不景気のため「就職活動が難しくなる」と考える学生が急増。その一方で「年齢構成バランスを保つため」新卒採用したいと答えた企業の割合が増えた。エン・ジャパン調べ。
人材紹介サービスを展開するエン・ジャパンは2008年11月、2010年度新卒の求人企業と学生に就職動向に関するインターネット調査を行った。
企業に新卒採用を実施する理由を尋ねると、「社員年齢構成のバランス」という回答が2008年5月に実施した前回の調査より11.1ポイント増の64.6%で首位となり、次いで「将来のコア人材・幹部候補」(60.4%)となった。逆に10ポイント以上減った回答が「毎年採用しているから」「事業拡大のため」などとなった。
また、今回の調査では初めて「新卒採用人数を増やしたい」とする従業員1000人未満の中小企業にその理由を聞いた。それによると、上位から順に「前年度は採用を抑制し、年齢バランスが崩れたから」(29.9%)、「事業を拡大するため」(26.2%)、「採用のチャンスだから」(6.7%)となった。
エン・ジャパンは「特にベンチャー企業や創立10年未満の企業などは、不景気を優秀な人材獲得の絶好のチャンスととらえている」と、コメント。大企業への就職を希望していた学生が流れてくることを期待しているという。
全体としては、不景気を映し出してか「新卒採用を維持/増やしたい」と答えた企業が、前回の調査より約10ポイント減り7割となった。また、「就職活動が難しくなる」と答えた学生が約80ポイントも急増。9割を超えた。
学生の志望業界を見ると、外資系の金融企業は破綻などの報道が相次いでいたが、同じ金融業でも「銀行」は依然として根強い人気で、前年度の3位から1位下落するにとどまり4位となった。一方、10ポイント以上下落した「不動産」をはじめ、倒産や業績悪化などが伝えられた「証券」「生保/損保」などの人気が下がった。
同調査は学生と企業がそれぞれ対象。いずれも11月4日から2週間程度にわたって実施した。有効回答件数は学生が7406件。企業が1401件。なお、これまでも毎年5月と11月に実施している。
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