段取りを作って作業を始めても、なかなかその通りにはいかないもの。その理由の1つは作業時間の見積もりが甘かったせいです。どのようにしたら作業時間を正確に見積もれるでしょう。
今日の教訓を明日に活かすには?
コツ:作業記録を正確に残す
前回は「Nozbe」を使って段取りを考える方法をご紹介しましたが、せっかく段取りがあっても、実際にその通りに実行できなかったのであれば、原因を突き止めて、翌日の段取りに役立てたいものです。すなわち、段取りのレビューが必要になります。
そのためには、レビューの材料として「作業記録」が欠かせません。作業記録から得られることは、主に以下の2点です。
特に「段取り通りにできなかったことは何か?」が重要で、その原因が以下のどちらであるかを見極めます。
段取りに問題があったのであれば、よりよい段取りを考える必要がありますし、やり方に問題があったのであれば、よりよいやり方を考えることになります。いずれにしても、次に何をすべきかが作業記録から読み取れるようになるわけです。
作業記録には以下の要件があります。
まず、正確でなければ判断材料として使うことができません。そして、忙しい仕事の合間に記録していくことになるため、なるべく少ない手間で記録できることが肝要です。さらに、残した記録から実際に要した時間が分かるようにするのはもちろん、作業の過程で気づいたことや思いついたことがあれば、それも後から振り返ることができれば、より有用でしょう。
このような要件を満たすための作業記録に必要な項目としては、以下の5項目が考えられます。
最低限、行った作業と実際にかかった時間を記録するようにします。さらに、開始・終了時刻も把握できていれば、時間帯によって長くかかるのか、短くて済むのか、という分析も可能になりますので、あった方が便利でしょう。
以上をまとめると以下の表のようになります。
作業内容 | 簡潔に書く |
---|---|
開始/終了時刻 | その作業を開始した時刻と終了した時刻 |
実績時間 | その作業に要した時間(終了時刻から開始時刻を差し引いたもの) |
所感 | 作業を行う過程で気づいたことや思いついたこと(あれば書く) |
この中で特に役に立つのが「所感」です。すべてのタスクについて書く必要はないのですが、作業を終えるたびに、以下のような自問を通して、引き出すようにします。
可能な限り、タスクが1つ終わるたびに記録することを習慣化したほうがよいでしょう。いくつかのタスクを終えてから記録をするのでは、「思い出す」という時間が余計にかかってしまうからです。タスクが終わった直後であれば、記憶は新鮮ですから、結果として少ない手間で記録することができます。
もちろん、紙に書き出したり、Excelに入力したりしていくという方法でもいいのですが、要件に挙げた通り「少ない手間で」記録するためには、専用のツールを使った方が負担も少なくなり、長続きしやすくなります。
作業記録ツールとして今回は「SlimTimer」というWebサイトを使った方法をご紹介します。「SlimTimer」は、リアルタイムに作業記録を取るためのツールで、時間の計測も合わせて行うことができます。後から、いつ、何を、どれぐらいの時間をかけて行ったのかを正確に振り返ることができるわけです。
使い方の詳細については割愛しますが、大まかな手順は以下の通りです。
これを繰り返すことで、タスクごとにかかった時間が記録され、後から一覧で確認することができます。前回の記事でサンプルとして挙げたタスクリストを「SlimTimer」を使って計測してみます。
こうして、1日のすべてのタスクの記録が終わると以下のように一覧で確認することができます。
なお、外出などでリアルタイムに計測できない場合は、後から開始・終了時刻を手入力することもできます。
この実績と「Nozbe」で作った段取りとを見比べる、すなわち段取りのレビューを行うことで、より現実に即した段取りができるようになるでしょう。
仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『「手帳ブログ」のススメ』がある。
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