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» 2009年07月02日 09時18分 公開

プレゼン成功のカギは「不安の伝染」を断ち切ることあなたの不安、見積もります

聴衆を不安にしてしまうと、その不安が必ず講演者であるあなたに伝染し、ますます不安になってしまいます。不安の伝染を断ち切る5つのポイントをご紹介しましょう。

[佐々木正悟,Business Media 誠]

 私はここ数カ月、「マインドハックス研究会」というセミナーを渋谷で開催しています。毎月やっているとさすがに慣れてくるものの、終わってみると「どうしてもっとリラックスしてやれないのかな」と思うことが多く、「リラックスする」ことの難しさを思い知らされます。

 ですから、次のような質問をいただくとお気持ちがよくわかります。

ビジネスパーソンの不安ポイント

誰もがそうなのかもしれませんが、プレゼンが不安で不安で仕方がありません。


 まず確認しておきましょう。たいていの人は、そうなのです。プレゼンの前に不安を感じるのは普通のことなのですから、ことさらコンプレックスを抱く必要はありません。その上で、「不安を受け止める」いくつかのポイントをご紹介しましょう。

不安にさせなければ、不安にならない

  1. ポイントをアジェンダにする
  2. 原稿を読まずにリハーサルする
  3. ゆっくりしゃべる
  4. 視線を合わせる
  5. 原稿を手にして本番に挑む

 まずは1ですが、「的確なアジェンダ」を提示することは必須です。このプレゼンはどう進み、今はどこをやっているのか、うるさいくらい聴衆に示して悪いことはありません。

 それは分かるが、なぜそれが不安の払拭につながるかと問われれば、不安は伝染するものだから、というのが答えです。聴衆を不安にしてはいけません。そうすれば、その不安が必ず講演者であるあなたに伝染するので、ますます不安になってしまうのです。逆に、聴衆を安心させればさせるほど、あなたも落ち着いてくるはずです。

 2のポイントは、「不安」と「視野狭窄(きょうさく)」には深い関係があるからです。人は過度に緊張すると周りが見えなくなり、次に言うべきことを忘れます。逆に、周りがよく見えて、次に言うことをよく意識できていれば、不安ではなくなります。内容を暗唱できるくらいリハーサルしておくと、それにどんなに助けられるかがよく分かるでしょう。

 3はいつでも心がけるべきことではありますが、かなり慣れてきてもおろそかになりがちです。私も急に早口になってしまって、しばしば反省します。自分が分かっていることを話すのは当然ですが、聞き手は知らないことを聞いているのです。過剰なくらいゆっくり進めて、ちょうどよいくらいです。

 4も、会話中は自然のことでしょう。目を常にそらしていては、お互いが不安になります。画面を見たりホワイトボードを見たり、手元を見る必要があるのはしようがないにせよ、目を合わせるのが当然の状況で、目をそらすのはよくありません。それではやはり話し手と聞き手の双方の不安が増大してしまうからです。

 5ですが、2で原稿を読まなくていいくらいになったところで、さらに原稿を手元に置いておくから、安心材料が増すのです。ニーチェは「弓矢で武装しているとき、戦士は安心して休める」ということを言いましたが、そういうことです。

感情は伝染する

 以上の根底にあるポイントは、感情が伝染するということです。私たちは人の笑顔を見ると、ふつうはうれしくなります。また、人が怒っているのを見ると、いささか不快になります。あくびがうつると言われるように、気持ちもうつるということです。

 ですから、まずは聴衆を良い気持ちにさせ、目の前で快適そうにしている人たちを見ることで、自分が安心するという方法論なのです。一般的に、「安心と不安のちょうど中間地点」にいるということはめったになく、プラスならプラスの感情が増幅し、マイナスならマイナスの感情が増幅しがち。肝心の最初は、無理にでもくつろいだ様子でスタートしてしまうことです。

新刊のご案内

 「シゴトハッカーズ」「あなたの不安、見積もります」の筆者、佐々木正悟さんの新刊『残業ゼロの「1日1箱」仕事術』が発売になりました。

 次に何をすべきかは分かっている、材料もすべてそろっている、でも、なんとなく取りかかる気がしない……。仕事を前に、こんな状況でダラダラと時間を浪費してしまった経験は誰にでもあるでしょう。

 本書のテーマは、どうやって自分の中から「やる気」を引き出すか……といっても、気合いや根性を総動員するような「精神論」ではありません。

 ご紹介しているのは、最新の脳科学・心理学の知識に基づいた「正しい」モチベーションの上げ方なのです。


筆者:佐々木正悟

 心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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