オーソドックスなコツのほかちょっとしたコツもある。目の錯覚を逆手に取り、メリハリを効かせた字に見せるためのものだ。
(1)は、例えば「華子」という名前を書くとしよう。「華」の方が「子」より画数が多く、同じ大きさのマスに書くと、線が多い「華」の方が小さく見える。そこで大きく見える「子」を小さく書いてバランスを整えるのだ。参加者の「鈴木」さんは、「木」が「鈴」より大きく見えるサイズだった。そのため「もう少し小さく書きましょう」と、高宮さんもアドバイス。
(2)は、例えば「市川団十郎」がスペース内に収まり切らなそうな時、各々の漢字の縦棒を少しずつ短くして縦のスペースを確保する。文字全体ではなくあくまで縦線だけ短くするのがポイントだ。
もう1つポイントがある。ただ縦棒を短くするだけでは不格好になるから、短くする縦線は太めに書き、しっかり止めたり払ったりする。こうすれば、圧縮していても堂々とした字に見せることができる。
(3)は「進」のしんにょうや「大」の最後のはらいなどを、長くダイナミックに線を引くと堂々として見栄えがいい。左にもはらいがある場合、右のはらいの方が左より下になっても構わない。こうすると、(2)のようにスペースの都合上、縦の線を短くしても見劣りがしない。
(4)は「豊」「袋」など上下に分かれている漢字の部首で、(5)は「林」「後」など左右に分かれている漢字の部首で、それぞれ1文字を構成している場合に有効だ。
(4)は、「草」など冠が付く字は当てはまらない。また、(5)で右側が左側の倍の幅を取るのは、書道での表記上「(左にある)へんは、(右にある)つくりの引き立て役だから」右側を左側より大きくするのだ。ただし、「鶴」など左側の画数が多い場合は、右側の横幅を左側の1.5倍程度にするといいという。
「名前だけでなく応用できるコツがあったので、さっそく使いたいと思います」という参加者もいた。悪筆を直したいけど今さら……という人は1度試してみては?
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