自分で原則を決めたら、それを時間割に落とし込むことで守りやすくします。そして、うまく時間割に沿って進めるには、2つのタイマーという武器を使いましょう。
今回の課題:時間割に沿って仕事を進めるには?
コツ:休憩をきちんと取る
前回は、自分で決めた原則を「時間割」という形に落とし込むことにより、原則を守りやすくする、というお話をしました。今回はさらに一歩進めて、時間割に沿って仕事を進める上での注意点について考えていきます。
以下は、前回ご紹介した時間割の例です。
(月) | (火) | (水) | (木) | (金) | ||
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1 | 9:15〜10:00 | 今週のレビュー | ||||
2 | 10:15〜11:00 | 週次進捗会議 | 営業会議 | 来週のタスク整理 | ||
3 | 11:15〜12:00 | 営業会議 | 営業訪問計画 | |||
昼 | 12:00〜13:00 | ランチ | ランチ勉強会 | ランチ | ランチ | ランチ |
4 | 13:00〜13:15 | |||||
5 | 13:15〜14:00 | |||||
6 | 14:15〜15:00 | |||||
7 | 15:15〜16:00 | |||||
8 | 16:15〜17:00 | 商品会議 | ||||
9 | 17:15〜18:00 | ランチ勉強会準備 | 営業会議準備 | 商品会議準備 | 商品会議 | 進捗資料更新 |
放 | 18:00〜20:00 | 英会話 | ジム | 読書メモ | ジム | フリー |
これを見てまず気づくことは、1コマが45分であることでしょう。これを「タスクタイム」と呼び、仕事はすべて「タスクタイム」というコマに割り当てていきます。当然、45分以上かかる大きな仕事はそのままでは収まりませんから、自然と分割が進みます。
タスクを分割することについては、「マイ締め切り」で間際のバタバタをなくすという記事で詳しく取り上げていますが、要約すると、そのままでは手に余るタスクを、具体的に何をすればいいのかが分かる程度の大きさに分割することによって、「今日はこれだけでいいのか」という安心感を与え、そのタスクに取りかかる敷居を下げる、ということです。
タスクを時間割のコマに割り当てる(あるいは、割り当てようとする)ことによって、タスクの分割が後押しされるわけです。
「タスクタイム」に加えてもう1つ気づくことがあります。それは、「タスクタイム」間に15分間の空きがあることです。この時間を「休憩タイム」と呼び、9コマの「タスクタイム」の間に15分ずつ挟まっています。マラソンでいえば、「休憩ポイント」が「コース」上に一定間隔で設置されている状態です。
時間割を守るということは、「タスクタイム」だけでなく「休憩タイム」もきちんと守る、ということです。長い距離を泳ごうと思えば、途中で息継ぎが必要になるのと同じようにです。なかなか仕事に取りかかれない時、そこには「これから何十メートルも息継ぎなしで泳がなければならない」などと過大に評価している自分がいるのではないでしょうか。
この時間割に沿って仕事をすることは、「少し走れば休憩できる」という安心感を保証していることになるわけです。
「タスクタイム」と「休憩タイム」をきちんと守る上で役に立つのがタイマーです。タイマーの効用については、「分かっちゃいるのに取りかかれない対策(1)」でご紹介しましたが、特筆すべきは、15分なら15分を正確にカウントダウンすることによって、「もうちょっと休んでからでも問題ないだろう」という“スヌーズ”を防止できることです。
特に内勤の方にとって「タスクタイム」というのはPCに向かっている時間とニアリーイコールといえるでしょう。そうなると、タイマーもPCの画面内にある方が便利です。キーボードやマウスから手を離さずに設定や解除ができるからです。
筆者が使っているのは、Googleガジェットの「Simple Timer」です。右の図のように、バーの長さで残り時間を確認することができます。もちろん、デジタル(数字)やアナログ(針)のものでもいいのですが、「減っていく」さまを直感的に把握する上では、この棒グラフ形式が役に立ちます。
一方、「休憩タイム」のカウントダウンは、右の写真のような持ち運びができるタイマーがいいでしょう。なぜなら、「休憩タイム」には意図的にPCから離れて歩き回ったり、伸びをしたり、コピーやシュレッダーといったちょっとした用事にあてることで、気分転換が図れるからです。お気に入りのブログを読んだり、ニュースのチェックをしたりするのもいいのですが、席を立って少しでも体を動かす方が気分も優れるでしょう。
あるいは、ちょっとコンビニに買い物に行くのもお勧めです。歩くという刺激によってずっと座っていたのでは思いつけなかったようなアイデアがひらめくことがあるからです。
以上ご紹介した方法は、時間割を守りやすくするためのシゴトハックとなりますが、時間割を守ることはあくまでも手段です。そのままでは大きすぎてとらえきれない時間を「45分で1コマ」という単位に分けることによって、1コマ1コマを大事に使うようになります。“ひとくちサイズ”に小分けにして無駄なく使うわけです。
もし、「45分+15分」というコマ割りでは中途半端ということであれば、「50分+10分」あるいは「60分+15分」など、実情に合わせてアレンジするといいでしょう。
1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタリハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』(翔泳社)『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』、近著に『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』がある。
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