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» 2007年04月11日 12時41分 公開

プロジェクトの進捗を「見える化」しようデジタルワークスタイルの視点

プロジェクトの進捗を「見える化」すると、無駄な会議が減らせる!? ホワイトボードや専用ソフト、Webサービスなどを活用した「見える化」の方法をご紹介します。

[徳力基彦,ITmedia]

 GTDの考え方を参考に、プロジェクト管理ツールの導入を考える際にはメンバー視点が重要だという話を前回ご紹介しました(4月4日の記事参照)。もう1つプロジェクト管理ツールの導入をする際に効果的なのが、プロジェクト管理ツールで実施している進捗管理状況自体を「見える化」することです。

 「見える化」というのは、「現場における企業活動の様子を目に見える形にする取り組みを象徴する言葉」で、トヨタに代表される製造業を中心に活用されている概念です。言葉の印象もあり、プロジェクトマネジメントにはあまり関係ない言葉として認識している人が多いようですが、「目に見える形にする」というコンセプトはそのままプロジェクトマネジメントでも活用できるのです。

デジタルワークスタイルの視点・プロジェクトマネジメント編
No. タイトル
1 “1人プロジェクトマネジメント”に取り組んでみよう
2 プロジェクトが“簡単に頓挫する”3つの要素
3 管理を完璧にしようとすればするほど、プロジェクトは失敗する
4 失敗しないプロジェクトマネジメント――Appleやはてな、Googleに学ぶ3つのヒント
5 ちょっとだけ、失敗しないプロジェクトに近づくための3つのヒント
6 プロジェクト管理ソフトの「3つの落とし穴」
7 GTDに学ぶプロジェクト管理ツール導入――3つのポイント

プロジェクトの進捗を「見える化」しよう

  • 進捗情報のやり取りはコストが高い
  • リアルタイムの進捗状況を共有してみよう
  • 進捗情報を共有できるプロジェクト管理ツールを使おう

進捗情報のやり取りはコストが高い

 定例の進捗会議でお互いの進捗状況を報告しあうのは、プロジェクトの進捗管理においてよくあるパターンです。ただ、このやり方は実は大きなギャップを生みます。

 例えば、定例の進捗会議が1週間に1回だった場合、誰かの作業の遅れを進捗会議が認識するのに1週間かかるということになります。プロジェクトリーダーは「作業が遅れているなら早めに教えて欲しい」と思うでしょうが、作業が遅れているメンバーは遅れを取り戻すことに精一杯で、報告が遅れることが多々あります。

 では、定例の進捗会議を頻繁に持てばいいのかというと、今度は会議が多くなりすぎて、実際の作業時間が短くなり、非効率になるリスクもあります。結局、「ここまではやってくれているはず」とメンバーを信じるか、プロジェクトマネージャーが頻繁にメンバーに進捗を確認するという手間が必要になるのです

リアルタイムの進捗状況を共有してみよう

 そこで取り組んで欲しいのが、進捗状況自体を「見える化」してしまう考え方。もともと、プロジェクトメンバーは、自分の進捗管理を何らかの形で実施しているはず。人によっては、紙のメモかもしれませんし、テキストファイルに書き込んでいるだけかもしれません。この情報を、プロジェクトメンバー全員で共有できるように、公開できる形にしてしまいましょう。

 例えば、プロジェクトメンバーが全員同じフロアにいるのであれば、ホワイトボードに全員の作業リストを一覧表として書き連ねるという方法があります。メンバーには自分の作業が終わったら、そこの作業をチェックしてもらうのです。

 重要なのは、手元のメモではなく、ホワイトボードの作業リストをベースに作業を進めてもらう点。そうすることでメンバー各自の進捗状況がリアルタイムに分かります。プロジェクトリーダーは、ホワイトボードを見ればメンバーの作業の進捗状況が逐一確認できる――というわけです。

進捗情報を共有できるプロジェクト管理ツールを使おう

 もちろん、この方法は作業の項目が多かったり、メンバーが異なる拠点に分かれている場合には利用できません。そこで有効なのがプロジェクト管理ツールです。

 気を付けて欲しいのは、進捗状況の見える化に有効なプロジェクト管理ツールというのは、1人で使うプロジェクト管理ツールではなく、進捗情報を共有できるプロジェクト管理システムを使うこと。一般的にプロジェクト管理ツールというと、マイクロソフトの「Project」や「Excel」で、プロジェクトマネージャーが全体のスケジュール表を作成し、その進捗管理をプロジェクトマネージャー自身が管理するというのをイメージする人が多いかもしれません。

 こうしたやり方は、今まで紙に書いて行っていた進捗管理を、ソフトウェアに置き換えただけ。本当の意味でプロジェクト管理ツールのメリットを有効活用していません。

 マネージャーが進捗状況のメンテナンスをやっているのでは、結局マネージャーが各メンバーの進捗状況を把握しなければいけないという状況は変わらず、定期的な進捗会議やマネージャーがメンバーに進捗を確認する行為が発生してしまいます。

 どうすればいいのか――というと答えはそれほど難しくありません。メンバー自身の作業管理が、そのまま他のメンバーに分かるプロジェクト管理ツールを使えばいいのです。

 マイクロソフトのProjectもサーバを立てれば進捗状況を共有できますし、サイボウズのようなグループウェアでもプロジェクト管理機能を持っているものが複数あります。サーバ不要で情報共有できる「アリエル・プロジェクトA」でも、PC同士で進捗情報を共有できます(2月16日の記事参照)。

 こういった専用ソフトを利用するのが敷居が高いと言う場合は「Google Docs & Spreadsheet」のような複数メンバーで共有可能なWebサービスを利用する手もあります(3月20日の記事参照)。

 とにかく重要なのは、メンバー自身の作業の進捗状況をリアルタイムに共有してしまうこと。進捗情報は、定期的に会議で共有するのが当たり前と思っている人は、ぜひ一度「進捗状況の見える化」にチャレンジしてみてください。

筆者プロフィール 徳力基彦(とくりき・もとひこ)

NTT、ITコンサルを経て、現在はアリエル・ネットワーク株式会社プロダクト・マネジメント室マネージャ。ビジネスパーソンの生産性向上のためのソフトウェアの企画・開発やコンサルティング業務に従事するほか、グループウェアやブログ、仕事術などに関する執筆・講演活動を行っている。ブログは「ワークスタイル・メモ」と「tokuriki.com


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