プロの編集者集団である、カフェグローブ・ドット・コムさんを取材させてもらったときのこと、とても印象的な言葉をお聞きしました。
「マスメディアの情報は一流だけど、書いているのはキレイごと。一般の人が書く日記には、面白いものもあるけどプロから見れば二流。一流の書くキレイごとは読み飛ばされ、二流なものはそもそも読まれさえしない。注目を集めるWebコンテンツとして必要なのは、その間を行く“1.5流”のバランス感にあると思う」
1.5流とは「プロらしさを保ちつつ、ギリギリ許せる程度に計算ずくで崩れている」とでも表現すればいいでしょうか。「親しみやすいけれど、決してなれなれしくない」「フランクな態度だけど、礼儀とTPOをわきまえている」「雑な印象を与えつつも、押さえるべきところはきちんと押さえている」というイメージが当てはまるような気がします。
1.5流のさじ加減のコツをお聞きしたところ、
の3つを日ごろから意識しているとのことです。
【1.主語を明確にする 】
ブログというパーソナルなスペースでは、主語が誰なのか、誰が書いているのかをハッキリさせる。主語が組織なのか、部門なのか、担当者なのかが分からないと、文章に信頼性が感じられません。ブログに人格を宿すくらいの気持ちで、自分の性格やキャラを反映させていくことを意識する。
【2.意見や感想を加える 】
書き手の主語がハッキリすると、事実以外に書き手自身の意見や感想が自然と入り、おのずと個性がにじみ出る。主語があるから意見、感想が違和感なく出てくる。従来のメディアは立場上あまりやっていない(できない)部分であり、差がつく部分でもある。
【3.自社を客観視する 】
企業サイドの一方的な宣伝は、ネットユーザーに拒否反応を示されやすい。自社をよく見せたい気持ちをこらえ、あえて自社から一歩離れ、適度な中立さを保つこと。
カレーにインスタントコーヒーや無糖チョコを入れると、隠し味になっておいしくなると言われます。ただし、入れ過ぎると苦くなるし、少ないと入っていることすら分からないので、文字通りさじ加減が求められます。「カレー300グラムに対し、コーヒー小さじ一杯」といった決まった量があるわけではないらしく、あくまで料理する人の経験で判断するしかないそうです。逆に、それくらい微妙だから、「隠し味」って呼ばれるんでしょうね。
ブログも同じだと思います。
例えば、1.5流を目指すさじ加減は、気が付くか付かない程度のほんの少しの意識の持ち方や、表現の仕方の差しかないと思います。ユーザーに支持されるコンテンツ、読まれるコンテンツ、共感を呼ぶコンテンツ、それができているバランスのよいコンテンツは、実はカレーにとってのコーヒーくらいの小さなさじ加減の差しかないと思うんです。でも、その隠し味があるか、ないかで完成品の見た目は似ていても、味は決定的に異なってきます。
ひと手間を面倒ととらえるか、ちょっとガマンして工夫してみるか、バランスのよいコンテンツの分かれ目は、そんなところにあるのだと痛感しています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.