リース? 買い取り? 契約スタイルを再確認しようあなたのグループでも導入できる──賢く選ぶビジネスプリンタ

OA機器の導入に伴う契約は、総務が担う大切な業務。リースや買い取りなど基本的な契約の仕組みを再確認するとともに、自社に合ったスタイルを見直してみよう。

» 2007年09月21日 09時14分 公開
[SOS総務]
SOS総務

 OA機器の主な導入方法としては、「新品リース」「新品買い取り」「中古買い取り」「クレジット(分割払い)」「レンタル」がある。これらの契約スタイルには、それぞれにメリット、デメリットが存在する。短絡的に「OA機器の導入=リース契約」と考えるのではなく、自社の状況や全体のコスト、使用期間などをかんがみて、自社にあった契約スタイルを検討しよう。それぞれの特徴については以下を参考にしてほしい。

1──新品リース

 希望の機器をリース会社が企業に代わって購入し、期間や料金を定めて賃貸する方法(対象となるのは30万円以上)で、法人・個人事務所において最も一般的なスタイル。

 月々のリース料で希望の機器を導入でき当面の設備投資が抑えられる、原則として支払ったリース料は全額損金処理が可能(平成20年4月以降締結分はリース料総額300万円未満の契約が対象に。詳細は後述)、固定資産税の申告や減価償却費の計算など資産の所有に伴う事務手続きはリース会社が行うため、事務の合理化・省略化が図れるなどのメリットがある。一方、金利や手数料がかかるため価格が割高となる、途中解約ができないなどのデメリットも。

2──新品買い取り

 まとまった資金が必要となるが、金利や手数料の必要がないため、リースやクレジットなどと比較すると価格が抑えられるのが大きなメリット。また、10万円以上のものであれば「資産」となるため減価償却の処理など、事務処理が発生する。

3──中古買い取り

 新品と比較して半額以下で導入できるなど、初期費用を抑えるメリットがある一方、故障や保守サービスに関するリスク、在庫数の問題で希望の機種を導入するまでに時間がかかるなどのデメリットも。OA機器の耐用年数は約5年であるため、導入後の使用期間なども考慮する必要がある。なお中古の機器は原則としてリース契約はできない。

4──クレジット(分割払い)

 一度にまとまった費用を用意する必要がないというメリットがある一方、リースと比べ金利が高い、売買契約であるため物件所有に伴う事務処理が発生するなどのデメリットも。

5──レンタル

 必要なときに必要なものを利用できる、途中解約が可能など、自由度が高いのが特徴。短期利用であれば有効だが、長期の場合はかなり割高に。

リース、レンタル、クレジットの比較──WebサイトQOOLより
内容 リース レンタル クレジット
契約 賃貸借契約、保証人必要 売買契約
契約期間 3年〜7年 数日〜数年 1回〜84回
機器の所有者 リース会社 レンタル会社 購入者
固定資産税の負担 リース会社 レンタル会社 購入者
保険料の負担 リース会社 レンタル会社 購入者
損金算入 認められる(消耗器具備品費や什器備品費など) 固定資産税・借入金利息、減価償却費は認められる
契約期間中の解約 原則として認められないが、解約金を支払うことで可能 解約可能        認められない

何が変わるの? リース取引に関する会計および税務の改正

 平成20年(2008年)4月以降に始まる事業年度から、新しいリース会計基準が適用される。これに伴う税制の改正とあわせて、そのポイントを見てみよう。

 まず、新しいリース会計の大きなポイントは、これまで所有権が借り手に移転しない「所有権移転外ファイナンス・リース取引」について、リース資産を資産計上しない処理が認められていたことから一般的であった「賃貸借処理」が、新しい基準では資産計上をする処理、すなわち「売買処理」に一本化されること。これまではリース資産を資産計上しないため、「総資産利益率」や「株主資本比率」などの財務指標がより良好になるというメリットもあったが、今後はこれが利用できなくなる。

 ただし、リース料の総額が300万円未満のリース契約については、従来通り「賃貸借処理」が認められるため、OA機器のリースに関しては十分に利用の可能性があると考えられる。また、リース会社によっては、資産計上が不要な「オペレーティング・リース」での提案も積極化しているようだ。

リース税制の改正 リース税額控除は廃止へ

 一方、税務面でもリース会計の改正に合わせ、平成20年4月1日以後に締結する所有権移転外ファイナンス・リース契約を「売買処理」とする改正が行われた(平成19年度税制改正)。これにより資産計上されたリース資産は、償却期間をリース期間とする「リース期間定額法」で減価償却を行うことになるが、会計処理と同様、税務においても、リース料の総額が300万円未満のリース契約については従来通り「賃貸借処理」が認められる。

 また、この改正により現行の租税特別措置法で中小企業を中心に認められている「リース税額控除」は廃止となる。だが一方、リース資産も自社の資産として計上されるため、買い取りの場合に適用されるのと同様の「税額控除」がリースの場合にも適用されることになる。


取材協力:オフィス機器導入支援サイト「QOOL」(運営・フォーバル)
公認会計士・岩渕 誠さん


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