新入社員が現場に配属されるシーズンだが、彼らはどんなことに喜びを感じているのだろうか。周囲の先輩たちがちょっと声をかけるだけで……。
職場のコミュニケーションに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。「上司にこんなことを言ったら怒られるかもしれない」「部下には気をつかってしまうし」――。
本コラムでは、職場で役立つコミュニケーション術をご紹介します。具体例を挙げながら「なるほど! こういうやり方があるのか」「これなら自分でもできるかもしれない」と感じてもらえるよう、筆者が見聞きした出来事をちりばめています。
明日から……ではなく、いますぐに試すことができる「コミュニケーションのヒント」をご紹介しましょう。
各社、4月に入社した新入社員が現場に配属され、OJTを受けながら、仕事を覚え始めている時期だろう。
私は企業のOJT支援を手掛けているので、新入社員が現場に配属されてからどのような気持ちで過ごしているのかも迎え入れる上司や先輩側が指導において何をどう苦労しているのかも詳しく聞くことが多い。
新入社員側が感じていることを理解しておくと、職場の上司や先輩はOJT指導において、取り組み方に工夫もできる。新人が感じていることを紹介しつつ、上司や先輩ができることを述べてみたい。今回は、「存在認知」と「仕事の目的と全体感」について解説する。
「嬉しかったこと」を尋ねてみると、真っ先に挙がるのは「声を掛けてくれた」である。
「配属されたばかりの時、昼ご飯はどうするんだろう、と思いながら席にいたら、先輩から『ランチ行く?』と声を掛けてもらえた」
「終業時間になったけれど、帰っていいのか分からなかった時、先輩から『終わっているならもう帰っていいんだよ』と言ってもらえた」
「仕事で困っていることがあった時、たまたま脇を通った先輩から『どうしたの?』と声を掛けられ、その場で質問に答えてくれたので、問題が解決できた」
「声を掛けてくれた」ということは、つまり「このチームのメンバーとして認知してくれた」ということの証だ。存在に気付いてもらえた。存在を気にかけてくれている。仲間として扱ってもらえた。仲間として意識してもらえた。こういうことが新入社員にとってはとても嬉しい。
キャリア採用で入社した人、別部署から異動した人であっても、これは同様だろう。既にでき上がっているチームに自分だけ“新参者”として入って行く時、最初の関心事は、「馴染めるだろうか」だからだ。だから「ランチ行く?」と誘ってもらえたり、「帰っていいんだよ」と言ってもらえたりすることは、「自分がここにいること」を周囲がちゃんと認めてくれていることの証拠として嬉しく思えるのである。
新人から話しかければいいのに、と思うかもしれないが、それはなかなかできることではない。最初のころは、やはり、上司や先輩がどんな話題でもよいから声をかけたほうがいい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.