パーソナルな海外進出 情報誌? インターネット? 友達だろ編樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

まったく知らない国に赴任した商社マンが仕事をしようとする時、まずは地元の情報誌や政府刊行物などから情報を集め始める。筆者の場合は、友達作りから開始する。

» 2009年01月08日 13時45分 公開
[樋口健夫,ITmedia]

 まったく知らない国に赴任した商社マンが仕事をしようとする時、まずは地元の情報誌や政府刊行物などから情報を集め始める。その国が必要としているプロジェクトを掘り出すためだ。実際に足で歩いて探すこともあるが、最近ではインターネット上の情報もチェックする。たいていの商社マンにとって、こうしたプロセスは定石だったりするわけだが、筆者の場合は、友達作りから開始する。

焼き肉から始まることもある

 筆者たち外国人にとって、仕事で面識も信頼もできていなければ、いくら日本で有名な会社であっても海外では仕事は取れない。しかし、地元の友達ができれば、その友達から新鮮で貴重な情報を手に入れられる。こうした情報を元に仕事の信頼を勝ち得るのである。それに、生身の友達がもたらす情報は情報誌や政府刊行物には書かれていないものも多いし、インターネットの匿名情報よりも信頼できることがあるのだ。

 とはいえ、友達はそんなに簡単にできるものではない。新しい国では、友達になれる人がいないかを探しまわるのに数カ月から数年かかることもざら。特に自分の仕事に関係する友人を見つけるのは難しい。仕事に関係する友達だからといって、仕事の話だけで探し回ってもだめだ。仕事以外の知識、経験、ユーモア、思いやりなども、友達作りには大切な要因だからである。

 筆者の場合、時には一緒に食事をしながら、仕事以外の人生を話すことで、友人を増やしてきた。例えば、サウジアラビアに赴任していたときのこと。自宅にサウジの知識人をどんどん招待した。鉄板焼きで焼き肉をしたのだが、調理したのは筆者自身。焼き肉を客人の皿に盛りつけしたものだ。サウジアラビアなどでは、男の料理は作法でもある。一家の主人のもてなしとされるのだ。

 このような食事を一緒にすれば、サウジ人達はまず間違いなく、筆者の家族を砂漠での彼の家族や一族の食事会に招待してくれた。そこには、そのサウジ人のさまざまな知り合いもたくさん来ていて、砂漠のたき火を囲んで話し合う。こうして友人関係がどんどん広がっていく。長く滞在すればするほど、どんどん知り合いの人数が増えて、どこかで情報が生きてくることになる。

信頼できる人の友人を狙え

 若いビジネスパーソンが海外に進出する場合も、まずは友達を作ろう。出発前に日本国内の友達から紹介を受けるのも取っかかりとしてはいい。ヨメサンの友達もターゲットになる。信頼できる人の友達は、自分にとっての大切な友達作りの工夫の1つだ。

 ただし当たり前のようだが、友人の善し悪しの見極めが重要である。ひどい友人関係を作ってしまうと、生涯苦しむことにもなりかねない。

 例えば、初めての場所で孤立しているあなたをパーティに呼んでくれるような、一見すごく親切な人。アルコールを飲んで酔いが進み、カーペットに車座になって、みんなでタバコを吸いだす。酔っぱらった隣の美人の体が寄りかかってきて、自分の吸っていたタバコをあなたに回してくる――。それが大麻の最初の体験となることも多い。

 特にあなたが喫煙者である場合は、美人(美男)がタバコを回してくれば吸ってしまう恐れが高まる。これで一生の破滅――とならないよう、気を付けてほしい。

今回の教訓

やっぱり“禁煙”か――。


著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちらアイデアマラソン研究所はこちら


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