どこから手をつければいいか分からなくて困る【解決編】シゴトハック研究所

良い企画も、頭の中だけで考えていると抜け漏れが生じがち。紙に書き出していくという作業が重要です。ペーパーに落とすときのポイントを探ります。

» 2008年03月21日 14時35分 公開
[大橋悦夫,ITmedia]

今回の課題

 今回の課題:どこから手をつければいいかわからない課題に対処するには?

 コツ:書きながら考える


 前回は、成果を出し続ける仕組みを作るための方法として次の2つをご紹介しました。

  1. 「やり方」をまねるのではなく「考え方」をまねる
  2. ゴールから逆算する

 このうち、2つめの「ゴールから逆算する」というアプローチについてもう少し考えてみます。前回の記事では、ゴールありきで出発することによって余計な選択肢を減らすことができる、というメリットを挙げました。ゴールに近づく上で障害となる要素はもちろん、その後押しになり得ない要素を特定しやすくするわけです。

 このようなことが可能になるということは、前提として、ゴールに至るまでのプロセスをシミュレーションしていることが考えられます。

 例えば、1週間後に行われるプレゼンテーションの準備をしている場合を例に考えてみましょう。ゴールを次のように定義していたとします。

  1. プレゼンの時間は15分
  2. 目的は販社への新商品の紹介
  3. 新商品についての販社向け想定問答集を用意
  4. プレゼンは、特に新商品の機能面をアピールする
  5. デザイン面については、担当デザイナーが同席しフォロー

 このようなゴールが決まっていれば、いざプレゼン資料を作ろうとなった時でも、次のような行動指針が自然と浮かび上がってくるでしょう。

  • 15分しかないので、あまり詳しい説明はできない
  • 販社が相手なので、売る立場を意識した言葉を使う
  • 過去によく質問されることを調べておく
  • 新商品を特徴づける新機能について製造部門からヒアリングが必要
  • デザイン面のことはいったん忘れていい

 つまり、これから取りかかろうとしている作業について、しなければいけないことと、しなくてもいいこと(あるいはしてはいけないこと)を明らかにするわけです。

書きながら考える

 こういったことは頭の中だけで考えていると、抜けもれが生じがちですから、紙に書きながら考えていくといいでしょう。このとき、先に挙げたプレゼン準備のゴールは、達成しなければならない課題となります。

 この課題に対して、それぞれどのように取り組むかを決めていくわけです。

 具体的には、A4の紙(縦でも横でもOK)の真ん中に縦に1本線を引き、左側に課題を書いていきます。続いて右側に課題ごとにどのように取り組むか、すなわちアクションを書いていきます。

 こうすることで、ゴールである課題それぞれについて、対応するアクションを決めていくことがプレゼンの準備という作業の実態となります。つまり、考えるという工程を紙の上に落とし込むことによって、抜けもれを排除できるわけです。

課題 アクションまたは行動指針
1.プレゼンの時間は15分 15分しかないので、あまり詳しい説明はできない
2.目的は販社への新商品の紹介 販社が相手なので、売る立場を意識した言葉を使う
3.新商品についての販社向け想定問答集がある 過去によく質問されることを調べておく
4.プレゼンは、特に新商品の機能面をアピールする 新商品を特徴づける新機能について製造部門からヒアリングが必要 → ヒアリングする!
5.デザイン面については、担当デザイナーが同席しフォロー デザイン面のことはいったん忘れていい

考えた後は解決に取り組む

 上記はすでに「考えた後」の状態ですが、課題は明らかになっても、これをどう解決するかのアイデアがうまく浮かばない場合もあるでしょう。すなわち、右側が空欄の状態です。そのような時は、次の3つのステップを1つずつ試すといいでしょう。

  1. まず、自分だけでできることを考える
  2. 参考になりそうな本やWebサイトを探す
  3. 人に相談する

 1と2は自分一人で行うステップです。ここで大事なことは、直接課題の解決につながるものでなくても、考えた過程は書き残しておくことです。先の表でいえば、「アクションまたは行動指針」の一番上の行に「あまり詳しい説明はできない」とありますが、これだけですと具体的に何をすればいいかが分からないでしょう。

 それでも、「分からない」なりに書けることを書いておきます。

 その上で、文献にあたったりWebサイトで調べたりするようにします。それでも分からなければ、そこで人に相談します。このとき、1と2で書き残したメモが役に立ちます。このメモは自分の思考(試行)過程ですから、これを相手に見せることによって、より適切なアドバイスを引き出せるはずです。少なくとも「それはすでに調べました」といったお互いの時間を無駄にする機会は減るでしょう。

 ドラッカーは、『現代の経営』の中で「重要なことは、正しい答えを見つけることではない。正しい問いを見つけることである」と述べています。つまり、正しい質問のをするための準備さえできれば、おのずと自分の中から、あるいは人の中から答えを引き出すことができるわけです。

筆者:大橋悦夫

1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタリハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』(翔泳社)『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』、近著に『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』がある。


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