすると無視できない時間になるものですね。
ヒロシ主任 あと、何もできていない時間が意外と多かったりして。
タカフミ君 あー、使途不明時間ですね。
ヒロシ主任 そうそう、この調子で段取りを考えるとなると、今よりかなり抑えめなスケジュールにしないといけなくなる。
マサヨシ課長 なかなか良い発見をしているようだな。
タカフミ君 あ、課長。そうなんです。記録取ってみたら、今まで何となく「これぐらいかな」と思っていた時間と実際にかかった時間とのギャップがあまりにも大きくてびっくりしました。段取りが全く役に立っていないことが分かったり。
ヒロシ主任 毎日終電間際まで残業するのもうなずるなぁ、と。
マサヨシ課長 ウム、それが分かっただけでも大きな進歩と言えるんじゃないかな。そうしたら、せっかくの記録を明日以降の仕事に活かすようにしないといけないな。そのためには、どうすればいいだろう?
ヒロシ主任 そうですね、まずは予想以上に時間がかかっているタスクを見直すことでしょうね。
タカフミ君 あと、使途不明時間を何とかしないと。
マサヨシ課長 なぜ、使途不明時間が発生するんだろうか?
タカフミ君 うーん……。やっぱり、やるべきと分かっていても手をつけずにほかのことをやってしまうからでしょうね。しかも予定にない仕事とか、メールチェックとか。
ヒロシ主任 飛び込み仕事でやむを得ず、ということなら仕方がないんですが、何もないのにタスクリストに書いていないタスクに手をつけてしまうんですよね。「リストに書いてないけど、これは必要」という感じで。
マサヨシ課長 それはよくないな。必要であればあらかじめリストに書けるはずだし、そもそも後から「これも必要」と感じるということは、段取りの段階でそれが見えていなかったということになる。
タカフミ君 あと、タスクリストに「できれば今日やりたい」というタスクを入れてしまうのもよくないのかな、と思っています。明日以降の仕事を少しでも減らしたい、という気持ちがそうさせるんだとは思うんですが……。
マサヨシ課長 ウム、それはクレジットカードで買い物をする時の心境に似ているかもしれないな。手元に現金がなくても、とりあえずカードなら買うことができてしまう。つまり、タスクリストにたくさんのタスクを詰め込むことは、クレジットカードで支払うのと同じで、結局後からきっちりと請求されるわけだ。
タカフミ君 あぁ、なるほど。完璧なタスクリストも作るだけなら簡単ですもんね。
マサヨシ課長 もちろん、クレジットカードを使うことは悪いことではない。明細が残るから、それで何を買ったかがわかるし、貸し倒れにさえならなければ、有効なツールになる。
ヒロシ主任 えーと、クレジットカードで買い物をするというのは、タスクリストを作って仕事をする、という意味ですね? となると明細は作業記録になるのか。自分の持ち時間以上の時間を「後払い」で使ってはいけないとも言えそうですね。
マサヨシ課長 その通り。そのためには、自分の「消費動向」をきちんと把握しておく必要があるわけだ。そうしたら、今日の2人の「明細」をもとにチェックしてみようか。
仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『「手帳ブログ」のススメ』がある。
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