「沈黙」もまた、会話である 【寄り道女とゴール男の会話術】 「早起きは三文の得」実行委員が行く(1/3 ページ)

「女性部下の言動が理解できない」と手を焼く男性上司の皆さん。「男性上司との会話がかみ合わない」とお嘆きの女性部下の皆さん。女性と男性は脳の構造が違うから、悩んで当たり前なんです。その上で会話の先手を打てば、今よりいい関係が築けるかもしれません。

» 2008年10月10日 21時30分 公開
[豊島美幸,ITmedia]

 「なぜ脈絡なく話すんだ、早く結論を言ってくれ」。あなたが男性なら、女性のパートナーが話している最中こう思ったことはありませんか? 実は女性も思ってるんです。「どうして話をちゃんと聞いてくれないの?」と――。

 「女性と男性では脳の構造/機能が違うから、当然のすれ違いです」。脳機能論の立場から人間の感性分析を行う企業、感性リサーチ代表の黒川伊保子(くろかわ・いほこ)さんは壇上からそう笑い飛ばした。

 講演「『彼女はデキる』と思わせる対話術」で黒川さんは、異性間のすれ違いの原因を「男性脳」と「女性脳」という言葉を使って説明。2つの脳の違いを踏まえ、異性間の会話術を解説した。その中から、すぐ使える会話術などを3回に分けてお届けしよう。

 会話術に入る前に、まずすれ違いの原因である女性脳と男性脳について見ておこう。


10月1日早朝7時15分から60分間、「女性脳」をフル回転させて話し続けた黒川さん。通常5ページ程度で収まる筆者のB5サイズの取材メモ帳が12ページに及んだ

寄り道好きな女性、ゴールにまっしぐらの男性

 「女性は1日2万語、言葉を発しないとストレスを感じると論じる心理学者もいます。2万語は大げさかもしれませんが、しゃべらないとストレスを感じることはありませんか?」。黒川さんはそう会場の女性陣に問う。

 女性は「話す行為自体」が、男性は「話の結論を伝えること」が、相手と会話する目的だという。“目的地”にまっしぐらに向かいたい男性は、寄り道だらけの女性の“長旅”に付いていけない。だから冒頭のようなすれ違いが起こるのだ。

 黒川さんはまた、ある女性の看護士からこんな相談を受けたことがある。

 前任看護士から新任看護士への仕事の引き継ぎについてだ。普通、新任者は前任者の受け持っていた患者さんの情報を、前任者から聞いて仕事を引き継ぐ。新任者としては当然、患者さんの情報は詳しく知りたい。

 相談者によると、前任者が女性看護士だった場合、病状のほか、「○○さんは今帽子を編んでいて、昨日は30段編めたと喜んでいた」「お笑いの話をすればすぐ打ち解けられる」など、プラスアルファの情報まで逐一報告してくれるから、引き継ぎがスムーズにいく。ところが男性看護士からの引き継ぎは、そううまくいかないという。

 大抵の男性看護士は、患者の病状を箇条書きにしてくるだけで、細かい経緯までは書いてこない。そこで新任者が、前任の男性看護士を質問責めにして、ようやく引き継げるレベルの情報が得られるというのだ。

 こんなふうに日常のあらゆる場で、結論をなるべく簡潔に伝えようとする男性と、結論までの過程を詳しく伝えようとする女性とのコミュニケーションのズレが生じている。黒川さんはこのズレを、「女性脳」と「男性脳」の先天的なズレによるものだと説明する。

 このズレを認識して歩み寄る対話術を使えば、異性間でもうまくコミュニケーションが取れるはず――というのが黒川さんの考え方なのだ。

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