ビジネスパーソンの快適早起きの知恵――“オメザ”の研究樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

起きる意志はあるのに、目覚ましをかけていても起きられない。目覚ましを止めてしまう。ハッと気が付くとギリギリの時間。朝、起きられないという君、どうしたら起きられるか――。

» 2008年01月18日 11時30分 公開
[樋口健夫,ITmedia]

 朝、起きられないという君、どうしたら起きられるか。

 起きる意志はあるのに、目覚ましをかけていても起きられない。目覚ましを止めてしまう。ハッと気が付くとギリギリの時間。「やべえ」と叫びながら、生焼けのトーストを口にくわえながら、ズボンを履いてネクタイを締めているのではないか。女性の場合は、お化粧があるから、時間的にはもっと大変である。

 「わあ、携帯どこに置いた。財布はどこだ。部屋の鍵は……」と朝から大騒ぎ。そうこうしているうちに最大許容出発時間を5分超えている。「クソー」と駅まで走って、会社は数分遅刻。上司に小言を言われたり、言われないとしてもギョロっとにらまれたりする。1日が余計なストレスで始まるわけだ。

 そんな起きられない君に提案である。著者の35年のビジネスマン人生を懸けたノウハウ――。それは“オメザ”だ。

目を覚ますための必須アイテムとは

 オメザとは幼児語の「おめざ」が原典であるが、広辞苑によると「子供が目をさました時に与える菓子の類」のことを指す。目をさました時に子供の機嫌を取り、意識をはっきりとさせるための“エサ”だ。ただし、虫歯のことを考えると、甘いお菓子は勧められない。

 大人の「オメザ」もいくつかの分類ができる。筆者の場合は、「飲み物オメザ」である。寝ている間に、人間はかなり水分を失っている。だから起床すると水を飲みたくなるものだ。

 筆者は寝る前に、なるべく濃い煎茶をマグカップに入れて枕元に置いておく。マグカップは、スターバックスなどで売っているフタ付きが望ましい。夜中にホコリやハエの侵入を避けたいからだ。置く場所はベッドのすみが最適。頭の真後ろに置くと取りにくい。横になった状態あるいはちょっと体を起こした状態で、手の届くところに置いておくと簡単に飲める。

 「冷めたお茶など飲めない」と温かいお茶を魔法瓶に入れて置くのもありだが、オメザは、さっさと飲むのが大切。手数をかけると起きられない。なるべくならお茶を一気飲みしよう。

 飲み物であれば、ドリンク剤で「ドリンク剤オメザ」も考えられる。「今日もがんばるぞ」というやつだ。これで体の内部からドバッと揺さぶりをかけて、二度寝してしまう気分をなくすのだ。

 筆者はやっていないが、お菓子系でオメザを使いたいなら、この場所にガムやカカオ88%のような甘くないチョコを1粒置いておくことも知恵だろう(ここまで読んだドリンク剤メーカーやお菓子メーカーの関係者諸君! もしお茶の「オメザ右衛門」や「オメザチョコ」などをお考えの際は、ぜひ連絡してほしい)。

 煎茶を飲んで目覚める筆者は、いわば「液体押し出し式起床」。煎茶をマグカップ1杯飲めば、体内の不要液体圧力がかなり高まっているので、トイレに行って不要液体を排出したくなる。これでベッドから離れることができるのだ。

 この後、内部からの決定的な刺激を与えるために、エスプレッソを飲む。これは「決定的刺激オメザ」である。エスプレッソで、腸内のぜん動が早くなり、排便が促進されるのだ。起きる必要性が高い時には、お茶の代わりにエスプレッソを枕元に置いておくこともあった。

筆者は最近、チョコオメザを食べていない。今回、分かりやすくするために特別に食べてみた

音楽オメザ、濡れタオルオメザ、新聞オメザ、読書オメザ……

 「液体押し出し式起床は合わない」という方向けに、ほかのオメザも考えてみよう。

 比較的一般的なのが「音楽オメザ」。ベッドの横に、テレビやCDプレーヤーやMP3プレーヤーのリモコンを用意しておき、再生すると明るく軽快な音楽が聞こえてくるようにする。 注意しなければいけないのは、テレビオメザである。テレビを目覚ましにするまでは良いが、筆者の経験ではその後も、寝続けることが多い。みのもんたが朝寝の子守歌になってしまうとは……。ラジオオメザもその傾向がある。慣れとは恐ろしい。

 女性の場合は、枕元に濡れたタオルを絞っておく。起きがけにベッドの上で顔を潤わせれば「濡れタオルオメザ」となる。

 エスプレッソと同じように、決定的刺激になり得るのが「新聞オメザ」だ。玄関先から新聞を取ってきて見出しをさっと読み、仕事関係の大ニュースがないかを確認しつつ、社会面や政治面を見ると不愉快な事件や政治家の愚行が並んでいて、「またか、ひどいなあ」と義憤を感じれば、目が覚める。ただし、あまり深入りすると朝の気分がふっとぶので注意しよう。

 活字を読むという意味では、歯を磨きながら、昨日の就寝前に読んでいた本を左手に持ち数頁でも読むのも効果的。「読書オメザ」である。

 いずれにせよ大切なことは、前回提案した目覚まし不要の最適目覚めタイミングに、このオメザを組み合わせること。自然覚醒と組み合わせることで、オメザ効果がかなり強まる。

 さて人類史上最強のオメザは何だろうか――。それは「キッスオメザ」である。朝寝ている時に突然、配偶者や恋人に口を塞がれて息が苦しくなり、「わあ、勘弁してくれ」と“贅沢”を言いながら起きる。これは結婚35年の筆者にも経験がないが、理想的なオメザと言えそうだ。ただし、かえって寝過ぎる可能性もないとは言えない。考えただけでも目が覚める。

オメザいろいろ
煎茶オメザ 筆者オススメ。なるべく濃い煎茶を枕元に置いておく。できれば一気飲みしよう
ドリンク剤オメザ 体の内部からドバッと揺さぶりをかけて、二度寝してしまう気分をなくすのだ
エスプレッソオメザ 決定的刺激オメザ。腸内のぜん動が早くなり、排便が促進される。起きなければならない時は、お茶代わりに枕元に
オメザチョコ カカオ88%のような甘くないチョコを1粒置いておくといい
音楽オメザ ベッド横に、テレビやCDプレーヤーやMP3プレーヤーのリモコンを用意、再生すると明るく軽快な音楽が聞こえてくるようにする
濡れタオルオメザ 女性向け。枕元に濡れたタオルを絞っておき、起きがけにベッドの上で顔を潤わせる
新聞オメザ 仕事関係の大ニュースがないかを確認しつつ、社会面や政治面を見ると不愉快な事件が並んでいて「ひどいなあ」と義憤を感じれば、目が覚める。あまり深入りするなよ
読書オメザ 歯を磨きながら、昨日の就寝前に読んでいた本を左手に持ち数頁でも読むのも効果的
キッスオメザ 人類史上最強のオメザ。ただし、かえって寝過ぎる可能性もないとは言えない

今回の教訓

気をつけろ! 無理やり口をふさぐと百年の恋も冷める――。


著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

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 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら


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