非同期コミュニケーションに関するプチ考察Biz.ID Weekly Top10

みなさんがメインで使うコミュニケーション手段は何だろう? 対面? メール? そういえば、最近メールの受信ボックスの中身が異様に増えていないだろうか。その理由は……。

» 2008年04月24日 23時32分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 先週のBiz.ID記事ランキングトップは、“急上昇”した検索ワード機能を用意したグーグルに関する記事。先週Top10で紹介した「アーティストiGoogle」と同じように、日本先行のサービスだ。

 さて、皆さんは周りの人とどんな手段でコミュニケーションを取っているだろうか? 電話? メール? それとも口頭?

 企業内コミュニケーションとして一般化したメール。何はともあれ、「それ、ではまとめてメールください」「話は分かりました。正式にメールで送ってください」「メールでccしておきました」。そんな会話が飛び交っている職場も多いのでは。

 さらに急速に増殖しているのがメーリングリストだ。「もう、誰がどのメーリングリストに入っているのか分かりません」「同じメールが複数のメーリングリストあてに送られたので、私のところに3通届きました」。こんなのも笑い話ではない。

メールは届いているかどうか分からないコミュニケーション

 コミュニケーション手段としては、メールには根本的に面白い点がある。それは“本当に相手に届いたのかが、決して分からない”というところだ。え? そんなことないって。では普通、自分が送ったメールが届いたかどうかをどうやって判断しているのだろう。

 「さっきもらったメールだけど」と廊下ですれ違ったときに話しかけられた。「先ほどの件ですが」と内線がかかってきた。「この件、返事する前にちょっと相談したいんだけど」とチャットが来た――。いや、一番多いのは、「メールもらいました。届きました。読みました」という返事のメールをもらうことのはずだ。

 ここでメールは泥沼になる。その返事のメールだって、相手に届いているかどうかは分からないのだ。それを知るには、「読んだというお返事のメールを読みました」ってメールを返すことになる。

A 「○×の件、200万円でお願いできますでしょうか?」

B 「承知しました。ではその額でお願いいたします」

A 「ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。」

B 「こちらこそ、よろしくお願いいたします。」

 最後の2通は、電話や対面なら必要ない。突き詰めると、OKという返事をもらった、ということを伝えないと相手が困るだろう──とか、OKいう返事をもらったということが伝わったということを連絡しないと困るだろう──というメタな状況にどんどん入っていく。こんなことで、ただでさえいっぱいの受信ボックスがあふれていくのだ。

 メールが確実に届いているという確証があればいいのだが、相手のメールボックスの状況が予想されるだけに、ちゃんと読んでもらえたのかは不安なものだ。当然、相手も不安に思っていることは想像できるわけで、デキる人ほど「メール届きました」というムダな返事を書いているのだ(そもそも迷惑メールフィルタの誤検知で、本当に読まれていないということも増えてきた)。

 昔であれば「メール送ったので見ておいてください、あ、見てくれました?」と電話をするのはちょっとした笑い話だった。ところが、これだけコミュニケーションがメール偏重になると、案外、これによってムダなメール数が減る。確認の返事にせよ、「ありがとうございます」という返事にせよ、メールで返すよりも口頭のほうが“有り難さ”が違う。

 メールという”非同期”なコミュニケーション。今回は、そのもろもろを考察してみた。

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