同期入社に教えてもらうiPhoneの使い方iPhone買っちゃった!?・最終回(1/2 ページ)

iPhone初心者の伊達浩志は、同期入社の藤堂とランチを食べていた。すると、もう1人の同期、加藤亜樹が乱入。彼女がオススメするiPhoneアプリは?

» 2014年03月25日 11時00分 公開
[美崎栄一郎,Business Media 誠]

集中連載「iPhone買っちゃった!?」について

 本連載は2013年10月15日に発売した『iPhone買っちゃった!? けど、使いこなせてないあなたへ』(ソシム刊)から一部抜粋しています。

 iPhone買っちゃった!? でも……。

  • メールとWebくらいしか使っていない
  • もっと、自分に合ったアプリを知りたい
  • マニュアル本は読みたくない

 そんな方に。

 「読むだけ」で、iPhoneを活用できる本ができました。ビジネスやプライベートで、この本に載っている「あのシーンのあの使い方をしてみよう」と思わせる新提案です。

 2000種類以上のアプリを試し、iPhoneやiPadの活用術についての講演、執筆などにもひっぱりだこの著者が、具体的なビジネスシーン、生活シーンでのiPhoneの使い方を、3人のビジネスパーソンを中心とする小説で具体的に紹介。iPhoneの使い方だけでなく、ビジネスにおける発想法や仕事術も織り込んだ1冊です。


 昼休み、藤堂と伊達浩志がランチを食べていると、同期の加藤亜樹が珍しく乱入してきた。亜樹は、広報を担当している。

 「珍しいな、何か用事か?」藤堂が話題を振った。

 「いや、広報的なネタがないかなと思って」

 「相変わらず、仕事熱心だな」

 「社内報のネタなら、俺が宇都宮で大型の案件を取ったことを載せてくれよ」

 「お、昨日の件、もう成約したんだ。やるな」

 藤堂はそう言ったが、実際のところ、藤堂が成約させたようなもんだ。同期の加藤亜樹の前でもあるし、正直にそのこと、そして今朝の藤堂の仕事ぶりも伝えた。

 「何言ってんの。あんなこと、iPhoneで少しアプリの使い方をマスターすれば誰でもできるって。それより俺がすごいのは、技術屋としてだよ。そこのところ、よろしく」

 「確かに、藤堂くんの仕事ぶり、社内でも評価高いもんね、広報部でも評判よ」

 情報源から新しいネタを引き出すことが仕事の加藤亜樹は、この辺の褒め方も絶妙だったりする。営業の伊達は、こういう人情的な機微をつかむのには長けている。もっとも亜樹のように上手には言えないが、このタイミングが絶妙だということは分かる。実際、クールな藤堂が少し声高に話し始めた。

 「そういえば、外資系のA社の部品を受注できそうだってうわさがあるよ。広報としては、取材しておけばいいんじゃない。発表して良いタイミングまでに情報を集めておけば……」

 「ありがとう。誰に聞けばいい?」

 「技術部の田島部長が担当のはずだ」

 「技術部の田島部長ね」そう言うと加藤亜樹は、キラキラ光るiPhoneを取り出し、「取材、技術部、田島部長」と吹き込んだ。すると机の上に置かれたiPhoneには、「取材、技術部、田島部長」がテキストとして入力されている。

 「おお、何だよ、どうして文字になるんだ」伊達浩志は驚きを隠せない。

 「『音声認識メール』っていうアプリがあるのよ。これで私の声を認識して、テキストに変えてくれたの。クラウド版のほうがオススメよ」

「音声認識メール クラウド」

声を認識してテキスト化してくれる。テキスト化した文章は、アプリ名の通りメールとしても送ることができ、リマインダーやカレンダーの情報としても登録可能。クラウド版のほうが音声を認識する精度は高い。



「音声認識メール」スクリーンショット(App Storeより)

 完璧に伊達浩志の理解の範囲を超えている。まずクラウドの意味が分からない。

 「おい、加藤。伊達が固まってるぞ。最近iPhone買ったばかりだから、手加減してやれよ」

 「へえ、それで伊達くん、私のiPhoneをジロジロ見てたんだ。気があるなら間に合ってますって言おうと思ったのに」

 情報源にならない伊達浩志には手厳しい。加藤亜樹は、顔は美形なのだが、長いストレートの髪型で、残念ながら伊達浩志のタイプではない。

 「加藤さあ、最近、面白いアプリ入れてない?」

 「藤堂くんに紹介するのは、なかなかハードルが高いけど、例えばこんなのはどう?」

 加藤亜樹は、「花しらべ 花認識/花検索」、「Table For Two」、「WikiLinks」、「今昔散歩」を紹介した。

 「『花しらべ 花認識/花検索』はね、花の写真を撮るとデータベースと照合して、何の花だか教えてくれるの。『Table For Two』は、食べた食事の画像からカロリーを計算してくれるアプリ。最近は画像マッチングの技術がずいぶん進歩してきたって感じよね。『WikiLinks』は、GPS連動のウィキペディア検索アプリで、今いる場所に近い場所のウィキペディアの情報を教えてくれるの。『今昔散歩』は、今いる場所の地図が、明治時代版と江戸時代版で出るの」

「花しらべ 花認識/花検索」

花の写真を撮ると、データベースと比較して名前を教えてくれる。画像マッチングの技術のおかげで色や形から検索できるようになったのは便利で新鮮。いただいた花や野に咲く花の名前を知りたいときに重宝する。

「Table For Two」

食べた食事を撮影するとこのアプリがカロリーを計算してくれる。写真から判断する技術のおかげで、唐揚定食、ハンバーグなどとメニューを選択しなくても自動的にカロリーを教えてくれるので楽ちん。

「WikiLinks」

ウィキペディアの情報をGPSと連動させて表示してくれる。今いる場所に近いウィキペディア情報をリストアップ。選んだあとはツリー形式でタップ操作だけで関連情報を読むことができて博学になれる。

「今昔散歩」

江戸時代、明治時代、現在の東京と時代を切り替えることができる地図。過去にどんなものがあったのかを簡単に知ることができるので、ちょっとした話題作りに便利。もちろん、歴史探索したいときにも重宝する。


 「江戸時代の地図を見て、何の意味があるんだ?」

 伊達浩志は加藤亜樹に突っ込んだ。

 「なるほど、広報で訪問する会社でのコミュニケーションに使うワケね」

 「さすが藤堂くん、その通り。私は歴史にはまったく興味がないけど、歴史好きのおじさんとかは多いからね。これを使って、『ここに昔、奉行所があったんですか』とか、『加賀藩の藩邸があったんですか』とか話題だけ提供すると、おじさんたちはけっこう盛り上がってくれる。あとの話は、私はほとんど聞いていないけど(笑)」

 「そのアプリは俺いらないけど、『花しらべ』は便利そうだな。俺の奥さん、花好きなんだけど、説明聞いても全然分からないんだよな。花の名前って難しいの多いし」

 「ははは。藤堂くんが扱っている技術用語のほうがよほど難しいよ。単に、花には興味がないだけでしょ」

 「そうは言ってられないんだな、一緒に暮らすと……」

 と言っている横で、亜樹のiPhoneの古地図を拡大表示して、伊達浩志は叫んだ。

 「うおー、上野の不忍池もある、弁財天も江戸時代からあったんだ!」

 伊達浩志はかなり興奮している。雑学王には、このアプリはたまらない魅力があるらしい。

 「ほらね、盛り上がるでしょ」

 加藤亜樹は、そう言って笑った。藤堂は、俺はいらないよという顔つきだった。

花の名前

 自宅に帰ると、妻が黄色い花を飾っていた。前にも名前を聞いた気がするが、まったく覚えていない。妻が隣の部屋に行っている間に、iPhoneで写真を撮って、「花しらべ」で画像検索した。オンシジウムというらしい。虎のような柄が同じなので、多分合っているだろう。

 「これって、たしか、オンなんたらっていうんだよね」

 「いい線いってるじゃない。オンシジウム、よ。黄色い花がかわいいでしょ」

 「なるほど、オンシジウムか」

 「ラン科で、他の色もあるのよ……」

 妻は勢いよく話し始めたが、藤堂は視線を少し落として、iPhoneのアプリ上でブックマークだけしておいた。ブックマークしておけば、妻が飾る花に、少しは法則性などが見つかるかもしれない。覚えていないと批判されるときにも、これでカンニングができる。良いアプリを教えてもらった。

 リビングのソファーにもたれながら、「ANA」のアプリを立ち上げ、富山への主張のための飛行機の予約を始めた。ANAはIT化に積極的な航空会社で、iPhoneの標準チケットアプリ「Passbook」が導入されたときにもいち早く対応していた。日帰りする予定で、行きと帰りのフライトを同時に予約した。予約完了メールがANAから届いたことが通知される。まだ入金はしていないので、指定日までにこのメールを見て決済しなくてはならない。

「ANA」

全日空の公式アプリ。航空券の予約から確認まで簡単にできる。マイレージ番号なども登録しておけるので毎回番号を入れる手間も省ける。購入したチケットは、標準アプリの「Passbook」へ追加して連携もできる。

「Passbook」

アップル標準のチケットアプリ。航空機のチケットレスサービスや、コンビニや居酒屋などのクーポン券など、使われ方が増えている。搭乗時刻が近づくと通知してくれる機能もありiPhone だけで飛行機にも乗ることができる。


 そこで「Mailbox」というアプリを起動して、明日にセットしておいた。このメールアプリは、先送りしてメールを日付管理できるので便利だ。このメールを明日もう一度見たいとか、何月何日に見たいということはけっこうある。例えば、アポイントメントのメールであれば、そのアポの日にもう一度開きたいと思うだろうし、今回のようにチケットなどの決済期限がある場合には、期限の日までにもう一度そのメールを読みたいと思うはずだ。そういうときのために、この「MailBox」は重宝している。

「Mailbox」

届いたメールを1週間後や3日後などもう1度見たいときに時刻をセットして目の前からいったん消してしまえる。例えば、アポのメールはアポの時刻の1時間前に再通知したりすると、便利。


 明日、上司の出張承認をもらったあと、決済サイトで決済しておけば問題ないだろう。そう思って、明日再通知するようにメールをセットしたのだ。飛行機の予約を終え、妻にメモを書いた。

 《10月18富山出張、日帰りだが遅いので夕食ナシ 》

 1枚メモを残しておいたほうが確実だ。あとで、言った、言わないでもめたくない。念のため、このメモも「FastEver Snap」のアプリを使って写真を撮り、「Evernote」にも保管しておいた。通常のカメラアプリを使わないでこのアプリを使うのは、投稿した日付が作成日として「Evernote」の中に自動的に残るからだ。もし検索したくなったら、作成日を指定して検索すればいい。検索するかどうか分からないものに対して時間をかけたくない。キーワードや日付など、手間をかけて入力したりはしないようにしているのだ。

 どうせ、メモをなくされた場合の妻からのクレーム対応の保険だ。「FastEver Snap」で撮るだけならば、3秒で済む。

「FastEver Snap」

Evernoteへ写真を登録するのに特化したアプリ。このアプリで撮影すると自動的にEvernote へ画像が登録される。Evernoteは手書き文字も認識してくれるので手書きメモの保管と検索(活用)に使える。


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