アルミ箔とプチプチは有効? 1000円でできる放熱対策を検証してみた冬の節電DIY(4/4 ページ)

» 2012年02月14日 10時00分 公開
[奥川浩彦Business Media 誠]
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カーテンによるダウンドラフト対策を検証

 部屋の暖かい空気が窓ガラスで冷やされ、冷気となって足元に降りてくる現象をダウンドラフトと言う。このダウンドラフト対策にカーテンがどれくらい有効かを実験してみた。

 カーテンを厚手のものにしたり、長いカーテンにしたりすると節電効果があると言われている。筆者宅のカーテンは2004年ごろプロジェクターを導入したときに遮光○級などと書かれていたものに買い替え、厚いという感じはしないが床まで届く長さとなっている。

 最初はカーテンのすそを折り返して洗濯ばさみで固定、床から5センチくらい短い状態で温度を測定してみた。測定個所はカーテンレールの数センチ上(カーテン上)、カーテンと窓の間の高さ1.5メートルほど(カーテン上部)、同じくカーテンと窓の間で高さ50センチほど(カーテン下部)、カーテンのすそから数センチ部屋側の床付近(床)の4カ所だ。測定は温度が安定したところで1回測定、5分後にもう一度測定し平均した。5分間の温度の変化は最大0.3度、ほとんどの測定値は0.1度以下のバラ付きとなった。

 カーテンのすそを上げた場合、カーテン上の18.8度に対しカーテン上部は17.1度、カーテン下部は15.3度、床も15.3度となった。カーテンレール付近から入った空気が窓で冷え、冷気となって床に降りる感じが温度変化からも読み取れる。

 次はカーテンのすそを降ろし、床まで届く状態にして同じ実験を行った。カーテン上が19.0度、カーテン上部はグッと温度が下がり14.5度、カーテン下部はさらに低くなり12.4度、床は冷気がカーテンで遮られ15.8度に上昇した。カーテンと床とのすき間がなくなったことで、冷気がカーテンと窓の間にたまり窓際の温度が下がった。床部分は温度的にはほんの少しの上昇だが、手を近づけると冷気がなくなりかなり違う印象を受けた。床まで届くカーテンにすると窓から来る冷気を抑えることはできそうだ。

 カーテンを長くすると節電効果はありそうだが、カーテンを買い替えたコスト分だけ電気代が安くなるかと考えると、損益分岐はかなり先になりそうな気がする。エコロジーとエコノミー、どちらが優先なのかは人それぞれだろう。

 短いカーテンはそのまま、カーテンレールの上部を布で覆って空気が入らないようにする実験も行ってみた。カーテンのすそは最初と同じく折り返して洗濯ばさみで固定、カーテンレールの上にバスタオルを被せ暖かい空気が入らない状態での測定だ。この方法なら短いカーテンを買い替えなくても適当な布やプチプチなどで上部に蓋をするだけなので投資コストはグッと下がりそうだ。

カーテンレールの上をタオルでカバーしてみた

 カーテン上の18.7度に対し、カーテン上部は15.6度。カーテン下部は14.1度、床は14.5度となった。窓際の温度は上部も下部も長いカーテンほど低くなっていないが、少し冷たい空気を閉じ込めている感じはする。床の温度は残念ながら最も低く、カーテン下部の温度が14.1度まで下がった分、その近くの床温度も14.5度となってしまった。

 静的な測定では効果は微妙な感じだが、窓際の温度が下がっていることとカーテン下部より床の温度が少し上がっていることを考慮すると、カーテンの窓側から床に流れ出す空気の量は確実に減っている。サーモグラフィーなどで動的に観察するとカーテンレールの上カバーの効果も確認できるかもしれない。また床部分の温度は室内の空気とカーテンのすそから流れ出る空気が混ざり合う部分で、わずかな測定ポイントの位置で値が異なる傾向もあった。

条件 カーテン上 カーテン上部 カーテン下部
短いカーテン+上カバーなし 18.8度 17.1度 15.3度 15.3度
長いカーテン+上カバーなし 19.0度 14.5度 12.4度 15.8度
短いカーテン+上カバーあり 18.7度 15.6度 14.1度 14.5度

 カーテン上の温度を基準として、上部、下部、床の温度差をグラフ化してみた。青い線が短いカーテンのデーターで徐々に温度が下がっていく様子が見られる。長いカーテン(赤線)は窓際の温度がグッと下がり、床の温度が高くなっていてそれなりの効果が確認できる。短いカーテンで上にカバーを被せたデーター(緑線)は窓際はそこそこ冷気を溜めているが、床部分はその冷気の影響で低めとなっている。カーテン下部より床の温度が少し高くなっているのは空気の流量が減った効果かもしれない。

カーテン上部、下部、床の温度差比較

 ダウンドラフト対策の実験を行って、上下だけでなく左右のすき間をふさぐことも重要だと感じた。カーテンを窓ガラスから来る冷気を防ぐポケットのようにすれば、わずかとは思うが部屋は暖かくなり(放熱が減り)節電効果につながるはずだ。洗濯ばさみで左右のすき間を減らしたり、マジックテープで固定したりするなど、少し工夫することも検討していただきたい。

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