誰でも、集中1万時間でブレイクできるトップ1%だけが実践している集中力メソッド(1/2 ページ)

多くの成功者は成功に必要な要素として「運」を挙げます、しかし運は偶然にやってくるものではありません。毎日、1つのことを成し遂げようと努力し続けている人の元に自然と訪れるのです。

» 2013年11月26日 10時00分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]

 私は子どものころ、虫眼鏡で光を集めて紙を焦がすのが大好きでした。皆さんも経験があると思います。虫眼鏡は中心が膨らんだ凸レンズです。平行した光が入ると屈折によってある1点に光が集まります。これを「焦点」と呼びます。焦点に紙を置くと太陽光の熱も1点に集められ、一定温度を超えると発火します。集中とはまさにこの光を集め、1点に当て続ける行為と同じです。

 このときにどれだけ屈折率を高め、広い範囲の光を1つの焦点に集め、それをどのくらい維持できるか、によって温度が変わります。このどれだけ光を集められるかが「集中の深さ」であり、どのくらいの時間、光を当て続けられるかが「集中の時間」となります。集中の総量は、この「深さ」と「時間」の掛け算で表すことができます。

 つまり私たちが集中力を高めたい、集中力によって目的を達成したいと考えるときには、どのようにして「深度」を高め、どうやって「時間」を長くできるかを考える必要があります。

成功の必要条件は1万時間の集中?

 羽生善治さんと並ぶ将棋の名人、谷川浩司さんは、将棋を始めて中学2年生でプロになるまでの約10年間で、トータル約1万時間を将棋の勉強に費やしたと語っています。谷川名人が幼いころに目標にしていた米長邦雄さんもやはり、中学から高校までの6年間で毎日5時間、のべ約1万時間を将棋の勉強に費やしたそうです。

 1万時間をわずか3年で達成しようとすれば、1日9時間です。逆に言えば、毎日の仕事でその筋のプロになるためには毎日やっても最低3年は必要です。「石の上にも3年」とはよく言ったもので、3年未満で仕事をコロコロ変えるのは関心しません。

 私は経営者としての仕事柄、中途入社の面接をすることが多いのですが、1万時間に達する前にあきらめて仕事をふらふらと変える人は絶対に採用したくありません。プロとして体系化されたノウハウを何も取得せずに次の仕事に移るようだと、その人の成長はないからです。

 「1万時間より短い時間で、真に世界的なレベルに達した例を見つけた調査はない。まるで脳がそれだけの時間を必要としているかのようだ」

 『天才! 成功する人々の法則』の著者マルコム・グッドウィルによれば、ある種の天才、超一流と呼ばれるような人は才能などに関係なく1万時間以上もの練習量を積んでいるそうです。

 例えば、音楽学校でバイオリンを学んでいる生徒をソリストになりそうなグループ、プロオケでやっていけそうなグループ、そしてプロオケは無理でも音楽の先生になりそうな3グループに分けて練習量を比較すると、ソリストになりそうなグループの練習量は1万時間ほどで「他のグループよりも練習量が飛躍的に多い」のです。

 世界的人気アーティストになる前のビートルズも、実はブレイク前に1万時間以上もの練習量を重ねています。ジョン・レノンはデビュー前のすさまじい練習量について次のように語っています。

 「ハンブルクでは1日8時間もステージに立たなくちゃならなかったから、新しいやり方を見つける必要があった。演奏もうまくなり、自信も付いた。一晩中演奏してたんだから、嫌でもそうなるだろう。客が外国人なのもよかった。観客に分かってもらおうとますます必死に、全身全霊で努力したよ」

 伝説のプログラマであるビル・ジョイがカリフォルニア大学バークレー校の大学院生だった際にBSD(バークレー・ソフトウェア・ディストリビューション)というUNIXOSを創りあげるまでにプログラムに費やした時間も、やはり1万時間以上だといわれています。BSDはその後、多くのプログラム言語の元になりインターネットサーバなどになくてはならない存在となりました。大ヒット商品となったアップルのMac OS Xも元をたどればBSD UNIXを源泉としています。

 かのモーツァルトは天才といわれましたが、独自のコンチェルトを編み出すまでに費やした時間も、やはり1万時間以上を要したといわれています。天才といわれる人であっても、相当量の時間を費やすことなく偉業を達することはできません。

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