マイクロソフトに入社して戸惑ったのは「コミュニケーション」だった。メルコでは「みんなが同じ考えで動く」コミュニケーションが求められた。一方、ソフトウェアなど見えないものを売るマイクロソフトでは、見せ方も説明の仕方も暗黙知のない、ローコンテクストなコミュニケーションが必要だった。
「どう分かってもらうかということの方が大事。お客さんに対してもそこを一番重要視しているところがすごく違うなと思いました。一から説明して、ビジネスの背景まで説明しなければならない。『同じ仕事をしているのにそこからやるの?』ていう違和感はありましたね」
いまでも苦労しているという大谷さんが克服するために意識していることがある――「単純化」して説明することだ。キーワードを3つくらい、しかも分かりやすい単語を選ぶのがコツという。「(社員同士のコミュニケーションでも)お客さんへのメッセージと同じような感じで。極力キャッチーな言葉を3つくらい考えて、伝えるようにしています」
大谷さんは「マイクロソフトは“生産性向上”のために製品を提供している会社です。当然社員なのでどんな製品でも自由に使っていい。それをフル活用して仕事の効率を上げたい」と話す。
大谷さんのイチオシはマウスだ。誠 Biz.IDの読者なら「ショートカットキー」を使って、手間を省くなんて人も少なくないかもしれない。しかし大谷さんはショートカットキーはあまり使わず、マウスでできることは全部マウスで行う。
マウスは5つのボタンを備えた「Wireless Mobile Mouse 6000」を使用する。それに付属するマウス用ユーティリティソフト「IntelliPoint」で、よく使うような機能をボタンに割り振っている。
「3回もキーを押す、ショートカットと言えないようなものもありますよね。コピーぐらいだったらいいですけど。よく上司に『このExcelのこの表を貼ってよ』なんて言われることがあるんですけど、自分が管理している表と全然違ったりとかがよくあるんです。そういうときに、普通にペーストすると違う数値がでてきてしまう。値をペーストするなら、ショートカットキーの場合[Alt]+[H]+[V]+[V]が必要だけど、あらかじめ割り振って置いたマウスならワンボタンで済んでします」
マウスの場合、会社でだれかが使った中古のものとかを渡されるケースもある。「マウスは自分の好きな物を買った方がいい。自分に合った物は必ずあるので。それだけでずいぶん生産性が向上しますし。マウスぐらいは自分で買ってもいいんじゃないんですかね」

Webカメラ「LifeCam Cinema」を愛用。オートフォーカス機能を備え、自動的にピント調整する。「デジカメだったら撮って、サイズ変更して、メールに添付してと意外と面倒。LifeCam Cinemaは撮ってそのままサイズを変更し、メールに添付できる。例えば自分が使っていた製品に不良品が出た場合、製品のシリアル番号を撮ってすぐにメールで送れる」
普段持ち歩いているもの。マウスや充電器、タップをまとめている。特に興味深かったのはぺんてるの赤いサインペン。「ものすごくさらさら書けますよね。全部つぶれちゃったりして黒文字だと見づらいけど、意外と全部赤文字なら見えるんです」とうれしそうに話す。「あの赤いペンで書く人でしょ」なんて言われたことも。大谷さんのトレードマークとも言えそうだ。「赤ペンがないと不安。かばんを開けたとき、『あれ赤ペンないじゃん』て(笑)」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.