上司が言う「ホウレンソウ」に、悩んでいませんか田中淳子のあっぱれ上司!(1/2 ページ)

ホウレンソウ――。「報告・連絡・相談」のことであるが、上司や先輩はよく「若手のホウレンソウがなっていない」と嘆いている。しかし“なっていない”のは、双方のコミュニケーションなのかもしれない。

» 2012年11月22日 09時00分 公開
[田中淳子,Business Media 誠]

編集部からお知らせ

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 ホウレンソウ――。多くのビジネスパーソンはご存じかと思うが、「報告・連絡・相談」のことである。上司や先輩はよく「若手のホウレンソウがなっていない」と嘆いている。

 若手社員に聞いてみると、決してホウレンソウをしていないわけではなく、自分なりに考えてホウレンソウはしている。ある新入社員は「相談すると、『そのくらいは自分で考えなさい』と言われ、自分で考えて進めていると『勝手に進めてはダメ』と叱られることもある。境界線がよく分からないので戸惑う」という。

 実際に若手が叱られることといえば「ホウレンソウが遅い」というタイミング(When)から始まり、「メールではなく、口頭で言いなさい」という手段(How)、「まずは私に言うべきでしょう?」という相手(Who)、「そういうことより、大切なことを最初に報告して」といった内容(What)など、5W1Hあらゆる点に及ぶ。

 上司や先輩が期待するホウレンソウのレベルというものが若手には分からないのだ。ある程度仕事をしているうちにこのあたりの勘所というのはなんとなく分かってくるものだが、経験の浅い若手に、そういう勘所がないのは当然である。

 上司や先輩から期待されているホウレンソウと若手自身がよかれと判断して行うホウレンソウにズレがあるのであれば、最初から「どういうホウレンソウをすべきなのか」について意識合わせしておけばよいのではないだろうか。

 先の例で言えば「この資料ができた時点で一度見せてね」とか「これは、まず○○さんに最初に話しておくように」など、上司が期待するホウレンソウを部下に伝える。

 そうやって意識合わせをしておいたにも関わらず、部下のホウレンソウが遅すぎるとか方法や内容が不十分だというのであればその時初めてダメ出しすればよいのだ。「このAという資料ができ上がった時点で、中間報告するように言ったし、それに対して『はい』と返事もしたよね。でも、Aができた時点で、報告してこなかったね。決めたことをきちんと守ってほしい」とはっきりと指摘する。この時、「どうしてAができた時点で報告しないんだ」と「なぜ?」「どうして?」を使った指摘をしないほうがよい。これは過去にフォーカスしていて、責めているだけの印象を与える。

 上司が部下に期待することは、今後の行動改善だ。であれば「過去にフォーカスして責めるような表現」よりも、「今後にフォーカスしてほしいことをびしっと伝える」ほうが部下には響きやすい。このように「I(私)」を主語にして伝える方法については、前回このコラムで述べたとおりである。

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