“弱い自分をどうするか”について悩んだことはありますか。前回は弱い自分を前提とした方法を紹介しました。今回は弱い自分を変えるやり方を考えます。
今回の課題:「弱い自分」を変えるには?
コツ:「調節」でネジを巻く
前回に引き続き、「分かっちゃいるのに取りかかれない」問題について考えていきます。前回は、次の2つの方法をご紹介しました。
この2つの方法によって、
という効果を引き出すことができます。
ところで、このような方法が必要になる背景を考えていくと「弱い自分をどうするか」という課題に行き着きます。「分かっちゃいるのに取りかかれない」原因はさまざまあるかもしれませんが、意志の弱さはその最たるものといえるわけです。
この課題へのアプローチとしては次の2つが考えられるのですが、
前回ご紹介したアプローチは、「弱い自分」を前提としたものといえます。言い換えれば、弱い自分であっても実行できる方法です。タイマーや他人のプレッシャーをテコに「弱い自分」という重荷を動かすわけです。
一方、「弱い自分」を変えていくというアプローチも当然あるわけですが、せっかくですからこちらにもチャレンジしましょう。
「弱い自分」を変える上では、ベンジャミン・フランクリンのやり方が参考になります。彼が25歳の時に確立したという「フランクリンの一三徳」がそれです(書評参照)。進め方は以下の通り。
この手順を、達成したい項目の数だけ回していけば、すべての項目を達成できる、というわけです。フランクリンの場合は13項目ですから最低でも13週間必要です。
とはいえ、フランクリン自身も全13項目を達成できたわけではありません。ここで大切なことは、
という2点です。マラソンでいえばコース全体と、今いる場所の両方が把握できている状態です。どちらかが欠けても、走り続けることは難しくなるでしょう。何となく「やらないといけないなー」「これも大事だし、あれも大事だなー」と思っているだけでは、目的地も現在地もあいまいなため、なかなか行動に結びつかないわけです。
そこで、上記のフランクリンの方法を応用してみます。「弱い自分を変えたい」ということであれば、その弱さを具体的な項目に分解していき、1つずつ時間をかけてじっくりと取り組んでいくのです。
当然、時間はかかるでしょう。でも、「付け焼き刃」という言葉もあるように、短時間で身につけたことは簡単に忘れてしまうものです。逆にいえば時間をかけて身につけたことというのは、その後の人生に大いに役に立つということになります。
なお、今回ご紹介した考え方と方法は「調節」といえます。一方、前回のタイマーや他人のプレッシャーに頼る方法は「同化」です(2007年1月26日の記事参照)。
今回の例における「同化」と「調節」の違いは次の通りです。
「同化」と「調節」の違い | |
---|---|
同化 | タイマーや他人のプレッシャーに頼る(弱い自分をカバーする) |
調節 | 弱い自分を変えていく(タイマーや他人のプレッシャーに頼らない) |
上記の記事でも書きましたが、「同化」に頼りすぎると行き詰まることになる、すなわち「待ち受け」モードになりがちです。「分かっちゃいるのに取りかかれない」という状態は、ちょうどゼンマイが切れた時計のようなものです。「そもそも自分はどうしたいのだろうか?」という自問を通して課題を明らかにし、時間を掛けてこれに取り組むという「調節」で巻き直していきましょう。
1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタリハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』(翔泳社)『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』、近著に『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』がある。
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