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» 2008年12月17日 08時30分 公開

【番外編】発生後では手遅れ!? 企業の新型インフルエンザ対策医者要らずでできるインフルエンザ対策(1/2 ページ)

従来型とはまったく異なり、強毒性ウイルスから発生するといわれる新型インフルエンザ。発生後の被害が未知数だけに、企業でも事前対策が叫ばれているのだ。

[SOS総務]
SOS総務

 従来型のインフルエンザ対策を紹介する師走のインフルエンザ対策特集。【番外編】として、新型インフルエンザとは何か、また、個人でできる対策を考えてきた。

 ではもし、新型インフルエンザに対する準備をしないまま事態に直面してしまったら……。企業は大きな損害を被る可能性が高い。その対策とは?

感染を封じ込め、最小限に止めるためには?

 初めに認識しておきたいのは、近年話題となっている「新型インフルエンザ」は、毎年のように国内で流行しているインフルエンザとは違うということである。それは、強毒型のH5N1型ウイルスによって発生するまったく新しい感染症を意味する。そして専門家の見解によれば、ひとたび発生してしまうと、世界各地で大流行(パンデミック)する可能性が懸念されている。そうなれば、産業界への影響もはかり知れない。

 そこで今、企業として何をすればいいのか改めて考えたい。東京海上日動リスクコンサルティングの主席研究員の茂木寿(もてぎ・ひとし)さんにポイントを聞いた。

 「新型インフルエンザ・パンデミックというリスクの特殊性は、自然災害と異なり、発生当初はインフラに影響を及ぼさず、人にだけ影響があるという点にあります。そして、全世界へ広がるスピードが従来の感染症より速いといわれているため、特に事前の準備が重要なのです」と、茂木さんは話す。

 大流行が起こってしまった場合、まず想定できるのは、従業員の欠勤率上昇だ。さらに時間が経ち、大半が出社できなくなれば、インフラ機能にまで影響が及び、社会・経済活動が滞ってしまうだろう。そうした事態を回避するために、初期の段階で求められる緊急時の活動がある。他国でウイルスが発生したら国内への侵入を防ぎ、国内で確認されれば流行を最小限に止めることだ。

 「感染が広がらないように、従業員の出張や移動を制限したり、自宅勤務に切り替えたりといった対応が必要になってきます。また次の段階として、製造業であれば一部ラインの停止、サービス業では業務実施体制の制限や、代替業務実施体制の整備などを視野に入れなくてはなりません」(茂木さん)

 緊急時に対応策を練る際にも、人が集まること自体が感染リスクとなるので、直接顔を合わせない伝達手段を用いること、指示命令系統や意思決定の代行者を明確にしておくことが大切だという。また、可能であれば対策本部の隔離化も実施する。そうした活動が必要となれば、事前にすべきことは山積している。何から始めればいいのだろうか?

 茂木さんは、次のような順序で取り組むことを奨励している。

緊急時へ向けた事前の準備手順

(1)対策委員会設置など、社内体制の整備

(2)フェーズごとの被害想定

(3)情報収集・伝達体制の整備

(4)マニュアルなどの作成と訓練の実施

(5)継続する業務の優先順位決定


 対策委員会の設置については、中小企業では難しい場合もあるので、経営者が率先して準備にとりかかることが望ましい。また、大企業にとっても1つの部署で対処できる問題ではないので、経営トップが関与し全社横断的に取り組む必要がある。

 次に、感染拡大規模に応じたフェーズ(レベル分け)ごとに被害想定を行う。人的損害、物的損害、操業停止など影響のある範囲を想定し、項目ごとにどう対応するかを検討するのだ。

 情報の収集においては、収集する内容や情報源の特定を行い、伝達ルールやルートを明確にしておく。そして、それら(1)から(3)の内容を明文化し、マニュアルを作成したら「実際に訓練を行うことが望ましい」と、茂木さんは言う。

 「ぜひ、危機を想定した対策本部での対応を模擬的に行い、対応能力を向上させてほしいと思います。問題点が見えて改善につなげられるのも利点です。それから伝達ルートは、従業員が出社の可否を伝えるために安否確認システムを利用するなど、さまざまな工夫をして備えるといいですね。テレビ会議システム導入も有効です」

 準備の中で、重要ながら最も難しいのが(5)の業務優先順位だ。人員不足の場合、事業継続の観点から考え、何を優先すべきか……。例えば、リスクコンサルティングを受けると、多方面からの客観的な視点が提示され、企業側が順位を決定する。こうした業務の洗い出しは、通常業務に戻ってからの経営状態を左右するので、ぜひ取り組んでおきたい。

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