長い職業人生を送っていくにあたり、望むべきは当然、タイプ1の関係性です。つまり会社側の目的と個人側の目的と2つの円が多少なりとも重なり合うこと。この重なりは、賃金労働というカネの重なりではなく、価値とか理念とかそういった意味的な重なりを言います。
ピーター・ドラッカーはこう言います。
「組織において成果をあげるには、自らの価値観が組織の価値観になじまなければならない。同じである必要はない。だが、共存できなければならない。さもなければ心楽しまず、成果もあがらない」(『仕事の哲学』より)
会社と個々の働き手の間で意味的な共有がなされ、魅力的な経営者が求心力を創造している組織の典型を、私は本田宗一郎の次のような言葉の中に見出します。
「“惚れて通えば千里も一里”ということわざがある。それくらい時間を超越し、自分の好きなものに打ち込めるようになったら、こんな楽しい人生はないんじゃないかな。そうなるには、一人ひとりが、自分の得手不得手を包み隠さず、ハッキリ表明する。石は石でいいんですよ。ダイヤはダイヤでいいんです。そして監督者は部下の得意なものを早くつかんで、伸ばしてやる、適材適所へ配置してやる。そうなりゃ、石もダイヤもみんなほんとうの宝になるよ。企業という船にさ、宝である人間を乗せてさ、舵を取るもの、櫓を漕ぐもの、順風満帆、大海原を和気あいあいと一つ目的に向かう こんな愉快な航海はないと思うよ」(『本田宗一郎・私の履歴書〜夢を力に』“得手に帆を上げ”より)
すべてのビジネスパーソンに問いたい。
経営者・上司・人事の方々にも問いたい。
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