成果をあげる組織の条件、会社の目的と個人の目的を重ねよ(2/2 ページ)

» 2012年08月23日 08時00分 公開
[村山昇,INSIGHT NOW!]
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会社と個人の望ましい関係は

 長い職業人生を送っていくにあたり、望むべきは当然、タイプ1の関係性です。つまり会社側の目的と個人側の目的と2つの円が多少なりとも重なり合うこと。この重なりは、賃金労働というカネの重なりではなく、価値とか理念とかそういった意味的な重なりを言います。

 ピーター・ドラッカーはこう言います。

 「組織において成果をあげるには、自らの価値観が組織の価値観になじまなければならない。同じである必要はない。だが、共存できなければならない。さもなければ心楽しまず、成果もあがらない」(『仕事の哲学』より)

 会社と個々の働き手の間で意味的な共有がなされ、魅力的な経営者が求心力を創造している組織の典型を、私は本田宗一郎の次のような言葉の中に見出します。

 「“惚れて通えば千里も一里”ということわざがある。それくらい時間を超越し、自分の好きなものに打ち込めるようになったら、こんな楽しい人生はないんじゃないかな。そうなるには、一人ひとりが、自分の得手不得手を包み隠さず、ハッキリ表明する。石は石でいいんですよ。ダイヤはダイヤでいいんです。そして監督者は部下の得意なものを早くつかんで、伸ばしてやる、適材適所へ配置してやる。そうなりゃ、石もダイヤもみんなほんとうの宝になるよ。企業という船にさ、宝である人間を乗せてさ、舵を取るもの、櫓を漕ぐもの、順風満帆、大海原を和気あいあいと一つ目的に向かう こんな愉快な航海はないと思うよ」(『本田宗一郎・私の履歴書〜夢を力に』“得手に帆を上げ”より)

 すべてのビジネスパーソンに問いたい。

  • 組織の事業目的と、自らの働く目的は、どのように重なるのだろうか?(「目指すべきことが同じ方向?」「顧客・社会へ届けようとしている価値が同じようなもの?」「組織の拡大は、自分の成長につながっている?」など)
  • 自らの働く目的があいまいで、組織の目的に従属させられていないだろうか?
  • 両者の円は重なる部分がなく、「(食うために)しょうがない感」で働いているのだろうか?

 経営者・上司・人事の方々にも問いたい。

  • 組織の事業目的と、個々の働き手が持つ目的とを、重ね合わせをするような対話をしているだろうか?
  • 組織の目的遂行のために、働き手を蹂躙していないだろうか?
  • 2つの円が重ならないまま、放置していないだろうか?(村山昇)

 →村山昇氏のバックナンバー

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