ビジネスパーソンがブログを書くときに気をつけたい4つの問題(2/2 ページ)

» 2007年03月23日 23時37分 公開
[鷹木創,ITmedia]
前のページへ 1|2       

荒らしにはどう対応する?

 ビジネスパーソンが実名ブログで最も恐れることは、いわゆる「荒らし」や「炎上」問題だろう。運営するブログにコメントやトラックバックが殺到し、恐慌状態になってしまうケースも少なくない。

 シンポジウムのパネリストらは、ほとんど批判コメントなどを無条件に削除することはないという。自身もブログを運営し、記事によっては100件ほどのコメントが寄せられるという池田氏は、「長いコメントは困るけど」と苦笑い。以前、ライブドア問題について記事を書いたときはコメントが殺到したが、先日、日興コーディアル問題のときにライブドア問題を引き合いに出してもまったく“炎上”しなかったという。

司会を務めた池田氏

 佐々木氏は「社会正義がオープン化というか流動化しているのではないか」と指摘。これまで新聞やTVの画一的な報道では、容疑者などが報道されてしまうと誤報であっても悪評を覆すのは難しかった。しかし、ブログが盛んになればさまざまな見解が読めるようになる。報道の賛否なども検証されるわけだ。佐々木氏自身も、一度オウム信者に取材した記事を掲載したことがある。当初はネガティブな意見が多かったが、現在は反対に冷静な意見が多いという。

 「ブログは私のウチなんだ」というのは小飼氏。「ここ(ブログ)にゴミ(のようなコメント)が転がっていたら、私の責任。しかし、気に食わないやつもコミュニティに入れておくことで活性化する」という。そのかわり、コメント欄のフォントサイズを本文よりも小さくして、どちらが主か従か分かりやすくしている。自身は「意見を述べたいのであれば、自分のブログで、コメントは誤字脱字など」と使い分けており、ほかのブログからのトラックバックはスパム以外削除しない。

 小飼氏とは逆に、「トラックバックではなくて、コメントで」というのは、アルファブロガーならぬ「ガンマブロガー」だと笑う原淳二郎氏。トラックバックスパムが多いため、確認作業が面倒くさいのだという。佐々木氏は、「技術的に、荒れにくい仕組みにすることもできるのではないか」という。磯崎氏も基本的に賛成だ。「ブログの次の仕組みを開発してくれるとうれしい」

原淳二郎氏は、トラックバックスパムが多いため、受けたトラックバックの確認作業が面倒くさいのだという

ブログだけで生活が成り立つのはわずか

 ビジネス系ブログをネットワーク化し、広告配信する「アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)」など、最近ブロガーらが連携してビジネス化する動きが広がっている(2月22日の記事参照)。ブロガーがお金を儲けられないと、質の高いブログは維持できないものなのか。ブログというメディアが、広告を出稿するクライアントと必要以上につながる懸念はないのか。

 そもそも、パネリストたちの共通した認識は、ブログだけで生活が成り立つのはわずか、というもの。AMNに参加する小飼氏は「別の収入源があるから大丈夫」と、クライアントの影響力はほとんどないという。「金銭は報酬の一部でしかない。書きたいことが書ける、読者が増える、記事のクオリティがあがる。これらも報酬だ」。同じくAMNに参加する磯崎氏は「ブログを書くことに経済合理性はない。アジャイルメディア・ネットワークは、ちょっと質の高いブログに、価値の高い広告を付けられないかという仕組み」だという。

ブログ「isologue」の磯崎氏

 他方、日本語文化圏にブログで生活ができるほどの規模があるのかという意見もあった。「英語を使う人は全世界で10数億人、日本語は1億人、ブログで生活できる人も日本語圏では自然と少なくなるのではないか」(佐々木氏)。「OvertureやGoogle AdSenseの英語版サービスに、国内のECショップが広告を出すケースが増えている」とも指摘した。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ