今でも「超」整理法で整理するのだシゴトハッカーズ(3/3 ページ)

» 2008年11月06日 13時19分 公開
[大橋悦夫、佐々木正悟,ITmedia]
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記憶で検索できる「超」整理法

 発表以来、大ベストセラー、ロングセラーとなった同書のタイトルとともに、すっかり有名になった野口悠紀雄さんの『「超」整理法』ですが、この整理法がとても優れているのは、人間のメンタルモデルによく合っているからです。

 人間の脳は、真新しい情報と、真新しくなくても直前にインプットした情報に、注意をひかれるようにできています。

 注意をひかれるということは、よく覚えているということでもあります。もっともこれは、何も脳の性質などを持ち出さずとも、考えてみれば当然の話です。目新しいものは珍しいから注意しますし、ついさっき見たり聞いたりしたものは、よく覚えているに決まっています。

 「超」整理法では、情報の扱い方が、この脳のやり方にとても近いのです。

 つまり、「超」整理法では真新しい情報と、直前に扱っていた情報が、集中的に集まるようになっています。だから、「あ、あの書類」と思ったときには、最も取り出しやすい位置にそれが来ている、という体験を頻繁にできるのです。

 「超」整理法が発表される以前には、こういうわけにはいきませんでした。紙情報は、情報の鮮度や、いつ扱ったかということとは何の関係もなく分類されるのが普通でした。

 ごく一般的な分類方式では、内容別に情報を分類するのが当たり前だったのです。しかし内容別分類というのは、野口さんがはっきり指摘されているとおり、まず実行不可能な方法ですし、使用頻度や“情報の新しさ”は無視されます。したがって人間の脳の自然な性質からすると、分類されているわりに検索が難しくなります。

 50音順で整理するというのも、同じように時間という属性を無視しますので、実行は不可能ではないにしても、整然と並ぶわりには、それほど検索効率が高まるわけではないのです。

 原則として「時間順」に並んでいるというだけで、どうして効率的に検索できるのか、納得いかない方もいらっしゃるでしょうが、記憶が時間と深くかかわっていることを思えば、納得しやすい話なのです。

 目にしてから日にちがたっていない情報については、当然それなりに「よく」覚えています。それならば、「新しい情報群」を探せばいいわけです。

 反対に、「ずいぶん昔に見たような気がする」情報は、情報のイメージ自体が「おぼろげ」でしょう。「おぼろげ」な情報を見つけるには、「古い情報群」を探せばいいわけです。

筆者:大橋悦夫

大橋
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1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタルハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』、近著に『成功ハックス』がある。

筆者:佐々木正悟

佐々木
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心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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