前回の記事「『暖房はエアコンが圧倒的に省エネ』を自宅実験で実証」を公開後、Twitterなどで「こたつやホットカーペットの検証も行ってほしい」とのつぶやきを見かけた。筆者宅には押し入れの奥にこたつ本体はあるがこたつ布団がないので検証まではできないが、こたつは使い方次第で省エネな暖房器具だと思われる。
まずは、圧倒的に暖める体積が小さい。75センチ角、高さ40センチのこたつなら、体積は0.225立方メートル。6畳間を18立方メートルとすると、部屋全体の体積に対してこたつが占める割合は実に80分の1だ。エアコンの効率が高いと言っても、こたつの中だけを暖めるなら当然消費電力は小さくなる。
一般的なこたつの最大消費電力は500〜600ワット。機種によるが温度設定をできるだけ弱くすれば、100〜200ワットで稼働するし、サーモスタットによりアイドル状態と稼働状態を繰り返すのでカタログ値より消費電力はかなり少なくなるだろう。全ての暖房に共通するが温度を下げることが省エネの基本だ。そして熱を逃がさない工夫をすること。こたつの場合、厚目のこたつ布団とアルミシートを併用すれば比較的簡単に放熱を減らすことが可能だ。
ホットカーペットは2畳サイズで500ワット前後。座っていればお尻は暖かくなるが部屋全体を暖めるならエアコンに軍配が上がるはずだ。ホットカーペットも下にアルミシートを敷くと床面への放熱を防げる。
暖房器具の選択は効率だけでは判断できない部分もある。電気ストーブ系やコタツはすぐに暖かくなるが、エアコンはスイッチを入れてから温風が出るまで時間がかかる。石油ファンヒーターは着火まで少し待つが、着火するといきなり全開で温風を吹き出すので暖かさを実感できる。
他にもエアコンは効率や暖かさが外気温の影響を受けるが、他の暖房器具はその影響はない。筆者のようにこたつは身動きできなくなるから嫌いという人もいれば、こたつにミカンが最高という人もいるので、生活スタイルに合わせて選択するしかないだろう。
アルミ箔の次は気泡緩衝材、通称プチプチについて。一般的には窓ガラスにプチプチ(類似した物)を貼ると「ペア(二重)ガラスと同等の断熱効果がある」と言われている。筆者はこの効果には懐疑的だ。
筆者の住むマンションは結露がひどく、冬場はほとんどの窓がビッショリとぬれている。かなり以前だが、結露対策で最初に試したのがスプレー式の対策製品。窓にテープを貼り、片側だけスプレーを使って比較したが効果は確認できなかった。次に試したのはプチプチではないが、すだれ状の気泡緩衝材。水で窓ガラスに貼り付く製品だ。うたい文句は「暖房効果アップ、結露防止」となっていたが、貼ったシートがビッショリとぬれただけで、結露が減っているのかよく分からず1シーズンで撤去した。
現在の我が家の結露状態を見てもらえれば分かるが、結露するのはガラスだけではなく、アルミの窓枠。さらに動く窓の部分に加えて、固定した枠の部分までビッショリとなっている。窓ガラスだけでは解決しないのが結露対策だ。
テレビ番組では、節電アドバイザーという人が筆者がかつて試した気泡緩衝材らしき製品を貼って「これでバッチリ」とコメントしていたが、実際の効果を検証した映像はなかった。恐らくプチプチをガラスに貼っても節電、結露防止の効果は少ないと思われる。プチプチも駄目なのか……。
過去の経験を踏まえ、2012年は違うアプローチでプチプチを使ってみることにした。ガラスに貼るのではなく、二重窓風にする作戦だ。今回も前回までと同様に5畳の洋間を使用した。この時期窓を開けることはほとんどなく、プチプチで完全封鎖する作戦だ。
写真を見てもらった方が分かりやすい。窓の手前の木枠のところにプチプチでもう1枚窓を作るイメージだ。プチプチと窓ガラスは15センチほど離れているので断熱効果が期待できる。その効果を実験で確かめてみた。
プチプチ設置前と設置後の温度変化を測定してみた。実験方法は1つ目の温度計のセンサーを窓の外に出し外気温、2つ目を窓とカーテンの空間(窓際)、3つ目をカーテンの内側(室内側)、4つ目を前回の温度測定を行った下段(床から95センチ)付近に設置し、エアコンの電源をオフにした後の放熱=温度下降を測定してみた。
最初はプチプチ設置前。この時の外気温が8度だったので、室温を15度高い23度まで上げ測定を開始。室温とカーテンの内側は同じ室内なのでほんのわずかの差で推移、窓際は3度弱低い温度で推移した。この3度がカーテンの断熱効果と考えていいだろう。室温は40分で17度弱まで下がり安定状態となった。測定中に外気温は1度弱下がり7度弱、外気温と室温の差は10度くらいだ。
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