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» 2011年11月30日 11時00分 公開

年末調整を理解すると増税が実感できる年末調整で知る税金の話(4/4 ページ)

[奥川浩彦,Business Media 誠]
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年末調整を記入して得られる減税額は

 では年末調整で控除額を積み上げることによってどれくらい減税されるのかを確認してみよう。まずはほとんど減税が期待できない独身の方の場合は以下の通りだ。年額6万円の生命保険に加入し、4万円の生命保険料控除を受けることで5400円の減税となった。

年収400万円、生命保険料控除4万円
生命保険料控除 所得税 住民税 合計
あり 85,000 177,100 262,100
なし 87,000 180,500 267,500

 次は年収600万円、専業主婦の奥さんと子どもが2人(高校生、大学生)というガッツリ控除が受けられるケースだ。もし同じ年収で独身の場合と比較してみよう。家族がいることで受けられる控除額は配偶者控除(38万円)+扶養控除(38万円)+特定扶養控除(63万円)=139万円と多額だ。家族がいなければ生命保険も減ると思われるがここでは同額とした。

年収600万円、生命保険料控除10万円
生命保険料控除 所得税 住民税 合計
奥さん+子ども2人 81,500 239,000 320,500
独身 204,500 350,000 554,500

 さすがに家族3人分の控除は大きく、独身とくらべ23万4000円も減税された。面倒臭いからと奥さんや子どもの存在を会社に申告せず、年末調整も書かないという猛者はいないと思うが、これくらい減税されるならしっかり年末調整を書く気になるだろう。

 参考までに高校の授業料無償化により特定扶養親族の控除がなくなる前と後も計算してみた。

年収600万円、奥さんと子どもが2人(高校生、大学生)、生命保険料控除10万円
生命保険料控除 所得税 住民税 合計
改正後 81,500 239,000 320,500
改正前 69,000 219,200 288,200

 改正後の増税額は3万2300円。国公立の高校の授業料11万8800円が無償化されたので、増税分を引いた実質の差額は8万6500円となった。これは年収600万円の野田さんのケースで、所得が多くなると増税額はさらに多くなる。


 年末調整を記入すれば税金が減るという仕組みが理解できたであろうか。来年は生命保険料控除の仕組みが変わり、子ども手当の廃止で従来の児童手当に戻れば扶養控除も復活するはずだ。となれば来年の年末調整の2枚の申告書も記入方法が変わると思われる。

 だが、ご存じの通り深刻な税収不足は続いている。良心的な役人、政治家なら扶養控除を復活させると思われるが、筆者のようなズルイ人間が役人、政治家に多ければ「どうせ国民は控除とか理解してないし……」とこのまま増税を続ける可能性が高い。

 子ども手当、高校授業料無償化はニュースで取り上げられるが、その裏の扶養控除廃止、特定扶養控除の廃止は目にすることが少ない。消費税引き上げなどの大きな話題に影に隠れそうだが、気になる人は扶養控除の廃止、復活も要チェックだ。

インフレ時代の確定申告
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