コラム
» 2013年07月08日 12時30分 公開

未来の人事を見てみよう:かつて優秀だったはずの人がなぜ平凡化していくのか (1/3)

ポテンシャルが高く、入社当時は「優秀だったはず」なのに、数年後は平凡な社員になっている――。このような人々をハイポテンシャルのまま成長させるにはどうしたらよいのでしょうか? ある企業の事例を基に探っていきます。

[調祐介,Business Media 誠]
誠ブログ

 クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。今回はいつもと趣向を変えて、当社ディレクター橋本卓によるコラムをお届けします。

「資質」と「環境」は人の成長にどこまで影響があるか

 人が成長する上で、「資質」と「環境」がどのくらい影響を与えるのかという議論は以前から研究者が取り組んできたテーマ。教育学や医学の世界では、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児を対象とした研究が進んでいます。例えば教育学では、一卵性双生児の学校の成績や体育の能力を比較した研究が進んでいて、双子でも環境により影響を受けやすい性格、能力とそうでないものがあることが分かっています。

 企業の人材育成を考える上でも、この「資質」と「環境」は常につきまとう疑問です。私たちはコンサルティングの現場で優秀な社員に出会うことが多いですが、「どうしてこの会社の人は優秀なのだろうか」「育て方が違うのだろうか」「元々優秀な人が入社しているだけなのだろうか」と疑問に思うことがあります。

 逆もまた然り。知名度が高い就職人気企業で、グローバルに活躍している会社であっても、40代にさしかかるころには誰もがぱっとしなくなるような会社もあります(もちろん一部の優秀層は除きます)。入社した時にはハイポテンシャルな人たちを採用し、かつ鍛錬の機会、環境にも恵まれているはずなのに、どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。

人事統合で見えてくる「環境」の差

 「資質」と「環境」の問題を考えるヒントになりそうな事例を紹介します。

 ある販売業大手の事例。この会社は5年前に、A社とB社が統合した会社です。

 統合初年度に新卒入社5年目の若手社員を対象に研修を行う機会があり、能力開発の目的で人材アセスメントを実施することになりました。人材アセスメントとは、疑似的な場面を与え、そこでどのように行動するかを考えさせることで再現性のある潜在能力を保有しているかどうかを測る能力診断のことです。

 人材アセスメントの結果は、下図のように旧A社の社員と旧B社の社員で明確な差が表れました。差が出ることは予想していましたが、ここまでの差が出るとは予想外でした。

 旧A社は職場で厳しく人を育てることで有名な会社で、業績も伸びていました。一方、旧B社は変化への対応が遅く業績が低迷していました。入社時点でのポテンシャルは旧A社の社員に分があるにしても、ここまでスコアに差が出るのは、職場のマネジメントや上司の影響が大きいことが伺えます。

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