さて、上記の方法はノートPCが2台あることが前提であり、そうでない場合は若干ハードルが高い。筆者が最近併用しているのは、iPadをサブディスプレイとして利用する方法だ。iPadに「Display Link」というアプリをインストールしておき、無線を経由してサブディスプレイとしてマウントするというものだ。さきほどの方法と違って純粋なマルチディスプレイなので、2つの画面間でウィンドウを移動したり、またぐこともできる。
筆者の場合、こうしたノマドワークの場合はiPadを持ち歩いていることもあり、先の方法に比べてノートPC1台分の荷物が減るというメリットがなによりも大きい。さきの方法ほどシームレスではないにせよ、万一の場合にはiPadで最低限の入力環境を確保できるのもメリットだ。動画の再生はさすがに無理だが、Office文書の表示やWebブラウジングといった一般的な用途であればとくに問題はない。
もっとも、この環境を出先のビジネスホテルなどで構築しようと思うと、ノートPCとiPadを同じ無線LANのセグメント上に置かなくてはならないため、まず無線LANのアクセスポイントを設置しなくてはならない。接続が安定していれば問題はないのだが、なにかの拍子に接続が切れてIPアドレスが解放されると、そのたびに再設定が必要になる。とくに「Display Link」はiPad2との組み合わせでは落ちるケースも多く(初代iPadとの組み合わせでは問題ないようだ)、今後の課題だろう。
――といったように、Synagyを使う方法もiPadの「Display Link」を使う方法も一長一短、ほかのiPad用マルチディスプレイアプリも含めてさまざまな環境を試しているところだ。もっとも、筆者のハードウェア環境でたまたま不具合が発生しているだけで、問題なく使えてしまうケースも多いのではないかと思う。ノマド環境構築の第一歩として参考にしていただければ幸いだ。
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