今回はちょっと目先を変えて、実際に自分で本のアイデアを作ってみようという企画。アイデアを展開するツールとしてはマインドマップを使います。
前回まで、3回に渡って電子書籍の到来というビジネスモデルの大転換のお話をしました。今回はちょっと目先を変えて、実際に自分で本のアイデアを作ってみようという企画です。アイデアを展開するツールとしてはマインドマップを使います。
Wikipediaによれば、
マインドマップはトニー・ブザン(Tony Buzan)が提唱した図解表現技法の一つである。(中略)
表現したい概念の中心となるキーワードやイメージを図の中央に置き、そこから放射状にキーワードやイメージを繋げていくことで発想を延ばしていく図解表現技法。この方法によって複雑な概念もコンパクトに表現でき、非常に早く理解できるとされ、注目され始めている。人間の脳の意味ネットワークと呼ばれる意味記憶の構造によく適合しているので理解や記憶がしやすい。
とあります。本来は紙とペンで描くものですが、いろんな色を使ってカラフルに書いていくため、そうした筆記具をいつもそろえておくのはビジネスマンには現実的ではないでしょう。かくいう私ももっぱらコンピュータソフト、あるいはクラウドサービスを使っています。今回は、提唱者トニー・ブザンが唯一公認しているソフト「iMindMap」を使って、新しい本のコンテンツを考えてみたいと思います。
まず、真ん中にトピックを置き、そこに本の仮タイトルを入力。センタートピックは、イメージがわくように本のアイコンを設置しましょう。センタートピックからドラッグして、最初の“枝”を延ばします。この部分は、本で言うところの、章立てにあたります。
マインドマップの最初の手順は、センタートピックを置くこと。イメージがわきやすいような画像を配置しましょう。
センタートピックを置いてみたところ。今回は本の企画なので、本のアイコン。タイトルを「時短仕事術」としてみました。
センタートピックの枝をドラッグして延ばしてみる。カラフルかつ有機的で楽しい感じです。
枝部分にもアイコンを配置。ここは、本の章タイトルにあたる部分なので、内容にマッチしたものをチョイスしましょう。
ひと通り、章タイトルとイメージを配置してみました。う〜ん、これだけでも結構イメージがわくなあ。
章立てが終わったら、実際にそこに記事ネタを追加していきます。1つの枝からたくさんの小枝が出ることになりますが、その本数のばらつきは気にせず、思うがままに追加していきましょう。インスピレーションがわいても、どのカテゴリに入れてよいか分からない場合は、フローティングトピックとして、未分類のまま配置してもOKです。
さらに、注目すべきトピックはまとめて「クラウド(雲)」でくくったり、関連するトピック同士を線で結んだりしましょう。ネタに合わせて、関連するファイルやWebの記事などがあれば、資料としてトピックに添付。こうすることで、見た目はスッキリしながらも、いざとなれば、詳細な資料にアクセスすることが簡単になります。
メインのトピックから、枝分かれさせて、詳細記事のネタを追加していきます。枝ぶりの形状は、幹部分の点をドラッグすることでかんたんに変更できます。
ひと通り、記事の詳細までのアイデアを展開してみました。本の具体的なイメージがどんどんわいていきます。
目立たせたいトピック群は、クラウド(雲)でかこったり、関連するトピックは、線で結んだりして、有機的に結合していきましょう。これぞ、脳内ネットワークのスパーク!
トピックに関連するWebの記事などがあれば、URLをリンクすることもできます。URLのほか、外部ファイルやほかのマインドマップなどを参照することも可能。枝の先にアイコンがついている部分が、参照ファイルがある目印です。
完成したマインドマップですが、画像やPDFに書き出して、自分用に、あるいはプロジェクトに関係するスタッフなどと共有しましょう。iMindmapでは「インタラクティブプレゼンテーション」というプレゼン向きのデータとしても書き出し可能。これは、PowerPointファイルに書き出すのですが、センタートピックから順番に表示するように、アニメーション付きで書き出します。
インタラクティブプレゼンテーションでエクスポートすると、アニメーション付きPowerPointファイルとして保存されます。
実際に書き出されたファイルをPowerPointで開くと、センタートピックから順番にすべてアニメーションの設定がなされていることが分かります。
こうしてマインドマップで作りあげた新しい本の構成案。なかなかグラフィカルで、ながめるだけでも楽しいですね。アイデアは、リラックスして、自由に発想できる環境が必要です。マインドマップは、そうした環境をうまく引き出すことのできる有効なツールの1つですね。
さて、筆者は、これをもとに1ネタごとにPowerPointのスライドを作り、200ページ強のリアルな書籍として完成させる予定です。次回以降は、この『時短仕事術』の中身を、ご披露したいと思います!
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
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