講師を務めたのは高宮暉峰(たかみや・きほう)さんだ。「楽しくカンタンに分かりやすく」をモットーに書道教室「書道のはな*みち」を主宰している。高宮さんによると「キレイな字とはバランスのいい字」。バランスのいい字を書くため、まず線を引いてみて、書く際の基本姿勢をチェックした。チェック方法は縦横に直線を引くだけ。簡単だ。
講座ではまず、半紙を縦、横に2回ずつ折った。これで半紙を16分割したことになる。この折り目の直線をなぞって左から右へ、上から下へ線をまっすぐ引いてみた。
「横線が上に反っていった人は、手首を回して書いている可能性があります。腕全体で書きましょう。この時ひじを上げすぎないでください。自然な高さでいいんです。また、縦線の方が横線よりも引きにくい、と感じた人は体が机に近づきすぎています。机からちょっと遠いな、と思うくらいの距離感がちょうどいいですよ」
縦線を下に引くほど書きづらいと感じた。机と体の間に握りこぶし1つが入る程度まで体を机から離してみたらうまく書けた。
講座で半紙を16分割したのは、1つ分の縦幅が祝儀袋の名前を書くスペースの縦幅と同じになるためだ。ここに16回、自分の名前を書いて練習しよう――というわけである。この“半紙16分割法”は、簡単に祝儀袋の記入スペースを再現できるため、参加者の間でも「便利だ」と好評だった。覚えておくと役立つかもしれない。
書きやすさにはペンを持つ角度も影響し、ボールペンと筆ペンでは、平面に置かれた紙に対して最適な角度が異なるという。
ボールペンの場合は55〜60度程度がちょうどよく、これより角度が下げると筆圧が入りにくく、上げると逆に筆圧がかかりすぎるからだ。感覚としては、やや立てているかな、という程度がいいらしい。また、筆ペンの場合は60度〜75度程度がいいという。筆ペンの場合は、ペン先をなるべく立てておかないと、線が太くなってしまうからだ。
字を書く際の基本姿勢を整えたところで、次は実際に名前を書き、普段書いている字のどこを直したらいいかをチェック。高宮さんは次のポイント3つを挙げた。
まず中心線に合わせて書くには、体の中心線と紙の中心線を合わせる。ただし、利き手側の目が効き目であることが多いため、これではしっくり来ない場合もある。その時は効き手側の胸あたりに紙を持ってきてもいいという。
上下のどちらかの余白が長くなる人は、文字配分を逆算して書くクセを付ける。そして苗字と名前の間を空いていれば、相手が苗字と名前の境を瞬時に識別できる。「情報を相手に速く伝えよう」という意識も大事だというわけだ。
筆者の場合、中心線と字配りは意識して書いたが、上下の余白バランスがよろしくなかった。下の方が余ってしまったのだ。やや向こう見ずに行動しがちな自分の性格が、何気なく書いた名前1つに出てしまい、耳の痛い解説であった。
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