水冷? 空冷? 冷蔵庫の節電対策を“自作”する節電DIY(2/3 ページ)

» 2011年08月09日 17時45分 公開
[奥川浩彦,Business Media 誠]

冷蔵庫を冷やせ

 では筆者が2010年から取り組んでいる冷蔵庫の節電方法を紹介しよう。参考までに我が家の2010年7月の電気の使用量は、何もしていなかった2009年の毎時664キロワットから毎時487キロワットと27%ほど減っている。2010年6月と比べても14%ほど下がっているので節電をすればそれなりに効果はあるはずだ。

電気代

 ただし、我が家が省エネとは思っていない。絶対値として低いわけではないので、元々野放し、だだ漏れだった水道光熱費が節約によって「普通」になったと思っている。筆者のようにメタボ体型の人と、体脂肪率10%以下のアスリートでは「やせる」の意味が異なるように、それぞれの家庭、企業によって節電の中身は異なってくる。「15%の節電」という目標はあるが、チョット工夫すれば30%節電できる場合もあるし、乾いたタオルを絞って5%という場合もあるだろう。それぞれの実情の中で可能な範囲の節電をすればいいと思っている。

 3月の節電記事でも紹介した通り昨年の夏は冷蔵庫の水冷化(+空冷化)という節電を行った。今年は水冷化、空冷化の改良を行ったのでその様子と節電結果を紹介しよう。

 3月に記事で紹介した冷蔵庫の節電方法は

  • 温度設定を下げる(強を中、中を弱)
  • 保冷カーテンの設置
  • レイアウト変更で放熱空間の確保

 ここまでは一般的によく知られている節電方法だ。放熱空間に関しては機種ごとに異なっている。日立、三菱等の取説を20冊ほどダウンロードしてみたが、独身の方が使うような小さめの冷蔵庫は背面放出、家族で使用する大きめの冷蔵庫は上面、側面放出が一般的のようだ。各社の取説に「夏場は側面が50〜60度になる」と書かれているように触って熱いところから放熱されていると思えばいいだろう。冷蔵庫の中身を減らし、冷凍庫はぎっしり詰め込むと節電になるらしいが、必要なものを入れているので中身は気にしないことにしている。

保冷カーテンを設置
レイアウト変更。元々は食器棚が隣接していたがゴミ箱と位置を入れ替え、空間を作った

 この先はマニアックというかイレギュラーな対策。次に行ったのは冷蔵庫側面(放熱部分)と壁の間に溜まった熱をブロアーファンの送風で下から上に追い出し冷やす空冷化だ。大きなファンを入れる隙間はないので、ややうるさいのは覚悟してブロアーファンを磁石で冷蔵庫側面に貼った。

ブロアーファン

 そして最後が水冷化だ。障子紙を側面、上部、側面とコの字型に被せ、その障子紙を水で濡らすことで気化熱で冷蔵庫を冷やす仕組みだ。水冷化はそれなりの効果は出ていたが、数時間で蒸発していしまうのでメンテナンスの労力が掛かっていた。今年は自動給水の仕組みを追加するのが最大の課題だった。

水冷。こちら側は普段はタオル、ハサミ、鍋つかみが貼ってあるので小さめ
狭い隙間側は幅も長さも大きい。青いのは洗車用のセーム革で保水力抜群。今回の撮影用に隙間を拡げている。
上面の青い吸水スポンジシートは側面に貼ると水が抜けて役立たずなため上面で使用中。黄色いスポンジも給水、保水用。給水は注油用のスポイト(?)を使用

 昨年の夏は自分自身のためにこれらを実行していたが、まさか震災→節電→原稿を書いて紹介することなど考えてなかったため、簡単な検証しかしていなかった。今年は改良を加え、詳細な検証を行ったところ驚くような効果が確認できた。

空冷、水冷ともに改良

 空冷の強化からご紹介しよう。昨年はブロアーファンを2個用意し左右の隙間の熱を追い出す予定だったが、レイアウト変更で片側に空間ができたので壁側に隙間に2個設置していた。今年は側面のファンは1個にし、冷蔵庫上部及びカウンターキッチン全体の温度を下げるファンを冷蔵庫の上に設置する方式に変更した。

 カウンターキッチンは小さな部屋になっているのでコンロや冷蔵庫、電子レンジなどの発熱で熱がこもりやすい。実際に換気扇を止めコンロの火を全開にすると冷蔵庫上部の温度は50度に達した。熱のこもりやすいカウンターキッチン上部の空気を廊下側に追い出すために、24時間、低電力、低騒音で駆動できるファンを追加した。

 用意したのはシグマA・P・Oシステム販売のUSB扇風機「UMF02WH」とオウルテックのPCケース用ファン「OWL-FY1225M」。USB扇風機「UMF02WH」はマグネットで設置できるので冷蔵庫には最適と判断した。PC系のメーカーらしく使用しているファン単体のスペックが公開されていたことも改造のしやすさにつながっている。

 USB扇風機をそのまま5ボルト駆動するならiPhoneなどに付属するコンセントからUSB電源を取り出すアダプタと延長ケーブルで設置することも可能だ。昨年設置したブロアーファンが12ボルト駆動なので、USB扇風機「UMF02WH」も12ボルト駆動に改造するためにPCケース用ファン「OWL-FY1225M」に換装した。

左側のファンが元々の5ボルトファン。右側が換装した12ボルトファン。スイッチ基板はそのまま利用した
USBケーブルを12ボルト電源ケーブルと半田付けして接続
カウンターキッチン上部の熱を廊下に向けて24時間送風し冷却を行う

 当初は換装したファンからケーブルを直出しして半田で接続するつもりだったが、元々のスイッチ部分の基板の回路を確認したところそのまま使えると判断。USBミニ端子のケーブルを12ボルトの電源ケーブルに半田付けしUSB扇風機自体は元々のコネクターで切り離せるようにした。筆者としては予定していた以上にスマートな改造ができたと思っている。

 空冷部分の消費電力はブロアーファンが2ワット、USB扇風機(改)が3.6ワット、24時間計測した実測値は5.4ワット。空冷により冷蔵庫の消費電力を6ワット以上減らせているかはこれからの検証となる。

 次は水冷の強化だ。まずは障子紙の大型化。昨年より左右とも丈を長くし水冷する面積を拡大した。そして昨年の最大の課題だった給水システムは下から吸い上げる方式など色々アイデアを廻らせたが、最終的に冷蔵庫の上に水タンクとなるトレイを用意し、そこからサイフォン効果のようなイメージで長時間にわたって給水する方式となった。

冷却する障子紙の丈を長くし大型化。こちらの側面の手前3分の1は鍋つかみ、タオルなどのために非冷却領域とした

 水タンクとなるトレイはA4用紙が入るサイズで内寸は約305×210×50ミリ。約3リットルの水を入れることができる。そこに昨年保水用に使用していた吸水スポンジシートを短冊状に切りジワジワとしみ出す感じで給水を行っている。

給水用のトレイと幅を変えて短冊状に切った吸水スポンジシート
実際に使用するときは組み合わせて給水量を調節する
USB扇風機(改)も設置

 何度か実験した結果、水が多いと給水量が増え、短冊の幅によって給水量が変化するので気温によって細い短冊を使用したり、複数の短冊を使用したりしている。理想的には気温によって自動的に給水量を変化させられればいいが、コスト面もあるので今年はこれで満足している。ちなみに障子紙は昨年の余りを使用、スポンジシートも昨年使用したものを切って使ったので今年の追加投資は100円ショップで買ったトレイだけだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ