メモのための“タグ付け”術シゴトハッカーズ(3/3 ページ)

» 2008年07月31日 12時38分 公開
[大橋悦夫、佐々木正悟,ITmedia]
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メモのキャプチャから保管まで

 人間の記憶に「長期記憶」と「短期記憶」があるように、メモを「長期」と「短期」で分けると以下の2つになるでしょう。

  • 短期メモ(キャッシュ)――メモしてその場で捨てるか、直後に使って捨てる
  • 長期メモ(ストック)――メモをためておいて後で使う

 短期メモは、いわゆる短期記憶の補助として働きます。短期記憶とは、最大でもせいぜい1日程度しか持続しない記憶です。例えば、トランプゲームの神経衰弱中に記憶したカードの位置などは、非常に真剣に覚えたとしても、ゲームが終わればすっかり忘れてしまいます。そうなるのは、脳が覚えておく努力を一切払わないからです。

 こうした1日ともたない記憶はしかし、人によっては1分ともちません。聞いたばかりの人の名前を即座に忘れる人もいます。本人としては頭の痛い問題ですが、そうしたごく短時間のうちに消えかねない記憶を補助するのが、短期で使うメモです。ほんの一時的に電話番号を書き留めたり、忘れずに買いたいものをメモをリストアップしたりするのが、短期メモを取る目的です。

 一方、長期記憶の補助には、長期でメモを管理する必要があるでしょう。こちらは容易な問題ではありません。

 というのも、例えば3カ月後に何を思い出したいかということを予測するのは困難だからです。どのような内容のことは記録するに値し、どんなことは忘れてしまっていいのかが明確ではありません。

とにかくすべて記録? それとも絞り込む?

 後から記録を見返そうと思ったときに、記録が残っていないと窮地に陥ることもあります。ですからなるべくたくさんのことを記録した方がいい、という考え方もあります。

 しかしそうすると今度はメモが多くなりすぎて、検索が難しくなります。必要なメモはある残っているかもしれないが残っていないかもしれない。それを調べるとなると1時間はかかる、という状況は極めて不便です。

 そこで、なるべく多くの記録を残すとともに、どんなに時間がたっても素早く検索できるシステムが必要になります。この両方は相矛盾する要求なので、きちんと応えるのは困難ですが、今ではそれなりに可能な方法やツールが整ってきています。

 まずいつでもメモを取るには、適当なサイズのアナログメモや、デジタルペンなどのツールを活用するとよいでしょう。そうすれば、メモを持ち歩いたり、その場にある紙を利用することができますから、メモを取るのに苦労したり、取り忘れすることがなくなります。なるべく多くの記録を残すという目的を達成できるわけです。

 時間がたっても検索を容易にしてくれるのは、「タグ付け」です。大橋さんはアナログのメモにタグ付けするために、メモの端にタグを書くようにしています。メモを使いきったときに、同じタグが付いたメモをすぐに検索できるというわけです。

 あるいは、デジタルペンでメモを取れば、メモを書く片端からユニットが記憶してくれるので、書き終わってからスキャンしたり写真に収めたりという手間なく、PCに保存できます。保存したメモをEvernoteなどの専用ソフトでタグ付けすれば、後から探すことはとても容易にできるわけです。

 →Evernoteの実践活用チュートリアルはこちら

筆者:大橋悦夫

大橋
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1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタルハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』、近著に『成功ハックス』がある。

筆者:佐々木正悟

佐々木
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心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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