ビジネスシーンにおいては、アイデアには本質的に「変化」が含まれます。ビジネスにおけるほとんどのアイデアは、「問題の解決案を出す」「新しい企画を考案する」などの状況で考え出すものですが、すべて「現状を好転する」ことについて考えています。つまり、アイデア出しは、「現状から変化した物事」を考え出すことになります。この変化という要素を、ビジネス系と技術系の視点で抽出すると、下の図の12個の変化に分類できます。
現状を変えるやり方についてもっと多くのアイデアがほしいときには、この「12変化リスト」でチェックしてみると良いアイデアが出せるでしょう。
ステップ | 実行内容 |
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ステップ1 | アイデア出しの対象となるものの中で、世の中にすでにあるものを頭に浮かべ、「12変化」をあてはめてみて、起こることを書き出します(あるいは、他の方法で思いついたばかりの未成熟なアイデアがあれば、この12変化をあてはめて、アイデアをさらに成熟させます)。 |
ステップ2 | 「変化」によって生じる、良いこと・悪いことをそれぞれ書き出します。 |
ステップ3 | 良いことをできるだけ温存しながら、悪いことをもっと小さくできないかを考えます。これをまとめると、新しいアイデアができます。 |
あなたは、オーナー店長として居酒屋を経営しています。忘年会シーズンは、夜中までお客さんでいっぱいの日もあれば、日によっては夜9時までの宴会のあとは空席が目立つこともあります。現場をよく知る店長としては、本当に喜んでもらえるサービスができれば、お客さんは遅い時間にも来てくれることを経験的に知っています。そこで、今年の忘年会シーズンには、他の店にはないような、お客さんにとってうれしい、新しいサービスを企画したいと考えています。
10分間ほど、考えてみてください。
いかがでしたか?
変化をあれこれと書き出すだけでもかなりアイデアが思いついたことでしょう。
宴会コースの時間を大幅に減らせないか
生じる良いこと: 2時間から45分間へ→予算は半分くらいで→忙しい職場で、夜遅くなってから「本当に軽く一杯」だけのお誘いがしやすくなる→1時間を切る宴会なら、早く帰りたい人が多い職場でも上司が誘いやすくなる→「コース時間が短いこと」をメリットとしてうたおう
生じる悪いこと: 時間が短いので、取り分けるのが面倒な料理は出せない→料理ははじめから取り分けた皿で
→プチ忘年会サービス(プレートランチ風)
お酒を提供する頻度をもっと上げられないか
生じる良いこと: お客さんは待たずに飲めて満足→しかし店員増は難しい→よく飲むお客さんは待つよりも自らとりに行ったほうがストレスがないかも→お客さんが自分で飲みたいお酒を注げる「アルコール・ドリンクバー」装置を設置
生じる悪いこと: 早くおかわりできるので飲み過ぎる人が出る可能性がある→お酒を注ぐ装置のコックの機構を工夫。微妙な開き位置をキープしないと薄い配合比率で出るようにする→酔ってくるとうまく合わせられなくなって自然と薄いお酒を飲むことに
→酩酊防止機能つきのアルコール・ドリンクバーの設置
飲めない人に、アルコール以外でリラックスしてもらえるものを提供できないか
生じる良いこと: マッサージ師がいて、お酒を飲まない人には10分マッサージを→お酒の飲めない人も誘いやすくなるかも→また、飲まない人は意識もはっきりしている→飲まない人は店内のミュージックをリクエストできるようにする→好きな音楽で良い気分になってもらいたい
生じる悪いこと: 酔った人にはマッサージは危険→飲んでいる人にマッサージをしないようにアルコールチェッカーでチェック
→リラックス演出(マッサージ・音楽)つき忘年会
優れたビジネスや商品には、多くの普通のものにはないヒネリ(変化)があります。「12変化リスト」を順にチェックしていくと、ヒネリのきいたアイデアを考え出すことができます。
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