名刺の整理はぐずぐずしないのだシゴトハッカーズ(4/4 ページ)

» 2008年12月18日 20時10分 公開
[大橋悦夫、佐々木正悟,ITmedia]
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個人情報のメタ情報

 よほど特別な記憶力の持ち主でない限り、いただいたすべての名刺を覚えておくことはできないでしょう。それどころか、ごく普通の人は名刺を一度いただいた人に再びお会いしても、果たして自分がその人の名刺を持っているかどうかすら確かには思い出せないはずです。

 その際、少なくとも名前を伺ったとき、名刺か個人情報をぱっと探し出せれば、それはそれで意味があるかもしれません。それでも、あらためて名刺をいただくことも少なくありません。これではせっかくの名刺が役に立ったとはとても言えませんが、名刺というのは、意外と活用するのが難しいものです。

 また、名刺に書かれている情報のなかで、どの情報が最も必要になるかも、人によって、場合によって、大きく変わってきます。メールアドレスは何よりも重宝することが多いですが、一方ではよく知っている人の携帯電話番号がとにかく知りたい、ということも時々発生します。そんなとき、しっかり取っておいた名刺のことを思い出し、喜々として探し出してみると、名前とメールアドレスだけしか記載されていない、ということもよくあります。

 書籍や書類を送付したいと思うときには、住所がほしい。しかし、これもまた載っていないことがしばしばですし、転居してしまっている可能性も少なくはありません。

 以上のような、名刺の「使いにくさ」を完全に克服するにはかなりの労力と時間が必要です。ですから名刺の整理はごくおおざっぱなレベルにとどめるのがいいと思うわけです。大橋さんなら、メール送信と日付スタンプ押しに名刺関連作業をとどめているというわけです。

 私(佐々木)自身としては、名刺に関して最も忘れたくないことは持っているかどうかです。名刺の数が増えてくるとこれすら怪しくなってくるものですが、少なくとも「持っている」ことを知っていれば、「書籍が送れるかどうか」とか「電話連絡できるかどうか」を、必要な際に判断できるからです。

 これは個人情報に関する情報ですから、個人情報の「メタ情報」と言えるでしょう。ある意味で「友人」とか「会社の人」といった「グループ化」も、メタ情報を強化する意味で行うことなのですが、こうした分類はよく言われるとおりだんだん破たんしていきます。「会社の友達はどちらに入れるか」といった問題が、必ず発生するからです。

 私の管理方法は対談で述べたとおり、ただひたすらPCなどに名刺を取り込み、探すときにはアイウエオ順で探すやり方です。また時々は名刺全体を短時間にざっと読み返します。こうすると「持っているかどうか」に関する記憶が強化されるからです。

筆者:大橋悦夫

大橋
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1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタルハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』、近著に『成功ハックス』がある。

筆者:佐々木正悟

佐々木
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心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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