ともあれ男性は低い対話力で生まれてくるため、後天的に対話力を身に付けるという。
こんなふうに書くと、左右連携に強い女性脳に付いてこられない男性脳が劣っているように感じるかもしれないが、男性脳には女性脳にはない強みがある。黒川さんによると、男性は「空間把握」と「事象の処理」に長けているという。男性はこれらの処理をしている間、女性からはボーッとしているようにしか見えず、これがさらなるコミュニケーションのズレを引き起こす場合がある。
例えば母親と息子の場合。息子がボーッとしているからといって、イライラして「早く○○しなさい、次は○○しなさい」と矢継ぎ早にしかる母親はいないだろうか。空間把握や事象の処理を行っている最中にしかると、しかられた側は混乱し、男性脳がうまく育たなくなるという。アインシュタインなど天才として名高い多くの人は、言葉をしゃべり始めるのが遅く、ボーッとしている時間が多かったといわれている。
例えばカップルや夫婦の場合。パートナーの男性がボーッとしている時に、女性が「ちゃんと聞いているの?」とまくし立てていると、空間把握と事象の処理にフル回転している男性脳がうまく働かなくなる。そして「なんか居心地の悪い女性だなあ」ということになるから要注意だ。
身近な男性が黙ってボーッとしている時、女性は話しかけずに放っておくこと。そうして穏やかに過ごす沈黙もまた、1つの会話なのである。
次回以降は、プライベートやビジネスの場でどう歩み寄るとうまくコミュニケーションが取れるのか、より具体的に見ていこう。
女性はなぜフル回転する脳構造で生まれてくるのだろう。
これには生殖リスクが大きく関わっている。女性は遺伝子(精子)に出会って妊娠、出産、赤ん坊が乳児を脱するまで育てるのに3年かかる。
より優秀な遺伝子に出会わないといけない上、子供を安全に育てないといけない。しかもその期間が3年と長い。だから、いい遺伝子選びと子供を外敵から守るため、情報の伝達を絶え間なく行っているのだという。
さらに女性が生殖に最も適している時期にはリミットがある。そのため25歳までの女性は、たった1回エレベーターですれ違っただけの男性であっても、自分に合う男性かどうか、男性が発するフェロモンを無意識に嗅ぎ分け、0.6〜0.7秒で白黒つけるというのだ。
一方、男性は自分の遺伝子をばら撒くだけでよく、3分もあれば事足りる。だから生殖リスクはほぼないといってもいい。
つまり女性は3年で男性は3分。女性は男性に比べ生まれつき2重、3重に生殖リスクが高い。これが女性の脳梁を太くしたというのだ。
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