オンライン表計算「OnSheet」を使う理由

インフォテリア・オンラインのオンライン表計算サービス「OnSheet」は社内外と連携できる機能を搭載したことが最大の特徴だ。“Excelで十分”を打ち破ることができるか――。

» 2007年10月22日 20時52分 公開
[鷹木創,ITmedia]

 Webブラウザ上で表計算できるサービスが増えてきた。代表的なサービスは「Googleドキュメント」や「Zoho Sheet」など。インストールなしで利用できる手軽さが特徴だが、すでに「Excel」などのソフトウェアをインストールしているユーザーにとっては、利用するメリットが少なかった。

 10月22日、インフォテリア・オンラインが正式に提供を開始したオンライン表計算サービス「OnSheet」は“Excelで十分”を打破するべく、社内外と連携できる機能を搭載したことが最大の特徴だ。利用料は、法人向けが5アカウント以上の申し込みで、1アカウントにつき月額500円。個人は無料で利用できる。Internet Explorer 6/7、Firefox 1/2、Opera 9以降、Safariといった各ブラウザをサポートする。

藤縄社長

 OnSheetは、ほかのオンライン表計算サービスと同様に、マイクロソフトの「Excel」やOpenOffie.orgの「Calc」などのソフトウェアで作成した、CSV/XLS/SXC形式などのファイルを読み書きできる。また、グループでファイルを共有するといったオンラインならではの機能も搭載している。β版は7月25日から提供しており、すでに1万人のユーザーを集めている。

 正式版の特徴は、SSLによる暗号化通信やVPN接続をサポートする法人向けサービスを用意したこと。特に、法人向けOnSheetでオプション提供する「OnSheetパイプライン」(1アカウント月額6万円)には「いままでにない表計算の価値観を提供する」(藤縄智春社長)と自信を見せる。

OnSheetパイプラインで社内外と連携

 OnSheetパイプラインは、OnSheet上で入力したデータを企業内のデータベースに反映したり、外部サービスとのデータの受け渡しが可能になる仕組み。社内データベースや外部サービスからデータを収集する「センサー」、収集したデータを変換・抽出する「フィルター」、そのデータをOnSheetに反映したり、社内データベースや外部サービスにつなげたりする「ジョイント」――の3つのアクションを組み合わせて設定できるようになっている。

 収集した情報を加工して、RSSフィードやカレンダーファイルを作成したり、Google Mapsと連携したりできるという。たとえばローカルの特定のフォルダを5秒間隔でセンサーする設定にしておけば、フィルターやジョイントの設定によっては、フォルダに保存したCSVファイルの内容をリアルタイムでオンラインのOnSheet上に反映することも可能だ。

OnSheet上のシートにCSVファイルの内容を反映

今回はフォルダにCSVファイルを追加したらOnSheetに反映する設定を行った。OnSheetで作成した特定のシートに反映する場合、あらかじめOnSheetが発行するユニークな「AppUserKey」が必要だ

「スプレッドシート統制」にも効果的

 Excelなどのソフトウェアの場合、同じファイルを利用者がそれぞれに扱うことから、情報漏えいや改ざんといったセキュリティ上の懸念や、バージョン管理の難しさなどの問題があった。個々に利用するソフトウェアの場合、ファイルの管理・統制が難しいのである。また、担当者が交代することによって、ファイル内で利用していた関数やマクロのメンテナンスが困難になり、その結果「数字が正しくなくなる恐れ」もあるという。

 こうした「スプレッドシート統制」に効果的なのも、オンライン表計算サービスの強みだ。ネット上で一括管理するため、メール添付などでファイルを外部に流出する危険性が低くなるほか、ブラウザを閉じた時点で変更履歴が残るため、バージョン管理もたやすいという。

 なお、OnSheetを提供するインフォテリア・オンラインは、10月22日付でインフォテリアが設立した同社の100%子会社。インフォテリアの平野洋一郎社長は「OnSheet」をSaaSと位置付ける。「社内システムやほかのサービスとの連携、フロントエンドの柔軟性などが特徴だ」。今後、中小企業向けのSaaSはインフォテリア・オンラインが提供する方針だという。

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