パーソナルな海外進出 「人生の巡礼」の旅のススメ樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

筆者は21年間の生活でさまざまな友人たちと出会ってきた。海外在住の日本人はもちろん、外国人とも懐かしい思い出がいっぱいだ。今でもお互いに行き来しているが、最近では連絡先が変わってしまったりして、消息不明な人たちも増えてきた――。

» 2009年01月22日 16時44分 公開
[樋口健夫,ITmedia]

 大学時代と商社マン時代の40年間のうち、筆者は21年間を海外で生活した。アフリカ、中近東、東南アジア、南西アジア――どんな国でも家族で赴任するという信念を持っていた。この生活は、筆者に何を残してくれたのだろうか。

大切な“人生資産”

 まず思い浮かぶのが、友人たちである。海外で同じ時期に仕事をした多数の日本人とは、今もそれぞれの場所の名前の会合を設けて、現在も付き合っている。ナイジェリア・ラゴス会、サウジアラビア・リヤド会、ベトナム・ハノイ会などだ。毎年数回会うのが楽しみとなっている。

 一方、海外の友人たちは、筆者にとって大切な“人生資産”。アフリカや中近東で出会った欧米人とは、何人か今も家族ぐるみの付き合いがあり、毎年誰かと会うことにしている。学生時代に下宿してお世話になったオーストラリア人は、当時は平の銀行員だったが、25年後は銀行の頭取まで出世していた。再訪して彼の自宅に泊まり、筆者の三男の留学保証人になってもらったが、筆者の帰国直後に癌であることが分かり、三男の渡豪初日が恩人の告別式だった。筆者にとっては、帰国前にパブで一緒にビールを飲んだのが、彼の最後の姿だった。

 1973年にアフリカで出会ったフランス人の駐在員は、陶器の着色剤を扱う商人だったが、ラゴスの我が家で食事を伴にして以来、フランスの彼の自宅には家族で4度、彼がモロッコに移住して後も、1度訪問している。来日したときも狭い我が家に泊まって、親交を深めている。すでに彼も85歳。そんな彼とは、年に何度かSkype電話して様子を訪ねている。

BIな友人たちを訪ねる「人生の巡礼」

 こうしてSkypeなどでつながる友人ならいいが、実は、消息が取れなくなってしまった友人も何人かいる。住所と電話番号が変わってしまったためだ。

 BIとAIという言葉をご存じだろうか。インターネット前(Before Internet)とインターネット後(After Internet)である。実は、消息不明になってしまった友人の多くがBIの友人たちだ。住所が変わってもメールアドレスが変わらないことは多く、AIの友人たちの方が連絡を付けやすいのである。

 とはいえ、そうしたBIの友人たちを調べに出掛けることもある。筆者が「人生の巡礼」と呼んでいる活動だ。オーストラリアで、20年ぶりに学生時代の友達と巡り合ったこともあった。今は友人たちの大半が隠居して、美しい場所で優雅に生活している。筆者の方は、まだせわしなく、ちょろちょろと世界中を走り回っている。

今回の教訓

Go West――。


著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちらアイデアマラソン研究所はこちら


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