女性社員の悩みを解決?――社員向け相談室のアウトソースサービス

成果主義の導入で現場が疲弊している、と感じているビジネスパーソンは多いだろう。残業や休日出勤が当たり前になればなるほど、子育てや介護との両立に悩む女性は増える。働きたいが苦しい――そんな女性社員へのカウンセリングを請け負う企業が現れた。

» 2007年03月23日 17時13分 公開
[吉田有子,ITmedia]

 キャリアに関するセミナー事業などを行っているエム・アイ・アソシエイツは、企業と契約し、そこで働く女性を対象にするカウンセリングサービス「Aoyama Women's Support Room」を5月に開始する。4人の常勤と2人の非常勤のカウンセラーは全員が女性だ。

 仕事に関するものだけでなく、人生全般に関する悩みを受けつける。相談者個人が特定されるような情報は原則として契約企業に報告しないが、例外として、セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、うつ症状などで、本人から会社に伝えてほしいという要望があった場合のみ報告する。年に数回、個人を特定できない形で利用回数や相談内容の傾向をまとめたレポートをエム・アイ・アソシエイツから契約企業に提出する。エム・アイ・アソシエイツは、このサービスで初年度に50社との契約を目標としている。

現場の疲弊と女性特有の悩みで「女性たちは相談したがっている」

エム・アイ・アソシエイツの植田寿乃氏

 Aoyama Women's Support Roomでもカウンセラーを務める、エム・アイ・アソシエイツの植田寿乃取締役は、現在講義形式と1対1の面談をセットにしたセミナーなどを通して、年間700〜800人のカウンセリングを行っている。「女性向けのセミナーを行うと、大勢の中では元気なのに、1対1になると涙を浮かべる女性が多い。一方で、女性はカウンセリングの場での自己開示が早い。自分の話を聞いてくれる環境があれば、落ち込んでいた女性も元気を回復する傾向がある」と、個別カウンセリングのニーズがあると判断したという。

 「女性たちは相談したいのです」と話す植田氏は、成果主義の導入による現場の疲弊も指摘する。「昔から会社に入社して3年くらい経つと、今いる会社での将来に疑問を持ったり、辞めたくなったりするものだった。しかし、相談に乗ってくれたり引き止めてくれたりする上司や先輩がいたおかげで踏みとどまってきた面が大きい。現在は、先輩や上司にも後輩の面倒を見る余裕がなくなっている」

 これに加えて、仕事に関する女性固有の悩みは多いという。「女性の人生における妻・母・嫁といった役割の多様性や、出産・子育て・介護などを通じて、年代によって仕事と生活のバランスは変化する。残業や土日出勤をこなせる人が偉い、というのは男性が作った価値観の中でのルール。会社に用意されている育児休暇や時短制度も、女性だから得をしていると見られたくないので、本当は使いたいのだが使えない、というケースが本当に多い」

 働く女性にとって、相談できる「メンター」や「ロールモデル」が身近にいないことが多いのも問題だ。1985年に男女雇用機会均等法が施行され、企業が4大卒の女性を戦力とみなし始めた。そのとき22歳だった女性が、現在は44歳だ。現在40代以上で働き続けている女性の数はただでさえ少ない上に、仕事にまい進するあまり“仕事と結婚”したように見える女性など、年下の女性から見て見習いたい存在になっていないという。

 「自分がその年齢になった時に、あの人のように働けそうだな、と感じられる人がロールモデル。現在20代から30代前半の女性から見て、社内にいる40代女性の多くは自分もああなりたい、なれそうだと思えるロールモデルになれていない」(植田氏)

 また、外部に相談できる施設を持つことのメリットとして、先輩女性が少ない会社でも、子育てと仕事の両立や婦人科系の病気など女性ならではの悩みに応えることができること、相談した内容が人事評価に影響されないことなどを挙げる。

 「今までキャリアに関する相談をできる場所というと、ハローワークや人材紹介会社だったが、これらは基本的に転職を勧めるところだ。これに対してAoyama Women's Support Roomでは、転職は勧めず、その会社の中で働き続けることをサポートする」と、既存サービスとの違いをアピールする。

 女性たちの悩みを聞くためには、メンター的な役割を果たせる人材の育成、男性管理職の意識改革、管理職の人間力アップ、女性のロールモデルの育成などが必要だという。しかし、これらは本来なら社外のサービスではなく、社内にあるほうが望ましいとし「Aoyama Women's Support Roomは過渡期的な存在。2010年までには必要のないものになってほしい」と植田氏は話した。

 Aoyama Women's Support Roomと契約する企業は、自社で働く女性のうち誰をこのサービスの対象にするか契約時に決めておく必要がある。料金はエム・アイ・アソシエイツのオフィスで面談または電話でのカウンセリングを行う場合は年間63万円、契約企業にカウンセラーを派遣する場合は年間84万円。エム・アイ・アソシエイツで行う場合は50分のカウンセリングを1カ月に5回まで受けることができ、6回目以降は1回あたり1万500円が追加になる。カウンセリング回数が月5回に満たない場合でも、翌月への繰り越しはできない。契約企業にカウンセラーを派遣する場合は、カウンセラーを年4回派遣し、1回の派遣で1人あたり25分のカウンセリングで15人までに対応する。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ

あなたにおすすめの記事PR