第3回 読まれるブログを書くため、心がけたい3つのポイント 企業ブロガーの転ばぬ先の杖(4/5 ページ)

» 2008年12月08日 12時38分 公開
[シックス・アパート 中山順司,ITmedia]

2.「完ぺきを目指すな」 〜非の打ち所はあってもOK〜

 「完成度の高いものがよいに決まっている。よって、よいコンテンツであるには、すきのない完全さが求められる」

 これもロジック的に間違っていませんが、それ故に陥りやすいポイントでもあります。ブログコンテンツは精密機械ではありません。ときに「完ぺきを目指し過ぎる行為」がコンテンツをスポイルすることもあります。非の打ち所のない完ぺきなコンテンツは、息苦しさにつながり、面白みとはかけ離れたものになりやすいのです。完全過ぎるコンテンツがつまらないのは、なぜか。それは「減点主義の結果の、後ろ向きの完全さ」だからです。

  • この単語は人を不快にさせないか
  • なれなれしい表現と感じられることがあってはならない

 などと減点法のチェックが行き過ぎると、せっかくの個性が削られます。その結果、いずこからも誰からも文句の出ようのない、当たり障りのない、面白くもない“完全”なコンテンツが完成します。

 余談ですが、数年前、とあるサイトのエンタメ系コンテンツを制作するチームにいたことがありました。そこではメンバー全員で編集チェックに明け暮れていました。ターゲットが老若男女と幅広かったので、公序良俗には特に注意して、完全を期して作業に当たっていました。少しでも掲載の可否を迷うと、メンバーで是非を問う議論が四六時中起きるという、気の休まらない環境でした。

 ある日、メンバーの1人が、

 「中山さん、たった今発見したのですが、この情報は削除しないとマズイですよね……」

 とヒソヒソ声で耳打ちしてきたのです。私は彼の真剣な表情を見て、「なにか、とんでもないミスをしてしまったか!?」と肝を冷やしました。ところが、話を聞いて、私は目が点になりました。それは、ある観光地の名称が、とある地方の方言での卑猥な言い回しと同じ発音であるというもの。

 私は、「固有名詞は変更のしようがないし、そもそも第三者のわれわれが判断することではないし、逆に失礼に当たりますよ。そんなことでいちいち迷っていたら何もできないでしょう」と即答で却下しましたが、そのとき私は行き過ぎた完全を求めるがゆえ、チームの正常な判断力さえ失われてしまったことを痛感しました。今思い出すと笑い話ですが、当時はこんな議論をしょっちゅうしていたわけで、外の人が見たらさぞかし「くだらないことで議論しているなあ」と笑われたと思います。

 このように後ろ向きの完全を目指すと、仕事が停滞するだけでなく、必要なものさえ消される可能性もあるのです(その教訓を元に後に編集長を据え、判断基準を一本化してから無駄は大幅にカットできましたが)。

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