ちょっと遅くなってしまったが、年末調整の時期である。筆者もサラリーマン時代に年末調整の紙に記入・提出したが、その間はほぼ意味不明だったが独立して自分で確定申告をするようになり、必要に迫られて税金の知識を得て、今さらではあるが年末調整の意味を知った。年末調整の書き方と意味を知ることで税金の基礎的な部分を理解してほしい。
ちょっと遅くなってしまったが、年末調整の時期である。筆者はサラリーマン時代に20年以上年末調整の紙を記入・提出したが、その間はほぼ意味不明、全く理解することなくサラリーマンを卒業(脱落?)した。独立して自分で確定申告をするようになり、必要に迫られて税金の知識を得て、今さらではあるが年末調整の意味を知った。
今回は筆者のように意味不明で年末調整を記入している人に、年末調整の書き方とその意味を知ることで税金の基礎的な部分を理解してほしいと思っている。高校生以下のお子さんがいる人は、子ども手当、高校授業料無償化でどれくらい増税されたかを知ることができるはずだ。もう年末調整が済んでしまった人も基本を知るためにも知っておくといいだろう。
まず簡単にサラリーマンの税金について考えてみたい。毎月の給与明細を見ると、所得税、住民税、厚生年金、健康保険、雇用保険といった項目で結構な額が天引きされている。筆者自身はそれらの項目の意味もよく分からなかったし、どういう計算式でその金額になっているか皆目見当も付かなかった。
ざっくりとした例でサラリーマンの税金を計算してみよう。サラリーマンの所得税は以下の計算式で求める。
各種控除の部分が多くなれば税金は少なくなる。住民税は各種控除の額に若干の差があるが、基本的な計算式は同じだ。各種控除は、厚生年金、健康保険、雇用保険といった社会保険と基礎控除、配偶者控除、扶養控除などを含んでいる。
実際の例で計算してみよう。最初は年収400万、独身のケースだ。まずは給与所得控除。サラリーマンの特権とも言えるもので、年収から一定の額は必要経費として課税が免除されている。年収が360万円〜660万円の場合は収入金額×20%+54万円なので年収400万円の場合は134万円となる。
年収400万円、毎月の手取りが25万円くらいのサラリーマンで月に10万円以上も課税を免除されることになる。独立した人間からすると、とてもうらやましい制度だ。
社会保険は厚生年金、健康保険、雇用保険を合計すると約13.5%となり54万円。独身で養う家族がいないので配偶者控除(奥さん)、扶養控除(子ども)はなく基礎控除が38万円。生命保険は毎月5千円、年額6万円を払っている場合の控除額は4万円、これらを合計すると96万円となる。
所得税を計算すると、
次は年収600万円、専業主婦の奥さんと子どもが2人(高校生、大学生)いるケースで同じように計算してみよう。給与所得控除は、
社会保険の厚生年金、健康保険、雇用保険は収入によって増え合計81万円。配偶者控除が38万円、扶養控除は高校生が38万円、大学生は63万円、基礎控除が38万円。生命保険は学資保険や奥さんの保険を含め年額35万円を払った場合の控除額が5万円、これらを合計すると263万円となる。
所得税を計算すると、
2つの例では年収600万円で家族4人暮らしだと、年収400万円で1人暮らしより税金は少なくなった。ようするに奥さんや高校、大学の子どもがいれば出費も増えるから税金を減らしましょう、ということ。具体的には配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除などの控除が多くなれば納税額が少なくなる仕組みである。
収入のない専業主婦なら配偶者控除が受けられるが、しっかり稼いでいる奥さんだと配偶者控除は受けられない。子どもが中学生以下、高校生、大学生で扶養控除は異なってくる。これら個人個人の家族環境や生命保険料などを把握するために必要なのが年末調整だ。年末調整を記入すれば税金が減ると理解しよう。
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